妊娠しにくい人の特徴とは?

「赤ちゃんを授かりたい」と願う多くのカップルにとって、不妊の問題は大きな心の負担となることがあります。不妊に直面した時、不安や焦りが募りますが、まずは冷静に状況を把握し、適切な対策を考えることが重要です。この記事では、妊娠しにくい人の特徴について詳しく解説します。不妊の原因や医学的要因、生活習慣の影響、ストレスや遺伝的要因、そして妊娠しやすさを向上させるアプローチについてもご紹介します。赤ちゃんを授かるため、一歩前に進むための情報をお読みください。

不妊の原因と医学的要因

赤ちゃんが授かりにくい原因は様々であり、男性と女性の両方に関連する要素が存在します。男女別の不妊の原因や医学的要因についても解説します。

男性と女性の不妊の主な原因

女性側の主な原因

  • ・生理の異常:月経の間隔が長く空いたり(39日以上)、短い方(24日以内)は排卵がうまくできていない可能性があります。また、経血の量が多い・少ない、生理の期間が長い(8日以上)・短い(2日)場合は子宮に問題がある可能性があり、生理痛がひどい方も注意が必要です。
  • 卵巣卵管 の問題:卵巣の機能が低下したり、卵管が閉塞や損傷している場合、妊娠が困難となる原因になります。
  • 子宮内膜 の異常:子宮内膜が正常に成長せず、着床が困難な状態になると妊娠が難しくなることがあります。
  • ・35歳以上:妊娠する確率は35歳をすぎると減少します。卵子の質 が低下するからです。
  • ・生活習慣の影響:喫煙、過度のアルコール摂取、ストレス、過剰な運動、極端なダイエットなどが妊娠に悪影響を及ぼすことがあります。

男性側の主な原因

  • ・ 精子 の質や量の低下:精子の運動能力や形態が異常であったり、精子の数が不足している場合、受精能力が低下する可能性があり注意が必要です。
  • ・生殖器の疾患や損傷: 生殖器 の炎症、感染症、先天的な異常、手術による損傷などが精子の生成や射精に影響を与える場合があります。
  • ・ホルモンの異常:男性ホルモンの分泌異常や脳下垂体の機能障害などです。
  • ・生活習慣の影響:女性と同じですが、喫煙や過度のアルコール摂取、過度のストレスなどが影響を及ぼすことがあります。

引用)日本生殖医学会 どんな人が不妊症になりやすいのですか?

内分泌異常や卵巣機能不全の影響

内分泌異常は、ホルモンのバランスが乱れることを指し、排卵や子宮内膜の成熟に影響を与え、卵巣機能不全は、卵胞の成熟や排卵に問題がある場合、妊娠が困難になることがあります。多嚢胞性卵巣症候群( PCOS )や 早発閉経 などが代表的な卵巣機能の低下の原因です。

精子の質や量に関する問題

精子の質とは、形態や運動能力、DNAの正常性などを指し、精子の量は、射精時に放出される精液の中に含まれる精子の数です。精子の質の低下や形態異常のある精子は、受精卵 の正常な発育や着床を妨げ、卵子に到達するのが難しくなります。精子の量や、精液の量が少ない場合は、精子の正常な移動や卵子との出会いが制限されるため、妊娠に影響を与えます。

妊娠しにくい人の特徴とは?

生活習慣と食生活の影響

不妊に影響を及ぼす要因のひとつが、現代の生活環境や食生活です。以下に詳しく解説します。

喫煙・アルコール・カフェイン摂取の影響

喫煙は女性の卵子の質や数量を低下させ、子宮内膜の状態を悪化させます。また、受精卵の着床や赤ちゃんの成長にも影響を及ぼすこともあり注意が必要です。アルコールの摂取は、赤ちゃんの発育や神経系の形成に障害を引き起こす可能性があります。カフェインも摂り過ぎると、受精卵の着床率や赤ちゃんの成長に影響を与えることがあります。妊娠を計画している場合はできるだけ気をつけましょう。

