あなたのAMHレベルを知るためのガイド: AMH検査の流れと費用

子供を望んでいるけれど、なかなか授からない……。どうしてなのか。この悩みは、身体の中の何らかのサインかもしれません。ここで重要となるのが、卵巣の健康や予備能力を示す指標、AMHレベル です。AMH検査 は、これを正確に把握するための手段として多くの女性に利用されています。このガイドを通して、AMH検査の何が大切なのか、検査の流れや費用について詳しく解説します。

AMH検査とは?

卵巣が健康的に機能しているかを知る鍵となるのがAMH検査です。AMHとは「 抗ミュラー管ホルモン 」とも呼ばれ、主に卵巣 から分泌されるホルモンの一つです。このホルモンの量が、女性の 卵子 の予備能力、すなわち残っている健康な卵子の数を示しています。AMH検査は、単なる数字以上の意味を持つものです。それは将来の妊娠の可能性や、不妊治療の方針を決定する上での大切な手がかりとなります。特に、子供を望む年齢が進む中で、卵巣の健康状態を知ることは、適切なアドバイスや治療の指針となるでしょう。

AMH検査の概要と意義

抗ミュラー管ホルモン(Anti-Müllerian Hormone、AMH)の血中濃度を測定することにより、女性の 卵巣 の予備能力を評価する検査です。このホルモンは、女性の卵胞数を知る上で非常に価値のある指標となります。この検査の最大の意義は、未来の妊娠の見込みや不妊治療の必要性を早期にキャッチできる点にあります。例えば、AMHの値が低下している場合、卵巣の予備能力が低下していることを示唆します。

しかし、AMHの値だけを見て判断するのは適切ではありません。他のホルモン値や生理周期、年齢との組み合わせで総合的に評価することが大切です。また、高い値が健康な卵子を保証するわけではなく、多くの卵子が存在することを示すだけです。

AMHレベルが示すもの

AMHレベルは、抗ミュラー管ホルモン の濃度の値です。この数値が、女性の卵巣の予備能力を示しています。具体的には、高いレベルは卵巣に多くの未熟な卵胞が存在していることを示しています。これは、一般的には妊娠の可能性が高いとされています。逆に、低いレベルは卵巣の予備能力の低下を示している可能性が高まります。

しかし、この数値だけをもとに将来の妊娠の可能性や不妊治療の適切さを判断するのは難しいです。例えば、AMHレベルが低い場合でも、健康な卵子が存在すれば妊娠は十分可能です。また、高いレベルが健康な卵子の質を示すわけではありません。したがって、AMH検査の結果は、医師や専門家としっかり相談しながら、他の情報と合わせて考慮することが求められます。

あなたのAMHレベルを知るためのガイド: AMH検査の流れと費用

AMH検査を受けるべきタイミング

妊娠を望んでいる方、またはすでに取り組んでいる中で、自身の卵子の状態や卵巣の機能を知るための方法として、AMH検査が挙げられます。いつ受けるのがベストなのか、また、どのような状況の方に特に推奨されるのかをお伝えします。

AMH検査の適切なタイミングとは?

その時々のライフステージや目的に応じて最適なタイミングが考えられます。

  • ・妊活をスタートする前に:不妊治療を考える前に、まず自身の卵巣の機能を知ることで、計画的な妊活を進めることができます。
  • ・不妊治療を始める際に: 可能な限り有意な治療を進めるためには、AMH検査によるホルモン値の確認が大切です。
  • ・妊娠を望んでいるがすぐには難しい場合: 仕事やライフスタイル、健康上の理由で妊娠を先延ばしにしている方は、AMH検査を通じて、自身の 卵子 の状態を知ることで、将来的な計画を立てやすくなります。

AMH検査が推奨されるケース

AMH検査は、様々なシチュエーションでの有用性が認められています。以下は、特に検査を推奨するケースです。他にも医師が検査を進めるケースも考えられるので、担当医にご相談ください。

  • 不妊症の疑いがある場合: 授かりたいのになかなか妊娠できない場合、AMH検査は卵子の状態や卵巣の機能を知り、不妊治療へ進む判断のひとつの目安となります。
  • ・卵子の凍結を考えている方: 適切なタイミングや必要性を知るためにAMH検査が役立つ可能性があります。
あなたのAMHレベルを知るためのガイド: AMH検査の流れと費用

AMH検査の手順

AMH検査は、女性の卵巣の機能や卵子の質を知るための非常に有用な検査です。そのため、正確かつ適切に検査を行うための手順や準備が必要となります。以下に、AMH検査の進行方法と、受ける前の準備・注意点について詳しく説明します。

