臍帯血保存の利点 臍帯血バンクとは?あなたの赤ちゃんに最適な選択肢を解説

出産は新たな命の誕生を祝う大切な瞬間です。その貴重な瞬間に、未来の医療に寄与する選択肢があります。それが、臍帯血バンクです。この記事では、臍帯血バンクの基本から、あなたの赤ちゃんにとって最適な選択肢をわかりやすく解説します。

臍帯血保存の重要性とは

臍帯血保存は、血液疾患や将来の再生医療における貴重な資源として注目されています。このセクションでは、臍帯血保存の重要性と、それが家族や社会にもたらす可能性について掘り下げていきます。

臍帯血の定義とは何か?

臍帯血は、赤ちゃんと母親をつなぐ臍帯および胎盤内に含まれる血液です。この血液は赤血球や白血球、血小板を造る造血幹細胞が豊富に含まれています。臍帯血は出産時にのみ採取することができます。また、人工的には造ることができないのでとても貴重な血液となります。

なぜ臍帯血を保存するのか?

臍帯血の利点は、白血病や再生不良性貧血などの患者さんに幹細胞治療として臍帯血移植をすることで血液を造る力を回復させることができます。再生医療の分野でも効果が期待されており、様々な研究も進んでいます。

民間の臍帯血バンクを選択した場合には、将来的に赤ちゃんや家族内で医療が必要となった際の治療オプションとして使用することができます。このように、臍帯血を保存することは、未来の家族の健康や誰かの命を救うための貴重な資源となるのです。

参考元) いのちのサポーター

臍帯血バンクとは?あなたの赤ちゃんに最適な選択肢を解説

臍帯血バンクの種類

臍帯血バンクの種類は主に二つあります。一つはプライベートバンクで、赤ちゃん自身や家族のために臍帯血を保存するものです。もう一つは公共バンクで、必要な人々に臍帯血を提供するために保存します。

このセクションでは、これらの臍帯血バンクの種類を詳しく解説し、それぞれのメリットとデメリットを比較します。

プライベートバンクとは

プライベートバンクは、生まれた赤ちゃんや家族の将来の医療目的のために、臍帯血を家族用に保存するサービスです。保存された臍帯血は、必要な時にいつでも使用できるように保管されています。

例えば遺伝的疾患のある家族や、将来的に家族内での幹細胞利用の可能性を確保したいと考える家族に選ばれることが多いです。プライベートバンクの利用は、採取や保管に費用が発生しますが、個人的な保障と安心を得ることができます。

公共バンクとは

公共バンクは、厚労大臣の許可を得た臍帯血供給事業施設で保管されます。この公共バンクは現在、全国で6箇所あります。

寄付された臍帯血は白血病や再生不良性貧血などの重い血液疾患がある方の治療に役立てることができます。個人的な家族への使用はできませんが、寄付された臍帯血バンクのHLA(ヒト白血球抗原)が適合する確率は90%以上となっています。

参考元) 赤ちゃんを出産予定のお母さんへ

臍帯血バンクとは?あなたの赤ちゃんに最適な選択肢を解説

各バンクのメリットとデメリット

臍帯血バンクにはプライベートと公共用の二つの主要な形態があり、それぞれに独自のメリットとデメリットが存在します。家族のニーズ、臍帯血のコスト、将来的な使用の可能性を考慮して選択することが重要です。

このセクションでは、プライベートバンクと公共バンクそれぞれの利点と欠点を比較します。

プライベートバンクのメリットとデメリット

プライベートバンクの最大のメリットは、保存された臍帯血が必要時に自分や家族のために利用可能であることです。

一方、デメリットとしては、高額な初期費用や維持費がかかることが挙げられます。また、民間の臍帯血バンク採取を行える病院が限られていることも挙げられます。

希望する場合は、事前に出産する施設にも確認をしておくことが重要です。一定の保管料を支払っていても、実際に使用する機会が非常に低いという統計もあり、その費用対効果を慎重に考える必要があります。

公共バンクのメリットとデメリット

公共バンクへの臍帯血の寄付は無償で行われ、寄付された臍帯血が多いほど

遺伝的多様性が豊富な臍帯血が集まるため、より多くの患者が適合するドナーを見つけることができる可能性が高まります。公共バンクと提携している病院であれば提供が可能です。事前の問診や同意書の提出は必要ですが、その他に個人で準備をする必要はありません。

デメリットとしては、自分の家族が将来臍帯血を必要とした場合、寄付した臍帯血を直接利用することはできない点が挙げられます。

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臍帯血採取の流れ

臍帯血採取は事前準備はいくつかありますが、出産時には担当医師が採取を行い、赤ちゃんやお母さんに痛みや危害はなく臍帯血の安全性は守られています。

このセクションでは臍帯血採取の流れについてイメージしやすいようにお伝えします。

出産前の準備

出産前の準備として、臍帯血の保存を検討する家族は、まずプライベートバンクか公共バンクの選択を行う必要があります。

プライベートバンクを選択した場合、プライベートバンクの事業者と契約を結び、保存キットを受け取る手続きを進めます。一方、公共バンクへの寄付を考えている場合は、寄付の意向を事前に産院に伝え、同意書や問診の書類を受け取り記入しておきます。

プライベートバンクは出産予定日の数ヶ月前には手続きを始めた方が良いでしょう。それまでに臍帯血保存の意義やプロセスについて十分に理解し、準備を整えることが重要です。

