山内 敬さん(43歳)& 山内 大樹さん(46歳)NO.51

体験者について

女性プロフィール
仮名:山内 敬
性別:女性
年齢:43歳
職業:パート勤務
趣味:読書
妊活・不妊治療
1人目の治療
治療開始年齢:30歳
治療期間:4年




     

男性プロフィール
仮名:山内 大樹
性別:男性
年齢:46歳
職業:地方公務員
趣味:読書・映画鑑賞
妊活費用
採卵:20万円
治療:160万円
漢方:100万円


    
クリニック名:山王病院聖マリアンナ医科大学病院
※以下のインタビューは、あくまでの卒業生の感想であり、登場する個人・法人に関する感想として、1つの参考情報として頂けましたら幸いです。
妊活・不妊治療中の方へ 応援メッセージ

不妊治療は精神的な負担が大きい治療です。
治療がうまくいかなかった時、自分の後に結婚した友人が自然妊娠した時など、気持ちが不安定になっていまうことがあるかと思います。

そんな時に自分の気持ちをありのまま話せる場所があるといいと思います。「話す」だけで気持ちが楽になることがあります。  

不妊治療をしている患者さんを支援する団体があります。
そこでは有資格者によるカウンセリングを行っている場合があります。そういった場所を利用することもおすすめです。

インタビュー概要

2022年10月25日に敬さんにお答えいただきました。早発閉経卵巣機能不全)での不妊治療をされていらした敬さん。治療の途中でご主人から「特別養子縁組で養子を迎えないか」とのご提案があったそうです。『不妊治療は先の見えないトンネルの中にいるよう』とお話しされる方も多くいらっしゃいますが、見通しを立てておくことの大切さについてのお話がとても参考になります。敬さん、多くの貴重なお話をありがとうございました。
子授かりネットワーク Koshi

質問:不妊治療を始められたきっかけを教えてください。

Koshi

治療をしようと思われたきっかけを教えてください。

敬さん

20代前半から生理が止まり、地元の婦人科に通院していました。
婦人科では病気等は指摘されず、ホルモン剤で生理をおこしていました。

20代の終わりに結婚が決まり、妊娠ができるか心配になり、不妊治療の書籍を読むようになりました。  
書籍で知った「こまえクリニック」が不妊治療を考えている患者の相談を行っていると知り、相談へ行きました。

こまえクリニックで簡単な血液検査を行ったところ、「早発閉経(現在は卵巣機能不全という疾患名)」を指摘され、すぐに不妊治療を開始するように指示されました。
その後、こまえクリニックで紹介された山王病院で不妊治療を開始しました。

質問:治療の流れを教えてください。

Koshi

治療の流れについて教えて下さい。

敬さん

山王病院では私の検査を行い、「早発閉経(卵巣機能不全)」の診断がでました。
ホルモン剤で生理を人工的に起こしながら、血液検査の数値や内診で排卵しているか確認をしていきました。

通院頻度は月1~2回程度でした。治療が1年ほどたった時に、排卵が確認されました。
その卵子を採卵しましたが、残念ながら受精には至りませんでした。
その後も1年ほど同じ治療を行いましたが、排卵がないため何も進まないという状況に陥ってしまいました。

医師から「早発閉経の不妊治療は難しいので、早発閉経治療の研究が進んでいる聖マリアンナ医科大学病院へ転院しないか。」と提案があり、聖マリアンナ医科大学病院への転院が決まりました。  

敬さん

不妊治療3年目の32才の頃に、聖マリアンナ医科大学病院へ転院しました。

その頃にはこの疾患では妊娠が難しいだろうということを自分なりに理解していました。
しかしながら、当時早発閉経の治療で世界最先端を誇っていた聖マリアンナ医科大学病院に最後の望みをかけてみようと思いました。
そこまでやれば結果はうまくいかなかったとしても後悔はないだろうと考えました。  

