内容
三軒茶屋ARTレディースクリニック院長が執筆しており、妊娠しやすい習慣から不妊治療のキホンまでこの一冊で知識をつけることができます。
Q&Aが豊富で、誰もが一度は疑問に思うことばかり説明してくれています。妊娠理解度セルフチェックや妊娠しやすさセルフチェックで自分の知識を整理できたり、自分の状況を見直すことができます。
妊娠のしくみや不妊治療の説明にはグラフやイラストも多いので読みやすいです。4月から不妊治療が保険適用されたことを受け、具体的な自己負担額も教えてくれています。自己流で妊活しているけれどなかなか妊娠しないなという方や、妊娠はまだ考えていない。仕事が忙しいという女性も、将来のライフプランを立てるのに役立つ一冊です。
はじめに
- 妊娠のタイムリミットは、年齢だけでは決まらない
近年、テレビなどでタレントさんが妊活や不妊治療の経験をオープンに語るようになり、妊娠までの道のりがけわしいこともある、ということが世の中の共通認識として知られるようになりました。
一方、特に若い若い人の間では、どこかで「いつかは自然に妊娠できる」「不妊治療は自分には関係ない」という気持ちを持っている人も多いのではないでしょうか。 たしかに、妊娠のしやすさは年齢とともに低下するため、一般論でいえば若い人ほど妊娠しやすいというのは事実です。
ところが、妊娠のしやすさには個人差が大きく、一度のタイミングですぐに妊娠する人もいれば、若くてもなかなか妊娠しない方もいます。年齢が若い方が「私はまだ大丈夫」とのんびりしていると、実はその時点で卵子の数が思ったより少ない、数年後になくなってしまう、ということもあり得るのです。
「いつかは自然に妊娠できる」「いつかは子どもがほしいけどいまは仕事を優先させたい」と思っている方こそ、本書を通じて「妊娠のしくみ」と「ご自身の妊娠しやすさ」を知ってほしいと考えています。
それらを正しく把握したあと「何歳までに仕事に集中するか」「何歳までに妊娠できなかったら不妊治療を始めるか」など、今後のライフプランを考えても遅くはありません。
- 不妊治療のネガティブイメージは、知識があれば避けられる
「不妊治療って、つらそうだからできれば避けたい」「不妊治療をはじめたら夫婦仲が悪くなりそう」など、不妊治療によくないイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。しかし、私はこうした負の側面は、妊娠や不妊治療についての正しい知識が広まっていないことから起こるものだと感じています。
不妊治療の全体像さえ知っていただければ、ご自身のライフプランに合わせて「不妊治療をするなら、いつからいつまで」と決めることができるので、実際に不妊治療を始めた際のつらさを減らせると考えています。
- 「もう少し早く始めていれば‥」をなくしたい
不妊治療専門クリニックは、一般の産婦人科ではおこなえないような高度な設備や技術を使って治療をしています。「子どもを授かりたい」と考えている患者さんにとって、いわば最後の砦のような場所だといっても過言ではありません。 そんな不妊治療専門クリニックでの治療をもってしても、患者さんの妊娠のタイムリミットを過ぎてしまうと、何もできなくなってしまいます。
実際に「もう1年早く検査を受けていれば‥」「もう1年早く治療を開始していれば‥」という患者さんはたくさんいらっしゃいました。そのたびに、医師として不甲斐なく、悔しい気持ちでいっぱいになります。
子どもを授かりたいという願いを、ひとつでも多く叶えたい。妊娠について正しい知識を持ってもらい、適切なタイミングで不妊治療に踏み切ってほしい。そんな思いから筆をとりました。 ぜひ本書をきっかけに、最短距離で希望のライフプランを実現していただければ幸いです。
本について
項目 | 詳細 |
単行本 | 159ページ |
監修 | 坂口 健一郎 |
出版社 | クロスメディア・パブリッシング |
言語 | 日本語 |
ISBN-10 | 4295406899 |
ISBN-13 | 9784295406899 |
発売日 | 2022/5/7 |
梱包サイズ | 13.2×1.4×18.8cm |
あとがき
日々、生殖医療に関わるなかで、たくさんのカップルに出会います。赤ちゃんがほしいと望む人がわたしのもとを訪ねてくれる以上、患者さんの期待にこたえられるように努めていますが、治療をおこなっても妊娠しない方がいいるのも事実です。
本書でもお伝えしたように、妊娠・出産においては現代医学でもわかっていないことが多くあり、なぜ妊娠しないのか原因がわからないケースもあります。 インターネットやメディアでは、妊活に関するあらゆる情報が発信されていますが、ある人がおこなって成功したやり方を別の人が真似して妊娠できるわけではありません。
一人ひとりにあった妊活の仕方、治療方法でおこなっていくことが妊娠のための近道ですし、治療にあたって妊娠や治療について患者さん自身が正しい知識を持つことはとても大切です。
最近では卵子の老化という現象についても知られるようになってきました。ただ、その知識があったとして、赤ちゃんを望む人はたくさんいます。「もしかして、すぐに妊娠しないのかも」と気づいた人はどうすればいいのか。私たちに頼っていただくと、どんなことができるのか。このことを知ってほしくて、本書を執筆しました。
本書では妊娠や不妊治療の大枠の部分を記しましたが、実際の治療は人によってさまざまなケースがあり、進め方もまったく違います。繰り返しになってしまいますが、まずは一度クリニックに来ていただきたいと思います。専門家として、その人の身体の状態にあわせてアドバイスできることが必ずあるので、来ていただければそれだけ妊娠に近づきます。
不妊治療の門を叩くのはとても勇気がいることだと思います。私も、新しい患者さんにお会いするたびにドキドキが伝わってきて、新鮮な気持ちで治療に挑んでいます。勇気を持って来てくださった患者さんのために最善を尽くすことをお約束し、筆を置きたいと思います。
助産師からのメッセージ
妊活を始めようと思った時から、不妊治療のことを考えるまで、さまざまな疑問が出てきます。不安や心配は知識不足や間違った解釈によるものも多いです。
逆に「私にはまだ関係ない」と思って、時間を無駄にしてしまう危険もあります。この本は解答が1冊に全てまとまっているので妊娠のしくみや知識をつけることができます。不妊治療のクリニックの院長先生であるからこそ、こちらに載っているQ&Aは「こんなこと聞いていいのかな?」と思っている方もスッキリ解決できる質問と回答が厳選されています。
また、不妊治療のステップの目安や具体的な方法がわかりやすく書かれているのでとても理解しやすいです。この本を読むと、先生からカウンセリングを受けているような感覚でとても心強く感じました。妊娠しやすい生活習慣についても、今日からできることばかりですし根拠が書かれているので取り組みやすいです。
セルフチェックがあるので、当てはまる項目がある方は産婦人科を受診するきっかけにもなると思います。 また、いつかの妊娠を考えている方にも理想のライフプランを叶える準備に役立つ一冊です。後悔は無知から来ることも多いです。妊娠適齢期は限られているからこそ、しっかり学んで行動していきたいですね。