引用)厚生労働省 女性の喫煙・受動喫煙の状況と、妊娠出産などへの影響
厚生労働省 食品に含まれるカフェインの過剰摂取についてQ&A ~カフェインの過剰摂取に注意しましょう~

適切な栄養バランスと妊娠しやすさの関係

以下に不妊におすすめの栄養素とそれに含まれる主な食品を表にまとめました。

栄養素主な食品
オメガ-3脂肪酸魚(サーモン、サバ)、チアシード、亜麻仁油
ビタミンD魚(サーモン、マグロ)、卵黄、チーズ、キノコ
抗酸化ビタミンオレンジ、レモン、アーモンド、ベリー類、レバー
赤身の肉、レバー、ほうれん草、豆類
タンパク質鶏肉、魚、豆類、ナッツ、乳製品
不妊におすすめの栄養素

これらの栄養素をバランスよく摂取することで、不妊リスクの軽減や妊娠しやすさの向上が期待されます。ただし、個人の体質や健康状態によって必要な栄養素や摂取量は異なるため、専門家や栄養士の指導を受けながら適切な食事プランを立てることが重要です。

運動習慣と妊娠しにくさ

適度な運動は妊娠しやすさに影響を与える要素の一つです。適切な運動は血流を促進し、ホルモンバランスを整える助けとなります。しかし、過度な運動や高強度の運動は逆効果となります。軽度の運動やウォーキング、水泳などを取り入れることで、身体の健康と妊娠の可能性を高めることができます

妊娠しにくい人の特徴とは?

ストレスと妊娠しにくさ

不妊に悩む多くのカップルにとって、ストレスは深刻な問題となり得ます。ストレス緩和に取り組み妊娠の可能性を高める一歩に近づきましょう。

ストレスが体に与える影響

ストレスは体にさまざまな影響を及ぼします。長期的なストレスはホルモンバランスを乱し、月経周期の変動や排卵の問題を引き起こす可能性があります。また、ストレスは免疫機能を低下させ、子宮内膜の受容性を悪化させることもあり、ストレスは性欲も低下を引き起こすこともあり大きな問題です。

メンタルヘルスと妊娠の関連性

メンタルヘルスの状態は妊娠にも影響を与えます。ストレスや不安、うつ病などの精神的な問題は妊娠しやすさを低下させる可能性があります。メンタルヘルスのケアや専門家のサポートを受けることで、ストレスや不安を軽減し、妊娠に向けた心身の健康を促進しましょう。

ストレス緩和法と妊娠しやすさの向上

ストレス緩和法は妊娠しやすさの向上に役立ちます。リラクゼーション法や深呼吸、瞑想、ヨガなどの実践はストレスを軽減し、身体と心のバランスを整えます。また、適度な運動や良質な睡眠もストレスを軽減するでしょう。心地よい環境や趣味に時間を割くこともストレス解消に役立ちます。

遺伝的要因と年齢の影響

遺伝的要因と年齢は、不妊に大きな影響を与える要素です。詳しく解説していきます。

遺伝的要因が及ぼす不妊リスク

一部の遺伝的疾患や 染色体異常 は生殖能力に直接影響を及ぼし、妊娠しにくさや妊娠の維持に問題を引き起こす可能性があります。遺伝的な不妊要因は家族歴や遺伝子検査などを通じて特定される場合もあるので、遺伝的要因を正確に把握し、必要な場合は専門医師の助言を受けることが重要です。

年齢と妊娠しにくさの関係

妊娠しにくさは密接に関連するのは年齢です。女性の 卵子 は年齢とともに質が低下し、排卵 も不安定となります。特に35歳を超えると、妊娠しにくさが増加し、流産や染色体異常のリスクも高まります。また、年齢が上がるほど卵巣の反応性も低下し、不妊治療の成功率が低下する傾向も問題です。個々の体質や健康状態には個人差がありますので、専門医とよく相談してください。