敬さん

聖マリアンナではまず夫婦揃って検査を行い、夫は異常なしという結果でした。

治療はホルモン剤(錠剤・点鼻薬)、自己注射などで排卵を促すというものでした。
毎回血液検査と内診を行い、排卵の有無を確認しました。
検査の結果を見ながら、月数回通院していたと思います。

治療自体は山王病院と似ていましたが、排卵を促すための方法は豊富でした。
しかしそれでも排卵がありませんでした。  

敬さん

不妊治療を開始してから4年目の34才の春頃から数か月間治療を休みました。
その頃夫から「不妊治療を終え、特別養子縁組で養子を迎えないか」という提案がありました。
同時期に不妊治療専門のカウンセラー(看護師の有資格者)に今後の治療を相談したところ同じ提案をされました。
不妊治療を休んでいる間は「里親・特別養子縁組」について調べたり、実際に児童相談所や斡旋団体への見学へ行ったりしました。

実子ではない子を授かるという選択肢を決断したことで、34才の夏に治療を終えました。  

その後特別養子縁組で子どもを授かっています。

質問:クリニックを選ばれたポイントを3つ教えてください。

Koshi

クリニックを選ばれたポイント3つとその理由を教えてください。

敬さん

聖マリアンナ医科大学病院
・当時早発閉経専門の世界的権威の教授が診察を担当されていたから。

・早発閉経の最先端の治療が受けられる病院だったから。

・他の不妊治療クリニックでは治療方法がなかったため。

質問:クリニックの良かった点を教えてください。

Koshi

クリニックの良かった点を教えてください。

敬さん

聖マリアンナ医科大学病院では早発閉経(卵巣機能不全)に特化した治療を受けることができました。
通常の不妊治療クリニックでは早発閉経の専門的な知識を持った医師が少ないため、専門の医師にかかれたことは、心強かったです。

治療については排卵を促すために、ホルモン剤以外にも他の病院では提案されなかったサプリメントや点鼻薬等様々な方法を試すことができました。

早発閉経は不妊治療終了後も継続したホルモン治療が必要な疾患のため、現在も通院しています。治療後もフォロー体制も整っているところに安心しました。

質問:不妊治療以外で取り組んだことはなんですか?

Koshi

不妊治療以外で取り組んだことはありますか?

敬さん

漢方薬です。
自宅近くに漢方薬局があり、不妊治療にも効果があると聞いたので始めました。
基礎体温が低かったので、漢方薬で体温を安定させたいと考えました。

質問:大変だったことはどんなことでしたか?(検査・治療・お金・メンタル・仕事・・・)

Koshi

検査・治療・お金・メンタル・仕事などで大変だったことはどんなことでしたか?

敬さん

採卵20万、治療160万、漢方100万です。
当時助成制度が今ほどなく、また私に収入があったため、女性を受けることは出来ませんでした。

質問:お金について教えてください。

Koshi

お金について教えてください。

敬さん

採卵20万、治療160万、漢方100万です。 当時、助成制度が今ほどなく、また私に収入があったため、女性を受けることは出来ませんでした。

質問:治療を続ける秘訣を教えてください。

Koshi

治療を続ける秘訣を教えてください。

敬さん

治療を続ける秘訣は、あらかじめ不妊治療の見通しを自分で考えておくことです。
具体的にはどの段階まで治療進めるか、治療の終了時期のざっくりとした感じでいいので目安を決めておきます。

さらに治療がうまくいかなかった時にどのような人生を歩みたいか考えておくことも大切です。
私も含め不妊治療は全ての人がうまくいく治療ではありません。

治療開始時から治療がうまくいかなかった時のことを考えるのは矛盾しているようにも思いますが、治療が長期化するとかけた時間と金銭的なことを考えてしまい、先々の決断が難しくなってきます。

時間等の余裕がある不妊治療のスタート時に今後の見通しを考えておくといいと思います。  

敬さん

私は30才から5年間治療をやってみようと決めてから治療を始めました。

年齢だけ考えれば、40代半ばまでの15年近く治療することはできます。
ただ15年以上治療してうまくいかなかった場合、膨大な時間・お金を失ってしまいます。
様々なものを失い心身疲弊して治療を終了するよりも、自分に余力があるうちに治療を終了し、次の選択肢へいきたいと考え、実際に5年弱で治療を終了する決断をしました。

治療がうまくいかなかったことは残念な結果でありますが、30代のうちに次の選択肢へ進めたことは良かったです。

質問:ご夫婦で話し合ったことはどんなことでしたか?

