赤ちゃんの笑顔をみると、何より幸せな瞬間を感じます。しかし、赤ちゃんが目をこすったり、目が赤くなったりしていると、不安や心配が募ってしまいます。
目の病気の中でも、赤ちゃんによく見られるのが結膜炎です。結膜炎は、炎症によって結膜が赤く充血し、目ヤニやかゆみ、痛みなどの症状が現れます。この症状に気づいた時、どのように対応したらいいのか悩むかもしれません。
この記事では赤ちゃんの結膜炎の見分け方や対応方法について、詳しくお伝えします。赤ちゃんは言葉で症状を伝えることが難しいです。そのため家族や周囲の方の気づきが赤ちゃんの目の健康を守るためには不可欠です。ぜひお読みください。
なぜ赤ちゃんは結膜炎になるの?
赤ちゃんが結膜炎になる理由はいくつかあります。一つは、赤ちゃんの免疫が未熟であることです。ウイルスや細菌に対して自分を守ることができず感染症にかかりやすくなります。二つ目は、赤ちゃんが汚れのついた手で目をこすってしまうことが多いためです。
赤ちゃんの手はいつも触りたいものを探しており、様々なものを触ります。手指衛生を完璧にするのは難しいので、細菌やウイルスが目に入り込むことになり、感染症を引き起こす可能性があります。また、出産時に母親から感染を受けた場合、出産後数日以内に新生児結膜炎を発症することがあります。
以上のような理由から、赤ちゃんは結膜炎になるリスクがあります。そのため適切な予防策や治療法を知り、早期に対処することが大切です。
赤ちゃんがかかる結膜炎の種類
赤ちゃんが結膜炎の原因によって症状や対処法が異なってきます。主な結膜炎は4つ、細菌性結膜炎、アレルギー性結膜炎、はやり目(流行性角結膜炎)、新生児結膜炎です。それぞれの特徴や症状について、解説していきます。
細菌性結膜炎
細菌性結膜炎は、細菌感染によって引き起こされる目の病気です。赤ちゃんがこの病気にかかると、目の充血や、黄色っぽい目やにが出るなどの症状が現れます。また、目のかすみや光がまぶしいといった症状も見られることがあります。風邪やインフルエンザなどの病気が原因で発症することもあり、保育園や幼稚園などで感染が広がりやすい病気です。
一般的に赤ちゃんは母乳や胎盤から免疫力をもらっており、生後6ヶ月までは免疫で感染を防いでいます。一方、生後半年から2歳までからは、赤ちゃん自身の免疫が作られていく時期であるため感染しやすく、結膜炎にもかかりやすい時期です。対処法として、抗生物質の点眼薬が一般的に使用されます。比較的薬が効きやすい病気です。早めに病院を受診しましょう。
引用)日本小児眼科学会 さまざまな眼の病気 結膜炎
アレルギー性結膜炎
花粉やダニ、ハウスダストなどが原因となり引き起こされるアレルギー性の目の病気です。赤ちゃんがこの病気にかかると、目がかゆく、赤く充血する症状が現れます。また、目の周りが腫れることもあります。特定の季節や環境で発症しやすく、特に春先や秋口に多く見られます。
赤ちゃんがアレルギー性結膜炎になった場合、まずはアレルギーの原因を特定し、それを避けることが大切です。また、目薬の使用、抗アレルギー薬の投与などの治療法があります。ただし、赤ちゃんに対しては、医師の指導に従い、安全性が確保された薬剤を必ず使用するようにしてください。
はやり目(流行性角結膜炎)
はやり目(流行性角結膜炎)とは、ウイルス性結膜炎の一つで、人にうつりやすいので「はやり目」と呼ばれます。アデノウイルスの感染により引き起こされる目の病気です。赤ちゃんがこの病気にかかると、目のかゆみ、充血、目やにが出るなどの症状が現れます。
この病気は多くの場合、集団感染が起こり、保育園などで流行することがあります。また、ウイルスは気温が高いときに活動も高まるため夏に発生率が高くなることがあります。
はやり目は、現在のところ特別な治療がありません。ウイルスに対して体の中で抗体ができるのを自然に待ちます。一般的には抗炎症と、細菌にさらに感染しないように、目薬の使用をすることで、症状の緩和が期待できます。赤ちゃんが、はやり目にかかった場合、感染力が強いため保育園などの集団生活を控えることが必要です。また、家族が手洗いやうがいなどの衛生対策を徹底し、家庭内での感染拡大を防ぐことが大切になります。
新生児結膜炎
新生児結膜炎は、生後2週間以内の赤ちゃんが発症する目の感染症です。この病気は、出産時に母親の膣内にある淋菌やクラミジアといった細菌やウイルスに感染することが原因となります。症状としては、目の充血、目やに、涙が出る、目が開けにくいなどがあります。
また、重症化すると角膜炎や眼球炎に進行することがあるため、早期の治療が必要です。治療には、病原菌に対して効果のある目薬や抗生物質が用いられます。予防には、出産前に母親が検査を受け、感染がある場合は早期に治療することが必要です。
結膜炎のサインとは?
