内容
不妊治療や妊娠についての幅広い疑問や不安に丁寧に答える形で、ナビのように最適な妊娠へのルートを教えてくれます。
ベストな不妊治療に正解はなく、自分やパートナーの体の状態を知り、2人に合った方法で最短の妊娠を叶える知識と行動を解説しています。
目次
はじめに
最近では、5.5組に1組ものご夫婦が「赤ちゃんができない」という悩みを抱えているといわれています。
赤ちゃんを希望する年齢、特に女性の年齢が、昔に比べるとだいぶ高くなっていることもあり、悩まれるご夫婦は年々増える傾向にあります。
決して、特別ではありません。 皆さんは、赤ちゃんが生まれれば、きっととてもやさしいお母さんやお父さんになられるはずです。
そしていろいろ悩み、苦しみ、遠回りをした分だけ、命の誕生のすばらしさも、より一層深く感じ取ることができるでしょう。 後悔しない判断を下すためにも、まずは自分たちのおかれている状況をよく知りましょう。
不妊治療には時間的なリミットがありますが、まだゆとりがありそうですか?女性は35歳を過ぎると卵子が加速度的に老化し始めます。
卵子の質の低下は、高度な医療をもってしてもカバーできないものなのです。男性も加齢による妊娠力の低下はありえます。
次に、治療の中身をきちんと理解しましょう。漠然と「そこまではしたくないなあ」と感じて治療をためらっているだけで、実はどんなことをするのか知らないということはありませんか?
治療をきちんと理解したうえで決断しましょう。山下レディースクリニックの開院から約四半世紀、多くのかたがたとのかかわりの中で、これまでの妊娠例は1万に近づいています。
現在も最前線で日々治療にあたっている私の経験や知見に基づく最新の情報を、この本を通じてお伝えすることが、みなさんの今後の治療の道しるべとなることを心から願っています。
本について
項目 | 詳細 |
単行本 | 208ページ |
監修 | 山下正紀 |
出版社 | 主婦の友社 |
言語 | 日本語 |
ISBN-10 | 4074463687 |
ISBN-13 | 9784074463688 |
発売日 | 2021/1/27 |
梱包サイズ | A5(14.8cm×21.0cm) |
あとがき
不妊治療への関心が日に日に増しています。厚生労働省での保険適用の制度設計も、かなりすすんでいると聞いています。
不妊治療は日進月歩で、かつ患者さんひとりひとりに個別に対応するオーダーメイド治療の部分も大きいので、一律の保険診療になじみにくい部分があるのは確かです。
しかしこれまで、ややもすると治療を受けていることをオープンにしにくいような、「日陰」のイメージもあった不妊治療が、国をあげて支援する方向になったことは、子どもがほしいと希望する人たちが胸を張って治療に臨めることにつながり、それはとても大きな意義のあることだと考えています。
私たちが最初に不妊治療に取り組み始めたころは、良い結果が得られないことも多かったのですが、医学的な知見が多く蓄積され、技術も飛躍的に進歩し、レベルは格段にあがっていると実感しています。10年前と比べても、当時は妊娠が難しいと考えられていたかたでも、今では希望が持てるようになってきています。
ただ、年齢が上がり、卵子の質の低下が起こると、最先端の技術をもってしても、なかなかいい結果が出ないことは、以前の状況と変わらないという現実があります。
それぞれのご夫婦の事情はあっても、できるだけ早い時点で子どもを産める世の中の仕組みを作っていくことも非常に大事だと痛感しています。そうであるがゆえに、子どもがほしい人をできるだけ支援することが、個人の幸せにも寄与し、社会にとっても重要なのではないでしょうか。
現在の生殖医療は、医師ひとりひとりが行うものでなく、治療の成功は、看護師、胚培養士、カウンセラー、技術スタッフ、事務スタッフなど、多様なエキスパート達が力を合わせて治療にあたるチーム医療の最たるものです。なかでもART(高度生殖補助医療)においては、培養室がたいへんに重要な役割を担っております。
当院の現在のスタッフだけでなく、これまで当院の歴史の中で大いに力を発揮してくれたスタッフがいたからこそ、今の山下レディースクリニックがあります。その方々にも心から感謝しています。
助産師からのメッセージ
不妊治療のクリニックは年々増えてきていますが、どんな検査や治療をするのだろう、先生はどんな人なんだろう。クリニックの中の様子は?安全管理は大丈夫?など疑問や不安は多くの方が持っていると思います。
この本は山下レディースクリニックの院長が、ご自身のクリニックで行っている指導方法や、薬の処方、クリニックでの実績やデータも出しながら、妊活や不妊治療について優しく、詳しく解説してくれています。
まるで自分が通っているかのようにとてもイメージしやすいです。不妊治療をしていると誰もが一度は感じるたくさんのQ&Aにも丁寧に答えてくれているので、私もそれが知りたかった!と疑問が解決される方も多いのではないかと思います。
妊活や不妊治療は知識を得ることは大事ですが「行動すること」はさらに大切です。行動できていない、または一生懸命行動しているつもりでも、実はそれが最適な方法ではなく、妊娠から遠まわりしてしまっている時には「思い込み」や「勘違い」が原因のことも多々あるのです。
不妊治療にはたくさんの情報が溢れていますが、パンパンに詰め込んだ情報が、絡まっていた糸が解けるようにスッキリと整理されるのではないでしょうか。
不妊治療の先生は不妊治療をすすめるイメージがあるかもしれませんが、決してそんなことはなく、1番願っているのは「体と心とお金の負担が少なく、その方にとって最適な方法で赤ちゃんを授かれること」です。そんなお気持ちがとても伝わってきました。
また、不妊治療の進め方に正解はなく「ご夫婦に合わせたオーダーメイドであるべき」というのもとても印象的でした。
すでに不妊治療を受けている方も、これから考えている方も、検査や治療内容の知識を深めるとともに、ご自身で選択したり、思いを先生に伝える力もつくのではないでしょうか。クリニック選びに悩んでいる方も、選ぶ基準の参考になるでしょう。