出産時の採取プロセス

出産時の臍帯血採取は、赤ちゃんが生まれ臍帯を切断した後に行われます。赤ちゃんやお母さんに痛みや害はありません。

医師が残された臍帯血を臍帯と胎盤から規定量を無菌的に採取します。採取された臍帯血は、専用のバッグに保存し、感染症のチェックのために、退院までにお母さんの血液検査(約10ml)を行い、臍帯血と一緒に事業所へ届けられます。

公的バンクの場合、出産時に緊急の処置などがある場合は採取が困難な時があります。また採取できる時間や曜日に制限があるため、希望していても採取が行えないことがあります。

採取後の処理

採取後の臍帯血は、事業者に届くとまず品質と量の検査を受けます。規定量が確保され、品質基準に合致する場合、次に細胞の種類と数を特定するための詳細な分析が行われます。

このプロセスには、幹細胞の活性や感染症のスクリーニングも含まれます。分析とテストを経た臍帯血は、特殊な保存液と混ぜ合わせられ、ゆっくりと凍結されて長期保存の準備が整います。

参考元) 関東甲信越臍帯血バンク

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保存された臍帯血の利用方法

保存された臍帯血は、その豊富な造血幹細胞を利用して、様々な重篤な疾患の治療に革命をもたらす可能性を秘めています。

これらの幹細胞は、患者の健康と未来を大きく変える力を持っています。このセクションでは、保存された臍帯血の具体的な利用方法と、それによって開かれる医療の新たな可能性について探ります。

移植と治療への応用

保存された臍帯血の造血幹細胞は、骨髄移植と同様に、血液疾患や免疫系の障害の治療に広く利用されています。特に白血病やリンパ腫などの治療において、臍帯血移植は有効な治療法として認識されており、患者に新たな希望を与えています。

この移植方法は、適合性が高いドナーを見つけることが難しい場合にも、治療の選択肢を広げる重要な役割を果たしています。

研究と臨床試験での使用

臍帯血の幹細胞は、再生医療の研究分野においても極めて価値が高く、脳性麻痺や自閉症の治療の研究も進み、治療に期待ができる可能性を秘めています。今後もますます様々な分野の研究が進んでいくでしょう。

臍帯血バンクとは?あなたの赤ちゃんに最適な選択肢を解説

臍帯血保存を考える際の重要なポイント

臍帯血の保存を考える際には、費用、保存の種類(プライベートバンクか公共バンクか)、利用可能性、そして将来の医療の進展が含まれます。

このセクションでは、これらの要素を詳しく掘り下げ、臍帯血保存の選択を検討する家族が考慮すべき重要なポイントについて解説します。

コストと保険

プライベートバンクを利用する場合には初期の採取費用、処理費用、そして長期保管費用が含まれ、これらは数十万円に上ることがあります。出産時の保険適応にはならず全額が自己負担となることが一般的です。

一方、公共バンクへの臍帯血の寄付は無料です。プライベートバンクは将来、病気になった際の保険と考えることもでき、費用対効果を十分に考慮することが大切です

保存期間と将来の利用可能性

臍帯血の保存期間は公共バンクでは10年間、プライベートバンクは20年の保管期間を行う事業施設もあり、保管期間によって保管費用は変わってきます。

保存された臍帯血が将来的にどのような疾患の治療に利用可能になるかは、医療技術の発展次第です。このため、保存を決定する際には、将来の医療進歩を見越した上で、長期的な視点を持つことが求められます。

安全性と品質管理

臍帯血の採取、調整、保存過程での安全性と品質管理は、その後の利用価値を大きく左右します。公共バンクは造血幹細胞移植法に基づいた厚労大臣の許可を経て、厳格な基準とプロトコルに従って行われています。

プライベートバンクは国が定める基準と同様に行われいてるとは限らないため、厚生労働省に事業届けを出しているか、基準を満たしているかどうかを確認し事業者を選ぶことが、安全で質の高い臍帯血保存への第一歩です。

臍帯血バンクとは?あなたの赤ちゃんに最適な選択肢を解説

あなたの赤ちゃんにとって最適な選択

あなたの赤ちゃんに最適な臍帯血保存の選択をするには、多くの要因を考慮する必要があります。このセクションでは、これらの要素を踏まえた上で、どのように最適な選択を行うかについて具体的なガイドラインを提供します。

家族のニーズに合わせた臍帯血バンクの選択

家族のニーズに合わせた臍帯血バンクの選択は、家族歴や将来の医療計画を考慮することから始まります。

プライベートバンクは、赤ちゃんや家族が将来的に臍帯血の使用を必要とする場合に有効です。一方、公共バンクへの寄付は、社会全体への貢献を重視する家族に適しています。

これは、臍帯血を必要としている方に利用される可能性があるためです。最終的な選択は、家族の価値観、経済的な考慮、そして赤ちゃんの将来に対する願いを反映したものであるべきです。

未来への投資としての臍帯血保存

臍帯血保存は、幹細胞治療や再生医療の分野での進歩により、保存された臍帯血が将来的に様々な疾患の治療に使用される可能性が広がっています。

この観点から、臍帯血を保存することは、子どもや家族の将来の健康を守るための保険とも言えます。特に、現在は治療不可能とされている疾患に対しても、将来的には臍帯血の幹細胞を用いた幹細胞治療法が開発される可能性があります。

このため臍帯血保存は、医療の進歩とともにその価値が高まる可能性を秘めた、長期的な投資と言えるかもしれません。

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この記事を書いた人

中 友里恵