妊活に必要な栄養素と避けるべき食べ物とは?

妊活中の食事は、妊娠しやすいからだづくりに欠かせません。それだけでなく、妊娠中には赤ちゃんのために多くの栄養が必要になるため、妊活中から食生活を見直しておくことが大切です。妊活中の食生活について、必要な栄養素や避けるべき食べ物について、くわしく解説します。

妊活にとって食事はなぜ大切なの?

妊活に必要な栄養素と避けるべき食べ物とは?

食事は、健康なからだを維持するのに欠かせません。栄養が偏った食事を続けていると、妊娠しにくいからだになってしまう可能性も。また、妊娠中は、赤ちゃんの成長に多くの栄養が必要になりますが、妊娠したと同時に食生活をガラッと変えるのは難しいでしょう。

妊活中から食事に気を使い、少しずつ食生活を変えていくことが大切です。

もし、栄養が偏った食事を続けるとどうなるか、ママ・パパ・赤ちゃんへのそれぞれの影響を見てみましょう。

ママへの影響

  • 排卵しにくくなる
    栄養状態が良くない場合、卵巣の機能が低下し、排卵がうまくおこらない場合があります。排卵が不規則になると、妊娠できるチャンスが減り、次回の排卵日の予測が外れる可能性も高くなります。
  • 卵子の質が低下する
    卵子の質は年齢とともに低下しますが、これは卵子が老化するのが大きな原因です。この老化を早めてしまうのが、過剰な活性酸素です。食生活の乱れは活性酸素を増やす原因になり、酸化ストレスによって卵子の質を低下させてしまいます。
  • ・妊娠中の体調不良や病気の要因になる
    妊娠中の栄養不足は、ママの貧血や便秘、イライラなどの原因になります。貧血になれば、疲れやすくなったり、立ちくらみがしたりと日常生活に影響が出る場合も。便秘もおなかの張りや痛みにつながるため、避けたいところです。
    また、塩分の摂りすぎは、妊娠高血圧症候群という妊娠合併症を起こしやすくなります。妊娠高血圧症候群が重症化すると、ママや赤ちゃんの命にかかわることもあります。
  • ・出産が早まる可能性がある
    ママのやせすぎによって、切迫早産や早産のリスクが高くなることがわかっています。切迫早産とは、妊娠22週から妊娠37週未満に出産が早まりそうな状態です。早い週数で切迫早産になると、長期入院になる場合があります。さらに、早産になれば赤ちゃんの成長や発達に影響がでる可能性があるため、できるだけ避けたいところです。

パパへの影響

  • ・精子の質が低下する
    卵子と同じく、乱れた食生活は活性酸素を過剰に増やし、精子の質も低下させます。
    また、栄養が偏ることで起こりやすくなるのが肥満です。肥満男性は、男性ホルモンが少なく、精子の質も低くなり、妊娠しづらくなることが知られています。また、過度な飲酒も不妊の一因になります。
  • ・トラブルが増える
    もし、パパが食事をほとんど作れない場合、今後の夫婦関係に大きく影響するでしょう。つわりでつらい時期や、産後にからだがつらいときなどに食事を担当できるパパがいれば、助かること間違いなしです。妊活中から、パパにしっかり料理を担当してもらいましょう。

赤ちゃんへの影響

  • ・赤ちゃんの成長や将来の病気のリスクに影響する
    ママのやせすぎは、赤ちゃんの成長に影響が出たりすることがわかっています。生まれた後にも、成人後に糖尿病や高血圧、高脂血症などの生活習慣病になるリスクが高くなるため、妊活中から食生活に気を付けることが必要です。
  • ・神経管閉鎖障害のリスクに影響する
    妊活中から妊娠初期の葉酸の不足は、「神経管閉鎖障害(しんけいかんへいさしょうがい)」という先天的な異常のリスクにかかわります。
    神経管閉鎖障害とは、脳や脊髄のもとになる神経管という部分がうまく作られず、不完全な状態で成長してしまう状態です。無脳症や二分脊椎などがあり、無脳症の場合には妊娠が継続できないことがほとんどです。二分脊椎の場合は、程度によって生まれてから手術が必要な場合があり、歩行や排泄などに影響が出る場合もあります。
    神経管は妊娠6週(受精してから4週目ごろ)に作られます。妊娠に気づかない人もいる週数のため、妊娠に気づいてから葉酸を摂取していては遅いのです。そのため、妊活中から十分な葉酸をとることが推奨されています。

妊活に必要な栄養素と妊娠力を上げる食品とは?

妊活に必要な栄養素と避けるべき食べ物とは?

妊活中には、夫婦で栄養バランスの整った食事を三食しっかりとることが大切です。妊活中に摂るべき栄養素と食品について、男女別に見てみましょう。

女性が摂るべき栄養素と食品

妊活中にとくに摂っておきたい栄養素が、葉酸と鉄分、そしてビタミンです。葉酸は、胎児の神経管閉鎖障害のリスクを下げる効果があります。鉄分は、血液を作る材料になり、全身に新鮮な酸素を送るのに欠かせません。妊娠すると、胎児や胎盤で多く使われるため、欠乏しやすくなります。

ビタミンA・ビタミンC・ビタミンEは、抗酸化作用を持つため、卵子を酸化ストレスから守ってくれるでしょう。
これらの栄養素を効率的に摂れるのが、具がたくさん入ったお味噌汁です。だし汁に下表の具材を煮て味噌を入れれば完成なので、一度に数日分作っておくと手軽に摂取できます。

