はじめに
赤ちゃんが生まれると、家族や周りの方々は様々な疑問や不安を感じるものです。その中でも、赤ちゃんの目のトラブルについては心配することが多いのではないでしょうか。赤ちゃんは自分で症状を訴えることがなかなか難しいです。そのため周りが気がつくことはとても大切です。新生児や乳児は、目の病気にかかるリスクが高く、早期発見と適切な対処が必要です。本記事では、新生児と乳児がかかりやすい目の病気の原因と症状、早期発見と対処法について詳しく解説します。知識を持って目の問題に対処していきましょう。
記事の目的と読者へのメリット
この記事の目的は、赤ちゃんの目の健康についての情報を提供し、保護者の方々に正しい知識を持ってもらうことです。赤ちゃんの目の問題は、早期に発見し早期に適切な治療やケアにより改善したり悪化を防ぐことができます。保護者の方々が、赤ちゃんの目のトラブルに気づき、早期に発見し、適切な対処をすることができるようになりましょう。
新生児と乳児がかかりやすい目の病気についての概要
赤ちゃんの目に関する病気は、新生児から乳児期にかけて特に多く見られます。代表的な病気として、ピンクアイ、麦粒腫、斜視、遠視、近視、白内障、緑内障などがあります。これらの病気の原因は様々で、細菌やウイルス感染、遺伝、先天性異常、アレルギー、ドライアイなどです。
赤ちゃんの目のトラブルは、視力の発達に悪影響を及ぼすことがあるため、早期発見・早期治療が重要です。また、赤ちゃんの目には自己治癒力があり、軽度のトラブルであれば自然治癒する場合もありますが、慢性化すると重篤な後遺症を残す場合もあります。保護者の方は、赤ちゃんの目の状態を常に確認して、早期発見・早期治療につながるような対応を心がけることが大切です。
新生児と乳児に一般的な目の病気
新生児や乳児は、視力が発達途上であるため、目のトラブルにかかりやすい時期です。赤ちゃんがかかりやすい目の病気には、結膜炎や白内障などがありますが、早期に発見して適切なケアをすることで、赤ちゃんの視力を守ることができます。以下では、新生児や乳児がかかりやすい目の病気について、簡単に説明していきます。
病気のリストと簡単な説明
- ・結膜炎(ピンクアイ)
結膜炎は、感染症、角膜の損傷、緑内障、目の内側の炎症などによって結膜が炎症を起こし、ピンク色になることがあるのでピンクアイとも呼ばれます。目やに、涙目、かゆみなどの症状が現れます。症状は目の充血・大量の目やに、涙目、かゆみなどです。感染症による場合は、感染力が強いことから「はやり目」と呼ばれ、目の洗浄や目薬による治療が必要となってきます。
引用)日本眼科医会 ウイルス性結膜炎
- ・塩基性ケミカルアイ
目にアルカリ性の化学物質が付着して、角膜や結膜に損傷を与えることにより起きる症状です。主に事故や、誤った使用によって、アルカリ性物質が目に入った場合に発生します。症状は、目の赤みや充血、痛み、視力低下、まぶしさ、涙目、目が開かなくなるなどがあります。この症状を発症した場合は、速やかに医療機関での治療が必要です。治療は、アルカリ性物質を洗い流し、損傷した部分の治療をすることが主な対処法です。また、症状によっては手術が必要になることもあります。 - ・ものもらい(麦粒腫)
まぶたの腺が脂質で詰まったり、細菌感染が起きる病気です。症状は、まぶたの赤みや腫れ、痛みが現れます。多くは自然に治癒しますが、数週間以上症状が続く場合もあります。膿がたまる場合は医師の処置が必要です。慢性化する場合もあるので注意しましょう。 - ・白内障
通常透明である眼の水晶体が白く濁る病気です。高齢者の方に多く見られますが、赤ちゃんにも発症します。赤ちゃんの場合、先天性白内障と呼ばれ、生まれつき水晶体が濁っているか、出生後1か月以内に発症することが多いです。原因は遺伝や環境など様々です。また、出生時に眼に受けたけがが原因で発症することもあります。白内障は、眼の視力低下やぼやけ、光がまぶしく感じる、色の見え方が変わるなどの症状が現れます。治療方法は、白内障を原因とする視力低下が著しい場合には手術で視力の改善を目指します。早期発見・早期治療が重要であり、定期的な健診が必要です。 - ・遠視
赤ちゃんの遠視は、近くの物が見えにくく、遠くの物は比較的良く見える状態です。赤ちゃんの場合、生まれつき遠視である場合がありますが、成長に伴い改善することもあります。遠視が進行すると、目が疲れやすくなり、目をこする癖ができたり、頭痛や目の痛みが起こることがあります。定期的な健康診断で赤ちゃんの目の状態を確認し、必要に応じて眼科医に相談することが重要です。
引用)日本眼科医会 子どもの遠視
- ・近視
遠くの物が見えにくくなる状態が近視です。遺伝的な要因や、網膜や硝子体などの病気によっても近視になることがあります。赤ちゃんが近視である場合、視力検査や眼科検査を受けることが重要です。また、眼が疲れないように適切な距離から物を見たり、適切な照明の下で絵本を読んだりするなどの対策が必要です。
- ・弱視
弱視とは、視力が正常に発達しないことによって引き起こされる視覚障害です。一般的に、弱視は早期に発見されなければ治療が困難になるため、早めに発見し適切な治療を行うことが重要です。弱視の治療には、眼帯を使用して強い目を弱くし、弱い目を鍛えることが一般的に行われます。定期的な眼科検診を受けることも、弱視の早期発見につながります。 - ・斜視
