名医が教える妊活と不妊治療のすべて

内容

不妊治療の名医である著者が最新の不妊治療治療方法だけでなく、妊娠に大切な栄養のお話も載っています。

なぜ不妊が増えてきているのか、どういった状況になったら医療機関を受診すればいいのか、検査や治療はどのように進んでいくのか、どういったことが大変なのかなど、意外とイメージが湧かない方も多いと思います。

本書は、そうした思いをもつ方々のために、「不妊」についての全体像をもっていただき、最善の策をとるためのポイントをわかりやすく解説してくれています。

1不妊、つれづれなるままに(ふ・に・ん?;不妊!どうする?;不妊外来へようこそ! ほか)
2不妊、これだけはおさえておきたい(卵子の老化;精子の老化;今の自分の卵巣年齢を知ろう ほか)
3不妊、実はこれも大事(妊娠前にしておきたい検査・ワクチン接種;喫煙とアルコールと妊娠;葉酸―不足しがちな栄養素 ほか)

はじめに

世間では少子高齢化が話題に出ない日はないといっても過言ではありませんが、それと同じくらいに増えてきている問題が不妊であるといえます。 でも、なぜ不妊が増えてきているのか、そしてさらにはどういう状況になったら医療機関を受診すればよいのか、そして検査や治療はどのように進んでいくのか、あるいは それらはどれくらい大変なのか等々、意外とイメージがわかないのが実状ではないでしょうか。

本書はそうした思いを持つ方々のために書いたものです。 不妊治療について書かれた本は世の中にたくさんあります。いずれもよくは書かれているのですが、細かい部分に差異はあるもののだいたい同じような構成になっているように感じます。

そうした状況のなか本書をまとめてみようと思ったきっかけは、私自身が長く不妊治療に携わってきた中で、医療機関を受診することを決めるまでにどうしようか悩んでいる方、そして 受診した後も今一つ方向性がつかめずに苦悩する方、そうした方々を多く目の当たりにしてきたことです。

そして既存の本はそうした疑問や要求に必ずしも明確には答えていないのではないかと考えたからです。そうした方々が後から振り返って「もっと早く行動を起こしていたらなあ」とか「もう少し全体が 見えていたら治療に対して前向きになれたのになあ」などど後悔してしまう状況だけは何とか避けたい、そうした思いが中心にあるのです。 したがって、本書は従来のものとはちょっと違います。

最初のパートは私自身がこうした想いの中で感じたままを書き綴ってみました。どちらかといえば随想・随筆のようなものとなっているかもしれません。これはこの本を単なるハウツーものや解説本にだけはしたくないという考えゆえのことであり、願わくばこの部分を読んで全体像をつかんで頂き、その中に自身を投影してなにかアクションを起こす良いヒントになればと考えています。

もちろん単なる随想だけではしまりがありませんので、後半部分で胚培養士である高柳明音さんに基本となる事項をしっかりまとめてもらいました。お互いのパートがうまく連動し、本書を手に取ってお読み頂いた方になにかしらの希望の灯をともすことができたならば‥このうえない喜びです。

本について

項目詳細
単行本113ページ
監修藤原敏博 高柳明音
出版社あさ出版
言語日本語
ISBN-104866671998
ISBN-139784866671994
発売日2020/2/14
梱包サイズA5判 高さ20cm

あとがき

不妊についていろいろなことを書いてみました。既にどこかで目にされた内容もあるかもしれませんし、目新しいこともあるかもしれません。 ともかくも、この小書をしたためた1番の目的は、漠然と不妊かなと思い始めた方、さらにはさりとてどのように動いていいのか判断しかねている方、そうした悩める人に少しでも方向性を見出してもらいたい、ということに尽きます。

本書をご覧になっておわかりになるように、一口に「不妊」といっても原因はそれこそ多岐多種類にわたっています。ですので、同じく不妊に悩んでいる方がいたとしても、その人と単純な比較をすることに意味はありません。 そうしたとした中で私たちが果たすべき役割は、原因を的確につかんで解決への方向性を示す水先案内人であり、そして医学的に治療が必要になる部分においては、全力をもってこれを解決する仕事人ということになります。

正直申しまして、現在の社会構造をみてみると、子供をもちたいけれど仕事をしながらそれを果たせるだけの社会基盤が整っていないがために躊躇してしまい、結果として時期を逸して不妊となってしまう、いわゆる”社会的不妊”ともいえる事例が如何に多いかということを痛感してしまいます。

会社の就労支援、とりわけ産休・育休後の復帰をスムーズにするシステムを確立すれば、いたずらに結婚・妊娠の機会を遅らせてしまうことはなくなります。 導入直後は不公平感から若干の混乱を招くことも予想されますが、続けていくことでうまく回り出し、長い目で見れば貴重な労働力の安定確保につながります。 さらに視野を広げれば、育休後も育児のためにやはり社会復帰が制約されている例も多々見かけます。

保育施設の整備により十分に解決可能な課題ですが、これは行政レベルでの対応を期待するしかありません。 少子化や人口減少を危惧するのであれば、即効性のある対処法として直ちに取り掛かるべき事案であると考えます。

少々愚痴めいたお話になってしまいました。会社や社会の仕組みを変えていくことは一臨床医としてなかなか困難なものがありますので、それぞれの分野において重要な役割を果たす立場にいらっしゃる方々の慧眼と英断に期待したいと思います。 そしてーこれが本書の本題ですがー純粋に医学的な原因でお悩みの方、そこは私たちが何とかしてさしあげます!

助産師からのメッセージ

中友里恵

不妊治療のスタートから進め方まで、丁寧に解説してくれているのでとてもわかりやすいです。ステップアップをする具体的な基準や数値を出してくれているので、どのように不妊治療が進んでいくのかイメージしやすくなります。

どの治療まで行うか、どの時期まで行うのかがわからなくなり心身の苦痛を感じ始める方も多いです。あらかじめ全体像がわかり治療の目安がわかるだけでも主体的に取り組むことができるのではないでしょうか。図やイラストも多く解説も細かいので、医療者や妊娠をサポートしている方にもおすすめです。

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この記事を書いた人

中 友里恵

この記事を監修した人

坂口 健一郎