AMH検査の進行方法

AMH検査は、血液を基にしたホルモン検査です。具体的な進行方法は以下の通りです。

  1. 受付: 予約している場合、受付時にその旨を伝えます。
  2. 問診: 一部のクリニックでは、生理の状況や健康状態、服用している薬などに関する簡単な問診が行われることがあるので、答えられるようにしておきましょう。
  3. 採血: 腕から少量の血液を採取します。
  4. 検査結果の受取: 血液サンプルは、AMH濃度を測定するための機器で分析されます。結果は数日後、または約1週間後に通知される場合が多いです。

AMH検査の準備と注意点

AMH検査を受ける際には、特別な準備は必要ありませんが、いくつかの注意点が考えられます。特別な準備は必要ありませんが、以下の点に注意してください。

  • ・生理の有無: AMHの値は 生理周期 に影響を受けないとされていますが、検査前に生理の有無や日数を医師に伝えることが望ましいです。
  • ・食事制限: 基本的には空腹でなくても受けることができますが、医療機関によっては検査前の食事に制限がある場合があります。事前に確認しましょう。
  • ・服薬の確認: ホルモン剤やその他の薬を服用している場合、AMHの値に影響を及ぼす可能性があるため、事前に医師に相談することが重要です。
  • ・ストレスを避ける: ストレスはホルモンバランスに影響を与えることがあるので、検査前はできるだけリラックスしましょう。
  • ・結果の解釈: AMH値だけでは全体的な妊娠能力を判断することはできません。他の検査結果や医師の診断と合わせて、適切なアドバイスや治療法を選ぶことが大切です

AMH検査の費用

AMH検査を受ける際に気になるのがその費用です。AMH検査のおおよそな費用と、健康保険の適用について説明します。

AMH検査の平均的な費用

AMH検査の費用は、自費になる場合と保険診療となる場合があります。自費の場合は医療機関や地域よって差はありますが、7000円から1万円の間で行われていることが多いようです。保険適用の場合は条件がありますが、安くなります。また、検査費用には、医師の診察料やカウンセリング費用が含まれる場合と、別料金となる場合があります。事前にクリニックや病院に問い合わせをして、検査費用の詳細を確認しておくことをおすすめします。

保険適用について

令和4年4月より、AMHの検査は保険適用となりました。ただし、条件があります。不妊症の患者さまに対して、調節卵巣刺激療法の治療方針の決定を目的としたときに、6ヶ月に1回の測定が保険適用になります。卵巣刺激療法とは体外受精に向けて多数の採卵を目指すために排卵誘発剤を使用し、卵巣を刺激する療法です。自費診療となるか、保険適用となるかは医師におたずねください。

引用)厚生労働省 不妊治療に関する支援について

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AMH検査結果の理解

検査結果を受け取った際、数値だけでは意味が分からないことも多いでしょう。ここでは、結果の読み解き方や、数値が示す意味について詳しく解説します。

AMH検査結果の読み解き方

検査の結果は、血中の AMH濃度 を示す数値で表示されます。この数値は、単位として「ng/mL」が一般的です。低い数値は、卵子 の残量が少ないことを示す傾向があり、逆に高い数値は卵子の残量が多いことを示唆します。ただし、数値だけでは全体の状況を判断するのは難しいため、その他の検査結果や医師の診断と併せて理解することが大切です。特定の範囲内の数値は平均的な卵子の残量を示すとされますが、個人の体質や年齢によっても変動するため、自分自身と比較して変動があるかどうかを注視してください。

AMHレベルとその意味

AMHの数値は個人差が大きいので、詳細な診断は医師に相談してください。AMHレベルだけで生殖能力を判断するのは避け、他の要因も考慮することが必要です。

  • ・低いAMHレベル: 低い数値は、卵子の数が減少していることを示す可能性が高いです。これは年齢とともに卵子の量が減少することが一因とされます。特に、AMHレベルが1.0 ng/mL以下の場合、卵子の残量が少ない可能性が考えられます。
  • ・中程度のAMHレベル: 平均的な卵子の残量を示す範囲です。3.0 ng/mL程度と言われています。
  • ・高いAMHレベル: 通常、卵子の残量が多いと解釈されますが、場合によっては多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の兆候とも考えられるため、詳しい診断が必要です。

まとめ

AMH検査は、女性の卵巣の状態や卵子の量を評価するための非常に有用なツールです。特に、令和4年度4月より、条件はありますが保険適用となり、不妊治療を考えている人にとってはますます、注目すべき検査となることでしょう。この検査を通して、自身の体の状態をより深く理解し、適切な医療アドバイスを受けることができます。全体的な健康や生活習慣を心がけるとともに、医師とよく相談し、より良い治療方針を選んでいきましょう。

この記事を書いた人

東岡 えりこ

理学療法士
医療ライター