不妊とは、妊娠を望む健康な男女が、避妊をしないで性交渉をしているにもかかわらず、一定期間妊娠しないものを指します。
今回は、自然妊娠しにくいご夫婦が不妊治療のファーストステップとして取り組むことの多い タイミング療法 ( タイミング法 )についてご紹介いたします。
タイミング療法( タイミング法 )とは
今回ご紹介する タイミング療法( タイミング法 )とは、最も妊娠しやすいタイミングに性交渉を行う、医療の介入が最も低い、より 自然妊娠 に近い方法のことです。
クリニックの不妊検査できちんと排卵があり、精液の所見に問題がなければ、タイミング療法( タイミング法 )から治療を始めます。基礎体温 や 超音波検査 、尿中 LH検査 などを参考にしながら排卵日を予測し、効果的な性交渉のタイミングを医師が指導して、自然妊娠に目指します。
実はタイミング療法( タイミング法 )には、自然周期による タイミング療法 ( タイミング法 )と、排卵誘発剤 を使って人工的に月経の周期を作るタイミング療法( タイミング法 )と2つの段階あります。
不妊の原因が見つかったら、その治療や薬物療法を行いながら、 タイミング療法( タイミング法 ) を行うことが多いです。
タイミング療法( タイミング法 )を始める前に
まず、タイミング療法( タイミング法 )を始める前に以下の項目に問題がないかをチェックします。
- ・排卵があるか。
- ・卵管のどちらか片側は通っているか。
- ・精子検査の結果に問題がないか。
病院でのタイミング療法( タイミング法 )の種類と流れ
① 自然周期によるタイミング療法( タイミング法 )
ひとつ目の自然周期による タイミング療法( タイミング法 ) は、排卵のタイミングを伝え、そのタイミングで確実に性交渉をし、妊娠を目指す方法です。
毎朝、基礎体温を表につけ、排卵日近くに通院をし、超音波検査で 卵胞 の生育状態を観察し、排卵日を予測します。卵胞 は1日に1~2mmずつ大きくなり、直径が18~22mmになると排卵します。卵胞の大きさをから正確な排卵日を予測します。
次に血中・尿中の LH というホルモンの数値を調べます。超音波検査で卵胞の大きさと、子宮内膜の厚さから排卵時間を予測します。排卵時間の誤差は2~3時間です。
予測した排卵日の直後には、確実に 排卵 があったかどうかを調べます。
この治療方法は、年齢とともに妊娠率が低下するため、年齢的な時間に余裕があるご夫婦や、できるだけ 自然妊娠 を希望される方に適した方法になります。
② 排卵誘発剤 によるタイミング療法( タイミング法 )
①の自然周期 による タイミング療法( タイミング法 ) を数ヶ月ほど続けても妊娠が見られない場合や、タイミング療法( タイミング法 )や不妊原因を調べる検査で、 排卵障害 や 黄体機能不全 (黄体機能の分泌が悪い)が見つかった場合には、排卵誘発剤 (内服薬や注射薬)を併用したタイミング療法( タイミング法 )にステップアップします。
そして、自然周期 の タイミング療法( タイミング法 ) と同じ方法で 排卵日 と排卵時間を予測して、自然妊娠 を目指していきます。
排卵誘発剤とは
こちらの薬は、排卵誘発(卵巣刺激)を促すための薬の総称です。飲み薬には、クロミフェン製剤のクロミッドやジクロフェニル製剤のセキソビットなどがあります。注射剤は、FSH製剤やhMG製剤があります。注射は飲み薬よりも効果が高い分、卵巣過剰刺激症候群など副作用のリスクも高いので、排卵障害の程度や不妊治療の状況によって使用する薬を選びます。
セキソビット
また、多嚢胞性卵巣症 候群(PCOS) の方に以下のレトロゾールを使用することもあります。
レトロゾール
飲み薬と注射による 排卵誘発剤 を併用することもあります。
注射
hCG
*治療の内容については、クリニックや病院ごとに違い、料金によっても大きく変わってきます。
クリニックや医師によって考え方やアドバイスが違うので注意が必要です。
ご自身でタイミングを取る場合
ご自身で行うタイミング療法は排卵検査薬を薬局で購入、検査し、基礎体温表から排卵日を予測しタイミングをとる方法もあります。
以下のサインも排卵の兆候の参考になります。
- ・卵白のような透明なおりもの(帯下)が出てきている
- ・起床時に下腹部がシクシクとした痛みや違和感がある
*ご自身で、ある程度の排卵日を予測することは可能ですが、実際には排卵がご自身の思っているタイミングと異なっていることも多くあります。
生理不順が見られる方は特に正確に予測するのが難しいです。
自分たちでのタイミングによる夫婦生活でなかなか妊娠できないときは、一度指導を受けてみるといいでしょう。
タイミング療法( タイミング法 )の費用
気になるタイミング療法の費用は、通院や検査の回数、薬の処方のなどでひとりひとり異なります。
保険適用の範囲内であれば、1回2,000~3,000円程度です。ただし、排卵日を予測するために超音波検査を月に複数回受けたり、排卵を促すための排卵誘発剤を処方すると保険適用外となる場合もあり、1〜2万円程度かかる場合もあります。
タイミング療法( タイミング法 )からのステップアップ
女性の年齢などにもよりますが、3~6ヶ月タイミング療法や排卵誘発剤を使ったタイミング療法 を続けても自然妊娠しない場合は 人工授精 や 体外受精 などのステップアップ を検討します。
今回説明した、タイミング療法は不妊治療の最初のステップと言われるものの、心身や経済面での負担も少なく行いやすい方法です。タイミング療法は事前準備がとても大切で、自分の月経や排卵の周期を知ることが最も妊娠しやすい近道になります。
妊娠しやすい日にちは決まっているので、パートナーとコミュニケーションを取りながら排卵日に合わせてお互いのスケジュールや体調、パートナーシップを整えておくことが大切です。
以前、自然妊娠にこだわりたいと長くタイミング療法を続けていた方がいました。なかなか妊娠しないのでクリニックに行って男性不妊が見つかり、体外受精にステップアップしたところご妊娠されました。
妊娠方法に正解はありません。妊娠できたら正解なのです。まずは年齢や妊娠を急ぐ程度によって期間を決めて行ってみましょう。