日本の産休ガイド: 申請方法から手当、男性の権利まで徹底解説

仕事を持つ女性も増えている中、妊娠 中の女性にとって、産休 は気になるサポートです。申請方法や手当の詳細、男性の権利など、制度の理解は煩雑な場合もあります。本記事では、産休の基本情報から手当の申請方法、男性にも適用される制度まで、詳しく解説します。安心して産休を活用し、健やかな妊娠生活を過ごすために、是非ご覧ください。

産休の基本情報

妊娠期間は、女性の体や心に様々な変化をもたらします。そのような特別な時期において、日本では産休制度が提供されています。産休は、妊娠中の女性が安定した状態で出産に向けて準備をするための休暇です。ここでは、産休に関する基本情報を解説します。

産休の目的とは?

産休の目的は、母体の健康維持や安全な出産、そして赤ちゃんの健やかな成長をサポートすることです。妊娠中の女性は、身体的な負担やストレスを軽減し、安心して出産に向けた準備をする必要があります。産休の目的について以下に3つ挙げます。

  1. 母体の健康維持: 妊娠中は、身体に様々な変化が生じる期間です。産休は、妊娠中の女性が十分な休息をとり、体力を回復するための時間を提供し、妊娠に伴う身体的な負担や疲労を軽減することができます。
  2. 安全な 出産 の準備: 出産は身体的にも精神的にも大きな負担がかかる出来事です。産休中に、出産に向けた準備や情報収集に時間を割くことができます。出産に対する不安や疑問を解消し、専門家のアドバイスを受けることで、安全かつスムーズな出産に向けた準備を進めることができるでしょう。
  3. 赤ちゃんの健やかな成長: 母親の健康状態や心理的な安定は、赤ちゃんの発育や発達にも影響を与えます。産休を通じて、妊娠期間中のストレスを軽減し、母子ともに健やかな状態を維持することができるでしょう。

産休の目的は、妊婦さんの健康と出産の安全を守りながら、赤ちゃんの健やかな成長を促進することにあります。この目的のため、産休の取得は重要なステップとなります。

産休が始まるタイミング

具体的な産休の始まりのタイミングは、労働基準法では、出産予定日の前6週間から産前休業が始まります。出産予定日が未定の場合は、医師の診断書に基づいて産前休業が取得できます。ただし、労働条件や就業規則によっては、これよりも早いタイミングから 産休 を取得できる場合もあるので相談してみてください。例えば、妊娠中の体調や状況によって特別な配慮が必要な場合や、個別の合意に基づいて早期の産休を取得することができることもあります。

産休の始まりのタイミングは、妊婦さんの健康や安全を考慮しながら、十分な準備期間を確保するために設けられています。したがって、所属する会社や労働条件によって具体的な始まりのタイミングを確認し、計画を立てることが重要です。

産休の期間

労働基準法によると、出産予定日の前6週間から産前休業が始まり、出産後は、最低でも8週間の産後休業が取得が可能です。ただし、出産後の休業期間は、出産の方法や母体の回復状態によって変動することもあります。例えば、帝王切開や合併症があった場合などは、より長い期間の休業が必要となる場合です。

また、個別の労働契約や就業規則によっては、これよりも長い産休期間を取得できる場合もあります。所属する会社や労働条件によって詳細を確認し、必要な休業期間を十分に取得することが重要です。

引用)厚生労働省 産前・産後の休業について

日本の産休ガイド: 申請方法から手当、男性の権利まで徹底解説

産休手当の申請方法

産休手当(出産手当金)とは会社を休んでいる間、給料が受けられない時に支給される手当です。健康保険の被保険者であればもらえます。被扶養者の場合は支給されません。条件が合えば、退職した後も産休手当がもらえる場合もあるので問い合わせしてみましょう。必要書類や、申請手続きの流れ、受給開始時期について解説しますので、早めに把握し、準備しておきましょう。