おすすめの具材
葉酸さつまいも、ほうれん草、白菜
鉄分小松菜、さつまいも、ほうれん草、大根葉
ビタミンAほうれん草、にんじん、かぼちゃ、
ビタミンCさつまいも、じゃがいも、ブロッコリー
ビタミンEかぼちゃ、だいこん葉、ほうれん草、ブロッコリー、さつまいも

男性が摂るべき栄養素と食品

酸化ストレスは精子の質も低下させてしまいます。精子を守るために、抗酸化作用を持つビタミンA・ビタミンC・ビタミンEを摂取しましょう。
また、精子の活発さを改善する効果が期待できるコエンザイムQ10、精子の形成に重要な役割を持つ亜鉛、精子の材料になるオメガ3脂肪酸(DHA、EPA)なども、意識的に摂取するといいですね。

コエンザイムQ10と亜鉛、それぞれ多く含まれる食品が下表のとおりです。

多く含む食品
コエンザイムQ10青魚(イワシ、サバ、サンマなど)、肉類、ブロッコリー
亜鉛カキ、牛肉、豚肉、玄米
DHA(ドコサヘキサエン酸)青魚(イワシ、サバ、サンマなど)、サケ、マグロ
EPA(エイコサペンタエン酸)青魚(イワシ、サバ、サンマなど)、カニ、カキ

男性の妊活に必要な栄養素は魚介類や肉など、食事のメイン食材に含まれています。魚を食べる機会が少なくなっているため、魚料理の頻度を増やすといいでしょう。

効果的な栄養と食事の摂り方

妊活に必要な栄養素と避けるべき食べ物とは?

妊活中の栄養と食事のとり方のポイントは4つあります。それぞれくわしく見てみましょう。

三食きちんととる

朝・昼・夜の三食とる習慣をつけましょう。1日に必要なカロリーや栄養を摂取するには、3回の食事が欠かせません。
朝食を食べない人もいますが、1日のはじまりに栄養を補給することは大切です。シリアルと牛乳、お味噌汁とご飯など、簡単な朝食をとることからはじめてみましょう。

食べ過ぎには注意する

食事のとき、ついつい食べ過ぎてしまうと肥満の原因になってしまいます。三食以外の間食や夜食も太る原因に。肥満は男女共に妊娠率を下げてしまう原因となるため、食事は腹八分目を意識し、間食はできるだけひかえるようにしましょう。

夫婦で食事をとる時間をつくる

夫婦共働きの場合や、どちらかの勤務時間が不規則な場合、食事の時間が合わないこともあるでしょう。それぞれ別々に食事をとることが続くと、お互いの顔を見て話す機会が減り、すれ違いが生じる可能性があります。
休みの日や、朝食か夕食どちらかだけでも一緒に食事をとれるといいですね。一緒に料理や買い物ができれば、コミュニケーションをとる機会がぐっと増え、妊活を一緒にがんばっているという一体感につながるでしょう。

サプリメントを取り入れてみる

食生活を見直すことで、栄養状態が改善でき、妊活によい影響が出るようになるでしょう。さらに、食生活の改善だけでは補給しきれない栄養素については、サプリメントを取り入れることが大切です。

  • ・女性におすすめ
    葉酸は、食事だけでは推奨量を摂れないため、サプリメントとの併用が必要です。通常の食事に加えて、サプリメントで葉酸を400μg/日摂取することが推奨されています。
  • ・男性におすすめ
    魚介類を食べる機会がなかなかないという場合には、コエンザイムQ10やオメガ3脂肪酸(DHA、EPA)をサプリメントで補給するのもひとつの方法です。
    サプリメントは摂りすぎると、有害な効果が出る可能性があるため、1日の摂取量を守ることが大切になります。「昨日飲むのを忘れたから、今日まとめて飲もう」というのはNGです。

妊活で避けたい食事や嗜好品

妊活中に食べないほうがいいものについて、男女別に見てみましょう。

  • ・女性編
    妊活中は「妊娠の可能性がある期間」と考えたほうがいいため、アルコールは控えておくと安心です。妊娠中にアルコールを摂取すると、「胎児性アルコール・スペクトラム障害」という病気を引き起こす可能性があります。胎児性アルコール・スペクトラム障害は、赤ちゃんの低体重や、顔などの見た目の異常、脳への障害などがみられます。
    また、注意したいのがビタミンAです。ビタミンAは体調の維持に欠かせないビタミンです。しかし、妊娠中に動物性のビタミンA(レバーやうなぎなど)を摂りすぎると、胎児の先天的な異常の可能性が高まることがわかっています。レバーは豊富なビタミンを含む食品として知られていますが、妊活中は避けておいたほうがよいでしょう。
  • ・男性編
    男性も、妊活中はアルコールを控えておくことが勧められます。アルコールの飲みすぎは、精子の質を低下させてしまう可能性があります。
    晩酌の時間を、夫婦一緒にソフトドリンクを飲みながら映画鑑賞をしたり、ゆっくり話をしたりする時間に置き換えるのもいいかもしれません。

専門家より

中友里恵

妊活中に食生活を見直すことで、妊娠しやすいからだづくりができるだけでなく、妊娠中や産後の食生活を充実させることにつながります。赤ちゃんの健康も作るので、妊活中から子育ての一歩です。食生活の改善に効果的なのが、夫婦ともに料理のレパートリーを増やしておくことです。

妊活を機会に、夫婦で料理をする機会を増やしてみるのもいいかもしれませんね。

この記事を書いた人

田村 由美

子授かりネットワーク 編集長

この記事を監修した人

中 友里恵