内容
不妊治療を牽引している一人である著者が、女性の体や妊娠の仕組み、不妊治療について疑問に対する「真実」を答えてくれています。
たくさんの情報が溢れている中で「勘違い」や「思い込み」をなくし、正しい知識と行動、考え方を述べてくれており、「最短で授かる」ための自身に合ったステップアップもわかります。
目次
はじめに
最短での妊娠をめざして、今、あなたがすべきこと。
「生理があれば、いつでも妊娠できますよね?」
「卵子が老化するなんて知りませんでした!」
「男性にも原因があるなんて、だれも教えてくれませんでした!」
勇気を出して病院を受診したのに、はじめて聞くことばかり。現実に直面して、大きな衝撃を受ける。そんな患者さんがあとを絶ちません。
そして、必ずこう続くのです。 「もっと早く知っていたら……」
現在、日本で生まれる赤ちゃんの18人に1人は体外受精や顕微授精などの高度な不妊治療(ART=生殖補助技術)によって誕生しています。
それ以外のタイミング法や人工授精といった治療で生まれた子どもも相当数いますから、不妊治療の恩恵によって、多くの命が誕生しているのです。
私が生殖医療に携わり始めた30年前とくらべると、治療方法や技術は飛躍的に進歩しています。
当時は自分の子どもを持つのはむずかしいとされた無精子症にも子どもを授かる可能性が広がっています。
しかし、みなさんが持っている妊娠に関する知識は、残念ながらそのころと大きな変化はありません。
もしも「もっと早く」知っていたら、ライフプランを変更したり、行動が変わったりしたかたもいることでしょう。
そこで本書では、私がよく出くわすみなさんの勘違い、思い込みについてとり上げ、回答しました。
このなかには、医療関係者ですら勘違いしていた項目もたくさんあります。
ですから、みなさんが知らないのは当然かもしれません。
しかし、最短で妊娠するために大事なことは、まず「正しく理解すること」。高度な不妊治療に頼る前に、妊娠の仕組み、排卵や卵子、精子の現実を知りましょう。
まちがった知識のままで妊活して、貴重な時間をムダにすることにならないように。そして、これから妊活を始めようというかたは、短期間で妊娠できるように。ぜひ、本書を参考にしてください。
本について
項目 | 詳細 |
単行本 | 96ページ |
監修 | 浅田義正 |
出版社 | 主婦の友社 |
言語 | 日本語 |
ISBN-10 | 4074376598 |
ISBN-13 | 9784074376599 |
発売日 | 2019/4/30 |
梱包サイズ | A5(14.8cm×21.0cm) |
あとがき
35億年の生命を受け継ぎ、つなげるということ。 体外受精のときに、卵子の入った容器に多数の精子を入れると、精子たちはいっせいに卵子へと泳いでいきます。
たぶん、卵子が発するなんらかの物質を感じて向かっていくのでしょう。女性の体内に射精された精子もこれと同様だと思うのですが、その道のりは、なんと長く、過酷でしょうか。
精子には、目も耳も口もなく、意志もない。DNAにプログラミングされているから、ただそうしているだけ。 35億年前、地球に生命が誕生し、さまざまな動植物が生まれました。
人間もその一つであり、今自分が存在しているのは、ただの一度も途切れることなく、命のバトンが受け渡されてきたからです。だれ一人がかけても、自分は存在しなかった。
そう、あなたの先祖に不妊の人はいないのです。 私は、ふと思うのです。生き物の存在は、次の世代へと生命を運ぶ、コンテナのようなものなのだと。それなのに、あれこれと考えてしまうから悩みが生まれる。
そして、私たちは、つい自分を、人間を中心に考えてしまう。けれど、生殖は遺伝子の中のDNAが中心に回っている。それならば、主役は卵子と精子だと考えるべきなのです。
卵子が育つ、排卵する、射精する、着床する、出産する。これらは自分でコントロールできるものではありません。
そして、そのメカニズムは、いまだに多くが未解明で、わからないことばかり。それが生殖の根本なのです。
あなたは、妊娠について何か思い悩んでいますか?もう、その必要はありません。
あなたのパートナーの精子と卵子は、何も悩んではいないのです。偶然に成長した卵子が、たくさんいる中の精子に偶然出会う。
不妊治療はそれを効率よくするために、少し手を貸す医療です。その効果を最大限活用するためにも、正しい知識を持って治療に挑んでください。
知識を味方につければ、不確かな情報に一喜一憂したり、疑心暗鬼になったりすることなく、不安も解消するでしょう。
未来に命のバトンを渡すのだという。前向きな意識で治療に臨んでほしいと思います。
助産師からのメッセージ
妊娠出産は、科学で説明できることもあれば解明されていないこともあります。
著者は生命の神秘に敬意を示しながら、科学的に根拠があることとないことをきちんと示しながら説明してくれているので、気にした方が良いことと、気にしなくても良いことがわかります。
またタイトルにあるように「最短で授かる」ための不妊治療の進め方について、質問に答えながら優しく背中を推してくれています。
不妊や不妊治療というとネガティブに捉える方もいるかもしれません。ですが不妊治療は病気とは性質や概念が異なり、必ず直す必要はないこと、赤ちゃんを産んだら不妊のままでも不妊になっても問題ないんだよというメッセージが心に残りました。
逆に妊活のプレッシャーで不妊になってしまう方もいます。原因探求に時間をかけて回り道をするよりも、不妊治療で妊娠を目指すことができるということを長年の経験から伝えてくれており、勇気をもらえるのではないでしょうか。
精神面の悩みにも答えてくれていて、これまでたくさんの患者さんを診ていたからこそ説得力がありました。不妊治療で悩んでいる方には肩の荷がふっと降りて前向きに取り組めるきっかけになる1冊だと感じます。
すでに不妊治療を受けている方も、これから考えている方も、検査や治療内容の知識を深めるとともに、ご自身で選択したり、思いを先生に伝える力もつくのではないでしょうか。クリニック選びに悩んでいる方も、選ぶ基準の参考になるでしょう。