必要書類の準備

産休手当を申請する際には、出産手当金支給申請書が必要です。1枚目は被保険者記入用、2枚目は医師・助産師が記入する欄があります。3枚目は事業主が証明する書き入れる欄がありますので記入してもらいましょう。

引用)厚生労働省 Q&A~育児休業給付~

申請手続きの流れ

通常は、事業主側が、従業員に代わり申請します。場合によっては従業員が自分で申請する時は、出産手当金申請書を、必要となる証明を記入してもらった後、健康保険組合へ提出します。産休の間の手当をまとめて請求する時は、申請は産休の期間が終了後となります。産前・産後 で分けて申請もできますが、事業主の証明は毎回必要となります。産休の間の手当金といえども、実際の支給は申請してから数ヶ月後となるでしょう。

引用)協会けんぽ 出産で会社を休んだとき

受給開始時期

産休手当の受給開始時期は、産休が終了後に支給されるものとなります。出産日以前42日から、出産日の翌日以後56日の範囲で会社を休んだ間について支払われます。具体的な受給開始時期は個々の労働条件や就業規則によって異なる場合があります。勤務先に問い合わせ、受給開始時期を適切に把握しましょう。

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産休中の給与と手当

産休中の給与と手当は、雇用形態によって異なる場合があります。正社員、パートやアルバイト、公務員の場合での各々の給与や手当の仕組みを解説します

正社員の場合

正社員の場合、産休中の給与と手当の支給は通常の給与体系に基づいて行われ、金額は過去12ヶ月分の給料、標準報酬月額を基準として計算された日給の3分の2程度が支給されます。多くの企業では、労働基準法や労働契約に基づき、産前休業および産後休業中も基本給や諸手当が支給されることが一般的です。ただし、支給される給与や手当の額や期間は企業や労働条件によって異なるため、所属する企業の規定や労働契約を確認することが重要です。

パートやアルバイトの場合

パートやアルバイトでも社会保険料を払っていれば、加入している健康保険から給料の3分の2の出産手当金の支給があります。

公務員の場合

民間の会社と公務医では制度が違うので注意が必要です。公務員は共済組合に入り、出産手当金の制度自体はあります。しかし、基本的に手当の支給はありません。出産手当金は産休で仕事を休み、給料が出ない時の間の手当です。公務員は産休中でも基本的に給料は全額払われるので、出産手当金の支給はなしとなります。例えば、出産に伴い、仕事を休み、給料が減額となった場合は、出産手当金をもらうことも可能です。支給金額は民間の会社と同じ、日額の3分の2が支給されます。

男性にも適用される産休制度

男性にも産休制度が適用されることは、近年の働き方改革や男性の育児参加の促進を目指す社会の変化により注目されています。男性も家族の大切な時期を共に過ごし、赤ちゃんを育てるために産休を取得することができます。以下では、男性の産休取得の現状、メリット、取得方法と注意点について解説します。

男性の産休取得の現状

日本では男性の産休取得率は徐々に上昇していますが、まだ改善の余地があります。厚生労働省のデータによれば、2022年度の男性の産休取得率は約14%でした。(女性は85%)男性の産休取得を促進するための取り組みや意識の変化が進んでおり、その割合は増加傾向にあります。

産休取得のメリット

厚生労働省でも男性の育休制度について、促進につとめています。男性が産休取得するとどのようなメリットがあるのでしょうか。

  • ・家族の絆を深める:父親が積極的に関与し、母親と共に子育てに取り組むことで、家族の絆が深まります。子供の発達や幸福感にも良い影響を与えるとされています。
  • ・仕事と家庭の両立の支援: 男性の産休取得は、仕事と家庭の両立を支援する重要な手段です。父親が産休を取得することで、母親が出産と育児に専念できる環境を作り出し、仕事と家庭の負担を両立させることが可能となります。これにより、働く親が仕事に復帰しやすくなり、キャリアの継続や経済的な安定が図られます。