斜視とは、両眼の視線が異なる方向に向いてしまう症状のことで、赤ちゃんの場合、生まれつきあるいは生後数ヶ月から数年以内に発症することが多いです。斜視は一般的に、眼筋の動きが不調になることによって引き起こされます。斜視が発生すると、脳は両眼から受け取る異なる映像を処理するために異なる方法を使い始め、これが後に弱視を引き起こす可能性があります。治療方法としては、メガネやアイパッチ、手術などがありますが、早期発見と治療が重要です。
引用)日本眼科医会 子供の弱視・斜視
- ・緑内障
緑内障は、眼圧が高くなり、視神経が損傷を受けることによって起こる眼の病気です。赤ちゃんの場合、先天的に緑内障を持って生まれることがあります。緑内障が進行すると、視野が狭くなり、失明のリスクもあります。緑内障は、視昨日の発達も考えると、早期に発見され、治療を開始することが大切です。治療には、薬物治療の効果が少ないので、手術治療が第一選択に上がります。
引用)日本小児眼科学会 小児の緑内障
各病気の原因とリスク要因
病気 | 原因 | リスク要因 |
結膜炎(ピンクアイ) | ウイルス、細菌、アレルギー反応 | 免疫力の低下、汚れた手で触る、接触感染 |
塩基性ケミカルアイ | 強いアルカリ性物質との接触 | 石鹸、洗剤、化学薬品、清掃液などの不注意な扱い、使用 |
ものもらい(麦粒腫) | 細菌感染・炎症 | 免疫力の低下、汚れた手で触る、アレルギー |
白内障 | 水晶体の変性や損傷 遺伝 | 過度の紫外線暴露、タバコの煙 |
遠視 | 眼軸が短い、眼球が小さい、水晶体が弱い屈折力 | 遺伝 |
近視 | 眼軸が長い、眼球が大きい | 遺伝、至近距離で見る |
弱視 | 眼球や視神経の発育異常 | 生後6ヶ月までの早期治療がない場合、斜視や屈折異常の治療不足 |
斜視 | 目の筋肉の異常、脳の神経異常 | 遺伝、早産、生後1年未満での乱視、斜視の未発見 |
緑内障 | 眼圧の上昇による視神経の障害 | 遺伝 |
表に掲載されている情報は一般的なものであり、赤ちゃんによって病歴や症状によって異なる場合があります。気になることがある場合は、医師や眼科医にご相談ください。
早期発見と対処法
早期に症状を発見し、適切なケアを行うことは、視覚障害の進行を防ぐためにとても大切です。症状の見分け方や検査方法を知り、早期発見を心がけることが大切です。また、症状が現れた場合には、すみやかに医師への相談や適切なケアを受けましょう。詳しく解説します。
症状の見分け方や検査方法
眼の病気 | 症状の見分け方 | 検査方法 |
結膜炎(ピンクアイ) | 目の充血、目やに、かゆみ、痛み | 結膜下の炎症を検査 |
塩基性ケミカルアイ | 目の痛み、目やに、視力低下 | 目の損傷を確認する、結膜のPH検査 |
ものもらい(麦粒腫) | 目のかゆみ、赤み、目の腫れ、違和感 | まぶたの状態の確認 |
白内障 | 視界のかすみ、色の変化、光のまぶしさ | レンズの厚さを調べる、眼底検査、瞳孔を拡大する点眼薬使用 |
遠視 | 集中力が続かない、近くのものが見えにくい | 視力検査、眼底検査 |
近視 | 遠くのものが見えにくくなる、頭痛や目の疲れ、目の充血 | 視力検査、眼底検査 |
弱視 | 片目で見た時に、視力が他方に比べて著しく低い | 視力検査、眼底検査 |
斜視 | 両眼の焦点が合わないために、片方の目が動かなくなる。目が内側、外側に寄る | 一方の目を隠して見る検査、視力検査 |
緑内障 | 症状がないことが多いが、視野の欠損、眼圧の上昇、視力の低下 | 眼圧測定、眼底検査、視野検査 |
症状には個人差があります。少しでもおかしいな?と思うときは、眼科医に早目にご相談ください。
医師への相談や適切なケアについて
赤ちゃんの目の症状が気になる場合、まずは眼科医に相談することをおすすめします。適切な治療を受けるためには正確な診断が必要であり、医師による検査が必要です。症状が進行してしまう前に、早めに医師に相談することが大切です。
治療方法は病気や症状によって異なりますが、お薬や手術が必要な場合もあります。また、早期発見と正しいケアにより、症状を改善したり予防することができます。ケアについては、眼の清潔を保つ方法や、適切な照明や乾燥・アレルギー要因を防ぐ環境の確保、目の負担を減らすなど家庭でできるケアもあります。定期的な眼科検診も大切です。赤ちゃんの目の健康管理について不安を感じる場合は、眼科医に相談することをおすすめします。
まとめ
赤ちゃんの目の病気には、さまざまな種類があり不安に思われるかもしれません。赤ちゃんの病気については早期発見が大切なので、周りにいる方々が早く気づいて医師に相談することが、症状の改善や悪化の防止につながります。ここでは、目の病気の症状や原因、検査方法について解説しました。もし気になる症状がある場合は、すぐに眼科医に相談しましょう。赤ちゃんの目は発達途上にあります。これからの赤ちゃんの未来のためには、周りの方の気づきと定期的な検診が欠かせません。適切な治療とケアで、赤ちゃんの目の健康を皆で守っていきましょう。