高齢出産と妊娠成功率

女性の社会進出や晩婚化により 高齢出産 は徐々に多くなっています。女性が年齢を重ねると、卵子の品質や数量が低下し、妊娠が難しく、特に40歳以上では、卵子の品質の低下が顕著であり、妊娠成功率が低下する傾向にあります。また、高齢出産は流産や染色体異常のリスクも増加させます。40歳以上では妊娠の約半数が流産するとも言われています。妊娠成功率は個人の体質や健康状態にもよるため、医師の指導を受けながら計画的に行うことが重要です。

引用)日本生殖医学会 女性の加齢は流産にどんな影響を与えるのですか?

妊娠しにくい人の特徴とは?

妊娠しやすさを向上させるためのアプローチ

妊娠しやすさを向上させるためには、さまざまなアプローチがあります。個々の状況に合わせたアプローチを選び、希望する妊娠を実現するために進んでいきましょう。

医療的な不妊治療の選択肢

以下は医療的な不妊治療の一部です。個々の状況や医師の判断により、適切な治療方法が選択されます。

  • 人工授精:卵子の排卵誘発後に、パートナーの精子を子宮内に直接注入します。
  • 体外受精:排卵誘発後に卵子を収集し、体外で受精させた後、受精卵を子宮内に戻します。
  • 凍結胚移植:前回の体外受精サイクルで余った受精卵または胚を凍結し、後日子宮内に戻します。
  • ・卵子または精子の提供: 自身の卵子または精子が問題を抱えている場合、ドナーからの提供を受ける方法です。
  • 顕微授精:精子の質や量に問題がある男性に対し、精巣または精管から精子を採取し、受精させる方法です。
  • ・これらの治療方法は個別のケースによって異なる場合があり、医師との相談が必要です。

生活習慣の改善による妊娠成功率の向上

具体的なアプローチを示します。

  • ・健康的な食事: バランスの取れた食事を心掛けましょう。栄養素やビタミン・ミネラルの摂取に注意し、サプリメントの利用も検討します。
  • ・適度な運動: 体重の管理や血液循環の促進に役立ちます。ウォーキング、水泳、ヨガなどの軽度な運動を毎日のルーティンに取り入れましょう。
  • ・ストレス管理: ストレスは妊娠に悪影響を与えます。リラクゼーション法や適度な運動、夫婦でよく話すなど心身のリラックスを図ります。
  • ・睡眠の質: 十分な睡眠を確保し、規則正しい睡眠をとり、寝室の環境を整えて快適な睡眠環境を作りましょう。
  • ・体重維持: 過度の体重増加や減少はホルモンバランスに影響を与える可能性があるため、体重管理を心がけましょう。

メンタルサポートとカウンセリングの役割

不妊のプロセスは身体的な負担だけでなく、精神的な負担も伴います。メンタルサポートやカウンセリングは、感情を理解し、心理的な負担を軽減する助けとなります。また、不妊治療には様々な選択肢や意思決定が伴います。正確な情報提供で、最適な選択をする手助けとなるでしょう。夫婦やパートナーシップにとっての試練ともなるので、サポートにより、コミュニケーションを促進し、お互いの感情を理解することで絆を強化します。

専門家より

妊娠しにくい時は思い悩むことも多いかもしれません。不妊に対して様々なアプローチがあります。医療的な不妊治療や、生活習慣の改善も妊娠成功率の向上につながります。不妊治療は身体的な負担だけでなく、心理的な負担も伴います。専門家の支援を受けて感情の安定や意思決定の支援、パートナーシップの強化が図れます。不妊総合的なケアとサポートが必要です。夫婦二人で抱え込まず、専門家の助言とサポートを受けながら、子供を授かる希望に取り組んでいきましょう。

この記事を書いた人

東岡 えりこ

理学療法士
医療ライター