赤ちゃんの目が赤く充血していたり、目やにが多く出ると、その原因として結膜炎が考えられます。結膜炎は、目の表面を覆う粘膜である結膜が炎症を起こす病気で、原因によって症状や治療方法が異なります。赤ちゃんは免疫力が未発達のため、目を触った手からウイルスや細菌に感染することが多く、結膜炎にかかりやすい傾向があります。
赤ちゃんの目に異常を感じた場合には、早期の対処が必要です。ここからは、結膜炎のよく見られるサインとなぜ赤ちゃんは結膜炎になってしまうのかその原因について説明していきます。
よく見られるサイン
赤ちゃんの結膜炎によく見られるサインは、
- ・目が充血する
- ・まぶたが赤く腫れる
- ・目やにが多く出る
- ・目を擦る仕草がある
- ・光に過剰に反応する
などがあります。赤ちゃんはまだ言葉を話せないため、親や周囲の人が注意深く観察することが大切です。特に、目が腫れ上がったり、目やにが大量に出る場合には、症状を放置すると、重症化する恐れがあります。赤ちゃんの目の異変に気付いたら、すみやかに医師の診断を受けることが大切です。
赤ちゃんの結膜炎のお手当て方法
赤ちゃんに結膜炎の症状があると心配です。しかし、適切な処置を行うことで、症状を軽減させたり、回復を促すことができます。家庭でできる対処法もあります。ここでは、赤ちゃんの結膜炎の手当て方法について紹介します。
細菌性結膜炎の対処法
細菌性結膜炎の場合は、まず眼科で医師に診てもらい、処方された目薬をきちんと使用することが大切です。また、赤ちゃんの目や周囲の清潔を保つことや赤ちゃんのタオルや枕カバー、おもちゃなども定期的に清潔にすることが必要です。家族の手洗いやうがいも怠らずに行い、細菌の感染を広げないようにしましょう。
アレルギー性結膜炎の対処法
アレルギー反応により引き起こされる結膜炎のため、アレルギーの原因を取り除くことが最も重要です。赤ちゃんがアレルギー反応を起こす原因は、ダニや花粉、ペットの毛、タバコの煙、食物アレルギーなど様々です。アレルギー反応の原因を特定できれば、その原因を避ける対処ができます。
また、目のかゆみを和らげるために、抗アレルギー点眼薬を使用することがあります。目薬は医師の処方箋が必要であるため、自己判断で使用することは避けましょう。
はやり目の対処法
はやり目の場合、症状が軽い場合は、自然治癒していく傾向にあります。しかし、ウイルスに直接効く薬が特になく、他人にうつりやすいため注意が必要です。対処法として、はやり目は感染する病気なので、周囲の家族は手洗いを徹底するなど感染予防策を守ることが大切です。
また、感染予防のため赤ちゃんは保育園などを休む必要もあります。ウイルスに効く特効薬はありませんが、抗炎症と、細菌に感染予防の目薬を使用することで、症状の緩和が期待できます。
赤ちゃんが目をこすったり触ったりすることを防ぐために、手袋やミトンを状況に応じて装着することもあります。目が腫れたり症状が強くあらわれる場合もあるので早めに眼科を受診することが必要です。
参考)公益社団法人 日本眼科医会 角膜の病気
結膜炎を防ぐための工夫と赤ちゃんの目のケア方法
赤ちゃんの目はとてもデリケートで、結膜炎の原因となる細菌やウイルスにたやすく感染することがあります。しかし、適切なケアと予防策を講じることで、結膜炎を予防することも可能です。予防方法には、手洗いや環境の清潔維持の方法や赤ちゃんの目に対するケアがあります。解説していきます。
結膜炎の感染を防ぐ方法
