男性不妊について知る:症状、検査、治療

男性不妊は、妊娠を希望する夫婦にとって深刻な問題となります。男性不妊は、男性の精子の数、形態、運動性などが問題となって起こります。男性不妊の原因はさまざまで、生活習慣の乱れや病気、ストレスなどが挙げられます。男性不妊について理解し、適切な治療法を選択することが重要です。本記事では、男性不妊の症状、検査、治療法について解説します。

男性不妊とは?

男性不妊とは、精子の数、形状、運動能力、生存期間などが正常でないため、妊娠が自然に起こりにくい状態を指します。男性不妊の原因は多岐にわたり、環境因子、遺伝的要因、生活習慣、疾患・治療の影響などが考えられます。これらの要因が重なることで、男性不妊が引き起こされることがあります。男性不妊は、妊活の過程でカップルが直面する問題の一つであり、正しい知識を持ち、適切なアプローチをすることが重要です。

1. 男性不妊の定義

男性不妊とは、カップルが妊娠を希望して性交渉を行っても、一定期間内に妊娠が成立しない状態を指します。一般的には、一年間以上性交渉を続けた結果、妊娠が成立しない場合に男性不妊の可能性も考えられます。

2. 男性不妊の原因

男性不妊の原因は、様々な要因が考えられます。主な原因として以下のようなものが挙げられます。

  • ・環境因子:放射線や有害物質の影響など、環境的な要因が男性不妊に影響を与えることがあります。
  • ・遺伝的要因:染色体異常や遺伝的な疾患が男性不妊の原因となることがあります。
  • ・生活習慣:喫煙や過剰なアルコール摂取、ストレスなど、生活習慣が男性不妊に影響を与えることがあります。
  • ・疾患・治療の影響:前立腺炎や精巣炎、糖尿病、放射線治療や抗がん剤治療など、様々な疾患や治療が男性不妊の原因となることがあります。

これらの原因を正確に特定し、適切な治療を受けることが男性不妊の改善につながります。

男性不妊の症状

1. 無精子症・無精子症以外の精液検査の異常

男性不妊の最も一般的な症状は、精液検査の異常で、精子の数、形状、運動能力に問題があることがあります。精液検査で 無精子症 と診断された場合は、精子が存在しないため受精が不可能となります。また、精子の数や形状、運動能力が低下している場合は、受精能力が低くなる可能性があります。

2. 性機能障害

男性不妊の別の症状として、性機能障害が挙げられます。これには、勃起不全 や 早漏 などの問題が含まれます。これらの問題は、性交を困難にし、妊娠を妨げる可能性があります。

3. その他の症状

男性不妊には、その他にも以下のような症状が見られることがあります。

  • ・精液の出しにくさや痛み
  • ・精巣の腫れや痛み
  • ・性欲の低下
  • ・体毛の減少や毛が柔らかくなる
  • ・乳房の腫れや痛み

これらの症状が見られた場合は、男性不妊の可能性があるため、早期の受診が必要です。

男性不妊の検査方法

1. 精液検査

精液検査は、男性不妊の診断において最も基本的な検査法です。精液を採取し、数量・質・運動率・形態などを評価します。精液検査においては、精子の数が少ない(無精子症)場合や、精子の運動率が低い、形態が異常などの場合に、男性不妊の可能性が高いと判断されます。

2. 血液検査

男性ホルモンや精子の生成に関わる物質など、血液中の検査指標から男性不妊の原因を探ることがあります。例えば、男性ホルモンのうち テストステロン が不足している場合や、男性ホルモンのバランスが崩れている場合には、男性不妊の原因の可能性があります。

3. 生殖器検査

精管や精嚢、前立腺などの生殖器の異常を確認する検査もあります。 精管造影検査 や 超音波検査 、MRI検査などがあり、それぞれ異なる方法で生殖器の状態を評価します。

4. その他の検査

男性不妊の原因によっては、異なる検査法が必要になる場合があります。例えば、男性不妊の原因が遺伝子異常にある場合には、遺伝子検査を行うことがあります。また、精液検査 や 生殖器検査 で異常が見つからない場合には、妊娠しやすいタイミングを把握するための排卵日予測検査なども行われます。

