『胚培養士✖️助産師 特別対談Vol.5』初期の受精卵や胚盤胞のグレードと妊娠率が上がる2つのポイント

不妊治療をするときに出てくる悩みや不安・・。調べてみてもわからないことばかり・・・。ゆっくり聞いてみたいけれど、先生やスタッフさんはいつもお忙しいそうで、「こんなこと聞いていいのかな?」「恥ずかしいな」そんな気持ちがめぐって、今日も聞けなかった経験があると思います。今回はそんなお悩みに、子授かりネットワークを運営している「胚培養士」と「助産師」が8話に渡って対談形式でお答えます。第5回目は受精卵胚盤胞には「グレード」がつけられます。グレードの判断基準や、グレードと妊娠率とどのように関係しているのかを胚培養士が詳しく解説します。

受精卵や胚盤胞のグレード基準と妊娠率の関係

先ほど卵子の質についてお話を伺いましたが、不妊治療では受精卵のグレードをみなさん気にされますし、実際に大事なのかなと思うのですが、グレードというのは何なのでしょうか。

小野寺

グレードとは、すごく簡単にいうと受精卵の状態を見た目で判定するものです。
例えば細胞の数の多さや形の綺麗さを胚培養士が見て判定することが多いかなと思います。

胚培養士さんが見ているのですね。

小野寺

そうですね。グレードというのがおおよその妊娠率の参考になったりします。

受精卵のグレードと妊娠率はやっぱり関係はあるのですか?

小野寺

データ上では、おおよそどのくらい妊娠するのかは数字でわかったりしますね

ではその中で、子宮に戻す受精卵を決める目安になっているということですか?

小野寺

例えば順調に育った受精卵がいくつかあった場合に、医師と患者様の相談の中で、こっちのグレードの方が良いからこのグレードからお腹に戻しましょうというようなお話が行われることもあるかなと思います。

確かに指標になるものがないと、どの卵を戻したら良いか迷ってしまいますものね。

グレードは何段階くらいあるのですか?

小野寺

たとえば1~5までの5段階や、ABCの3段階などです。

あとは組み合わせで、例えば卵子の状態から受精して3日間くらい卵が育つと細胞の数が8個前後くらいになるんですが、8細胞のグレード1とか、そこからさらに2〜3日培養を続けると今度は形が大きく変わって胚盤胞という状態になるのですが、胚盤胞は将来赤ちゃんになる部分の細胞と将来胎盤になる部分の細胞に分かれます。

それぞれを例えばABCというような形でグレード付けをしたり、

その胚盤胞の大きさを段階で評価したりして例えば4AAとかそのようなグレードがついたりすることがありますね。

胚盤胞は大きさも大事なのですか?

小野寺

胚盤胞は完全に胚盤胞になったあと、自分自身で大きくなったり小さくなったりを繰り返しながらどんどん大きくなっていくんですね。
そのあと、卵の外側を覆っている卵の殻の部分があるのですが、どんどん大きくなっていくとその一部分を卵が自分自身で破って中身が外に出てきます。中身がお腹にくっついて着床する流れになるんですね。

自ら飛び出すのですね。すごく神秘的ですね。

小野寺

そうですね。私たち胚培養士はお腹の中に戻す直前の胚盤胞の形をみて、「元気がいいねとか形がかわいいね」と声をかけることもあります。

生命の力強さを感じますね。

初期の受精卵や胚盤胞のグレードと妊娠率が上がる2つのポイント

受精卵や胚盤胞には「グレード」がつけられます。グレードの判断基準や、グレードと妊娠率とどのように関係しているのかを胚培養士が詳しく解説します。

登壇者の紹介

胚培養士: 小野寺寛典

助産師:中 友里恵

  • 専門分野:妊活 不妊治療 妊娠期 分娩期
  • 学会・資格:助産師国家資格 看護師国家資格

この記事を書いた人

田村 由美

子授かりネットワーク 編集長