Koshi

ご夫婦で話し合ったことはどんなことでしたか?

敬さん

治療中夫婦で不妊治療についてはあまり話し合いはしませんでした。
治療の進め方については、夫は私の意志を尊重してくれていました。

質問:夫婦のコミュニケーションで意識していたことはなんですか?

Koshi

質問:夫婦のコミュニケーションで意識していたことはなんですか?

敬さん

私は自分のことに精いっぱいで夫に対しての気遣いは特にしていませんでした。
私はよく不妊治療の愚痴を夫にしていましたが、夫は私が話すことを受け入れてくれていました。

質問:お互いのサポートで嬉しかったことはなんですか?

Koshi

ご主人様のサポートで嬉しかったことはなんですか?

敬さん

夫が私の気持ちを否定せず話を聞いてくれたことに感謝しています。
夫は不妊治療について、自分の意見(思い)をあまり話しませんでした。

しかし夫が「特別養子縁組」の提案をしてくれた時に、それまで夫がいろいろ調べ考えてくれたことが伝わってきました。夫の気遣いに感謝しています。

質問:治療中のストレス解消方法について教えてください。

Koshi

どんなことでストレスを解消していましたか?

敬さん

動物が好きだったので、ハムスターを飼って可愛がっていました。
ペットの世話をしていると辛い気持ちが紛れてよかったです。

質問:仕事との両立はいかがでしたか?

Koshi

お仕事との両立はいかがでしたか?

敬さん

フルタイム勤務をしながら、通院をしていました。
上司には不妊治療をしていることを伝え、通院する際には有休を使うことへの承諾を得てから、治療を開始しました。  

治療が始まってからは、有休を使いながら通院をしていました。
1時間ごとの休みが認められる仕事だったので、1時間単位で有休を使ってなるべく職場に居るようにしていました。

休んだ分の仕事は別の日に振り替えてました。
自分で仕事のスケジュールを立てられる立場だったため、通院に合わせて仕事のスケジュールを組み直せる点は良かったです。  

敬さん

仕事と不妊治療を両立するためには、普段から同僚との関係を良好にしておくことが大切だと感じました。

同僚には不妊治療のことを伝えてはいませんでしたが、仕事を休むと同僚に負担をかけてしまいます。
治療で仕事を休んだ分は必ず同僚に感謝の気持ちを伝える、自分ができる時は進んで同僚の仕事に協力するなど、一方的に自分が周囲に負担をかけるばかりにならないように気をつけました。

質問:勤務先の支援体制はいかがでしたでしょうか?

Koshi

勤務先の支援体制はいかがでしたでしょうか?

敬さん

支援体制はありませんでした。上司には不妊治療をしていることを伝えていました。

質問:不妊の治療をされている方や検討されている方へのアドバイスをお願いします。

Koshi

不妊の治療をされている方や検討されている方へのアドバイスをお願いします。

敬さん

不妊治療は精神的な負担が大きい治療です。
治療がうまくいかなかった時、自分の後に結婚した友人が自然妊娠した時など、気持ちが不安定になっていまうことがあるかと思います。

そんな時に自分の気持ちをありのまま話せる場所があるといいと思います。「話す」だけで気持ちが楽になることがあります。  

不妊治療をしている患者さんを支援する団体があります。
そこでは有資格者によるカウンセリングを行っている場合があります。そういった場所を利用することもおすすめです。