男性不妊治療

1. 薬物療法

男性不妊には、薬物療法が用いられることがあります。代表的なものとして、男性ホルモン補充療法があります。男性ホルモンは、男性の生殖機能に関与しており、不足することで精子の量や質に影響を与えることがあるため、男性ホルモンを補充することで治療を行います。

2. 精子採取や人工授精

男性不妊に対して、精子採取や人工授精が行われることがあります。精子採取は、精子が正常に生成されているが、精液中に含まれる精子の量が少ない場合に行われることが多く、精液や精子の運動能力が不足する場合にも行われることがあります。また、人工授精は、精子採取後に精子を洗浄・濃縮し、排卵日に合わせて子宮内に注入する方法です。

3. 睾丸精管吻合術

睾丸精管吻合術は、睾丸精管が塞がってしまっている場合に行われます。この手術では、睾丸内部に含まれる精子を摘出して、精管を繋ぎ直すことで、精子の通り道を復旧させます。

4. その他の治療法

男性不妊には、その他にもさまざまな治療法があります。例えば、精液の凍結保存や、転移性精巣腫瘍などで睾丸摘除を受けた場合には、睾丸内部から精子を採取する精子採取術もあります。また、性生活指導、食生活改善などの生活習慣の改善も有効な方法です。

男性不妊に対する予防・改善方法

男性不妊に対する予防・改善方法は以下の通りです。

1. 生活習慣の改善

男性不妊を引き起こす原因の1つに、生活習慣の乱れがあります。喫煙や過度の飲酒、ストレスや睡眠不足などは、精子の数や質を低下させる要因となるため、改善が必要です。適度な運動や規則的な生活習慣を心がけることで、男性不妊を予防することができます。

2. 食生活の改善

食生活も男性不妊に影響する要因の1つです。特に、ビタミンやミネラル、亜鉛などが不足していると、精子の数や質が低下することがあります。野菜や果物、魚や肉などのバランスの良い食生活を心がけ、必要な栄養素を摂取することが大切です。

3. ストレスの軽減

ストレスが長期間にわたって続くと、男性ホルモンの分泌が低下し、精子の数や質が低下することがあります。ストレスを軽減するためには、趣味やスポーツなど、自分がリラックスできる時間を設けることが大切です。

4. 環境改善

男性不妊には、環境汚染物質や放射線などの影響があることが知られています。できるだけ環境汚染物質の少ない場所に住んだり、放射線を浴びることを避けたりすることで、男性不妊を予防することができます。また、職場の環境や仕事内容によっては、精子の数や質に悪影響を与えることがあるため、適切な対策を行うことも重要です。

男性不妊に悩む人へのアドバイス

男性不妊に悩む人へのアドバイスについて、以下のような内容が考えられます。

1. 相談することの重要性

男性不妊に悩んでいる場合、相談することは非常に重要です。パートナーや家族、友人、医療機関の専門家など、話しやすい相手を見つけることが大切です。また、男性の場合は、女性に比べて相談しにくいと感じる場合があるため、男性専用の相談窓口なども利用することができます。

2. 妊活カップルでの取り組み

男性不妊に悩むカップルであれば、妊活において共に取り組むことが大切です。パートナーとのコミュニケーションをしっかりと取り、一緒に健康的な生活習慣を心がけましょう。また、医療機関での治療や妊活グッズの活用など、一緒に検討していくことが重要です。

3. ポジティブな気持ちを持つことの大切さ

男性不妊に悩む場合、ネガティブな気持ちに陥ってしまうことがありますが、そのような状況でもポジティブな気持ちを持ち続けることが大切です。ストレスを溜め込まないようにするために、趣味や運動など、自分自身が楽しめることを見つけることも大切です。また、治療や妊活においても、ポジティブな気持ちを持ち続けることが成功への近道です。

助産師からのメッセージ

中友里恵

男性不妊は女性の不妊と同じ割合でありながら、情報を知らずに発見が遅くなるケースが多いです。女性と異なり体の変化がわかりずらいことや、不妊というと女性側のイメージが強いことが考えられます。妊活を始めたら、男性も精液検査を受けておくと安心と感じます。男性にとって、自分に原因があると知った場合、女性よりもショックが大きいと聞きます。男性不妊であっても治療法や妊活の方法は色々とありますので、医師とも相談しながら、最善の方法を見つけていきましょう。

この記事を書いた人

田村 由美

子授かりネットワーク 編集長

この記事を監修した人

中 友里恵