結膜炎の感染予防には、感染の原因となる細菌やウイルスから遠ざけることが大切です。まず、赤ちゃんの周りの環境を清潔に保ちましょう。そして手洗いはとても重要です。親や家族が手を洗うことで、病気を持っている人から感染するリスクを減らすことができます。
また、赤ちゃんが触れるものや、共有するものは定期的に消毒することも必要です。特に、おもちゃや乳児用品は菌が繁殖しやすいので、清潔に保つことが大切です。人混みや閉鎖された場所での長時間滞在は感染リスクが高くなるので、できるだけ避けるようにしましょう。
日々の生活の中で清潔を保ち、感染リスクを減らすことが赤ちゃんの結膜炎予防に役立ちます。
目のかゆみや充血に対するアドバイス
赤ちゃんの目がかゆくなったり充血したりした場合は、原因を探ることが重要です。もし結膜炎の症状がある場合は、先ほど紹介した対処法を行うことが必要です。
一方、目のかゆみに対しては原因に応じた対処が大切です。原因として多いのは花粉やハウスダストなどのアレルゲンです。特に春や秋など季節の変わり目には目のかゆみの症状が出やすいです。予防対策としては
- ・部屋の換気や掃除、加湿器の使用で室内の環境を整える
- ・エアコンのフィルターを清潔に保つ
- ・衣服やベッドリネンをこまめに洗濯する
などがあります。また、赤ちゃんは手を口に入れたり、汚れた手で目を触ったりすることがありますので、こうした行動に気をつけることが必要です。
赤ちゃんの目の分泌物のお手入れ
赤ちゃんの目の周りに分泌物が溜まっているときは清潔なガーゼやコットンを使って、目の周りを優しく拭き取りましょう。拭き取り方は最近では赤ちゃんの目の外側から内側に向かって拭く方法が推奨されています。
涙や分泌物が目の周りに残っていると、菌やウイルスの繁殖を促進するため、赤ちゃんの目を感染から守るためにも定期的な手入れが必要です。ただし、強く拭きすぎたり、赤ちゃんが急に動いて眼球に触れてしまわないように注意します。お手入れのあとは、手をしっかり洗いましょう。
日々の目のケアと気を付けたいポイント
赤ちゃんの目の健康を維持するには、日々のケアが重要です。すでに述べてきましたが目の周囲を清潔に保ち、適切なケアをすることで、結膜炎のリスクを減らすことができます。
また周囲の人が手洗いなど基本的な感染対策を徹底することも大切です。アレルギー性の場合は室内の環境の見直しや、寝具の清潔を心がけることで解決することもあります。日常的に赤ちゃんの目やしぐさを観察をして気をつけていくのがポイントです。
小児眼科での相談
目の気になる症状があれば、早期に眼科の受診をおすすめします。可能であれば「小児眼科」を専門とする眼科の受診がなお良いでしょう。小児眼科では、結膜炎の原因や種類を正確に診断し、適切な治療方法を提供してくれます。結膜炎の症状の改善方法や、再発を防ぐための予防方法、アレルギー性結膜炎の場合は原因の特定などが可能です。
また、医師は赤ちゃんの目の健康についてアドバイスすることもできます。目の症状は不安になることも多いので、ぜひ早めに診察を受けることをおすすめします。
まとめ
結膜炎は赤ちゃんの目の病気の一つで、様々な原因で発生します。症状によっては不安に思うこともあるでしょう。しかし、予防方法や症状について知り、正しいケアをすることで感染を予防したり、悪化を防ぐことができます。
赤ちゃんの目を守るために、日常生活の中で気を付けたりお手入れ方法をしっかりと把握しましょう。気になる症状がみられたら、早めに小児眼科や医師の診察をおすすめします。赤ちゃんのかわいい目を大切に守っていきましょう。