取得方法と注意点

赤ちゃんが誕生してから8週間以内の間に、4週間まで2回分割で取得可能です。

取得方法

  • ・事前申請: 産休を取得する前に、所属する会社や雇用主に対して事前に申請を行う必要があります。申請書や必要な書類を提出し、取得予定の期間や希望する休暇日数を明確に伝えましょう。
  • ・個別交渉: 会社や雇用主によっては、産休の取得方法について特定のルールや規定がない場合もあります。その場合は、個別に交渉を行い、産休の取得期間や条件を調整することが必要となる場合があります。

注意点

  • ・事前に確認:会社や雇用主の労働条件や労働契約を確認しましょう。
  • ・報告と連絡:適切なタイミングで上司や人事部に産休の取得予定や期間を報告しましょう。また、必要な手続きや書類の提出についても確認し、期限内に適切に行うように注意しましょう。
  • ・戻りの準備:産休が終わり、職場に復帰する際には、適切な準備が必要です。職場復帰日や業務再開の手続き、必要な書類の提出などを事前に確認し、スムーズに復帰できるようにしましょう。

男性の産休取得は、まだまだ普及していない地域もあるので、会社と話し合い取得していくことをおすすめします。

産休と双子や多胎妊娠

双子や 多胎妊娠 の方々が安心して産休を利用し、出産と育児に専念できるように、重要なポイントを詳しくご説明します。

双子や多胎妊娠の場合の産休期間

通常の妊娠に比べて産休期間が長くなり、出産日以前は、多胎妊娠の場合は98日(ひとりの場合は42日)です。産休期間は医師の判断や健康状態によって異なる場合もあります。双子や多胎妊娠の方々は、医師と相談しながら適切な産休期間を計画しましょう。

産休手当の計算方法

上記のように出産日以前の産休期間は98日となるので、算出した日給の3分の2×98日分の計算となります。

支援制度とサービス

双子や多胎妊娠特別手当や育児支援給付金など、追加の給付金や補助金が受けられる場合があります。地域によっては双子や多胎妊娠家族向けの育児教室や相談窓口、交流会などが開催されているので、これらの支援制度やサービスを利用してみてください。

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産休後の復帰と職場環境

産休が終わるといよいよ職場復帰です。職場環境も変わっているかもしれません。スムーズに職場復帰できるように詳しくみていきます。

育児休業制度との関係

育児休業制度は、働く女性が出産後、子供の世話や育児に専念するために一定期間の休暇を取得できる制度です。職場との円滑な連携や申請手続きの適切なタイミングを把握し、育児休業制度を有効に活用しましょう。

職場復帰の準備

産休後の職場復帰には、適切な準備が欠かせません。まずは職場復帰日や業務再開の手続きについて、事前に確認しましょう。必要な書類や手続きについても把握し、期限内に適切に行うように注意します。また、育児に関する支援策や職場の環境改善についても考え、職場とのコミュニケーションを円滑にしましょう。準備を整えてスムーズな職場復帰を実現したいですね。

育児と仕事の両立支援

育児と仕事の両立のためには、職場のサポートが重要です。柔軟な勤務時間やテレワークなど、働き方の選択肢を提供することで、仕事と育児の両立を支えることができます。さらに、保育施設や企業内の託児所の整備、育児休業復帰後のフォローアッププログラムなど、育児支援制度やサービスを活用することも有益です。職場とのコミュニケーションを大切にし、育児と仕事の両立を実現するための支援策を積極的に活用しましょう。

専門家より

仕事をしている女性は、出産に向けて、産休を取ること、その後の職場復帰など気になることも多いでしょう。産休制度はあなたが出産と育児にあなたが出産と育児に専念するための大切なサポートです。最近は父親となる男性も育休を取れるように進めています。どうぞ安心して産休の制度を利用して、大切な時間を赤ちゃんと家族とで過ごしましょう。

この記事を書いた人

東岡 えりこ

理学療法士
医療ライター