一人目が男の子、二人目が女の子、またはその逆の組み合わせ、といったケースも確かに存在しますが、同じ性別の兄弟姉妹が続く家庭も少なくありません。次に生まれる子供の性別について、多くの家庭では「一人目が男の子なら、二人目も男の子がいいのか?」や「既に二人女の子がいるが、三人目は男の子がほしい」といった願いもあるでしょう。
浜松医科大学の宗修平特任講師らは、全国規模の「エコチル調査」を基に、性別選択や「一人目、二人目の性別と関係」など、次に生まれる子どもの「性比」傾向を分析しました。
過去に連続して男の子または女の子を出産した家庭において、次も同じ性別の子どもが生まれる確率が高いという衝撃の結果が明らかにされました。この記事では、その研究結果を解説し、その意義についても考察します。
浜医大特任講師らによる性比に関する新研究
浜松医科大学の宗修平特任講師らは、国立研究開発法人国立環境研究所と共同で、エコチル調査の約6万人を対象に、生まれてくる子どもの性別と子どもの兄弟姉妹の性別の関連性について調べました。
その結果、連続して男の子を産んできた人からは、次に生まれる子も男の子の可能性が高く、女の子のみの場合は、次も女の子が生まれる可能性が高いことがわかりました。
本研究の成果は、2023年6月24日付で国際学術誌『PLOS ONE』に掲載されました。
研究の要点
子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)の参加者約10万人から、流産や死産、中絶を除いた約6万3,000人を対象に調査を行いました。具体的には、生まれてくる子どもの性別とその子の兄弟姉妹の性別の関連について分析しています。
第1子、第2子での性比の違い
初産で男の子が生まれる確率は、女の子1に対して1.055でした。また、第2子の場合、第1子が男の子であればその確率は1.068、女の子であれば1.039と、わずかながら確率に差が見られました。
第3子以降の性比の傾向
特に興味深いのは第3子以降での傾向です。過去に連続して男の子ばかりを出産していると、第3子が男の子になる確率は1.112と高くなりました。逆に、過去に女の子ばかりを出産していると、その確率は0.972と低くなりました。さらに男の子が3人、4人と続くとその確率はそれぞれ1.169、1.750と増加しました。
統計的解析結果
統計的に見ると、一人目が女の子で、二人目も女の子の確率は7%高く、既に二人男の子がいる家庭では、三人目も男の子の確率が高いという結果が出ました。
この研究は、家庭内での性比に関する新しい視点を提供しています。特に、同じ性別の子どもが続いて生まれる家庭で次に生まれる子どもの性別がどうなるかという点で新たな洞察を得られるでしょう。しかし、これらはあくまで統計的なデータであり、個々のケースには必ずしも当てはまらない点も考慮する必要があります。
※本研究の内容は、すべて著者の意見であり、環境省及び国立環境研究所の見解ではありません。
宗特任講師は「妊娠、出産については倫理面などの理由から研究が進んでいない点も多い」と指摘しています。「今回の調査を、妊娠のメカニズムの解明などにつなげたい」と話しています。
研究の主な発見まとめ
- 一人目が男の子であれば、二人目も男の子の可能性が高い。
- 既に二人女の子がいる家庭では、三人目も女の子の可能性が高い。
- 第3子以降での性比には、特に明確な傾向が見られました。
専門用語解説
この研究では特定の専門用語が使われています。以下にそれらの用語を簡単に解説します。
- エコチル調査: この用語は、「環境と子供の健康に関する全国規模の調査」を指します。一般的には、子供たちがどのような環境で育っているのか、その健康状態はどうか、といった多角的な情報を収集します。
- 二次性比: この用語は、「出生時の男女比」を指すものです。研究で用いられる際には、特定の集団において生まれた男性と女性の数の比率を数値で示すことが多いです。
次に生まれてくる子供の性別比に関する研究とその意義
この研究は、一人目と二人目の性別、さらには三人目の産み分けについての傾向を明らかにしています。それによると、一人目が男の子で二人目も男の子になる確率、または一人目が女の子で二人目も女の子になる確率がそれぞれ高い傾向にあるとされています。これは、特に一人目と二人目の性別に関心を持つ夫婦や、三人目の産み分けを考慮している家庭にとって、非常に重要な情報となります。
社会的意義
この研究が示す性比の傾向は、家庭計画や出産に関する意識や戦略、特に二人目の性別や三人目の産み分けのタイミングに影響を与える可能性があります。
特定の性別の子供を望む親、特に既に二人の女の子を持つ家庭で三人目として男の子を望む場合や、逆に既に二人の男の子を持つ家庭で三人目として女の子を望む場合にとって、性別選択においてこの情報は非常に価値があります。さらに、この研究は性別による社会的偏見やステレオタイプに対する新たな認識を提供するきっかけとなる可能性があります。
医学的意義
この研究から得られる性別比に関するデータは、不妊治療を受けている夫婦や特定の医学的リスクを持つ家族に対して、出生前診断や治療の選択肢を広げる可能性があります。具体的には、一人目が女の子で、二人目も女の子を望む家庭や、一人目が男の子で二人目が女の子を望む家庭など、性別選択に関する医学的アプローチが考慮されるでしょう。
他の国や地域での同様の研究結果
この研究が特に興味深い点は、その結果が他の国や地域で行われた研究と一致している場合があることです。例えば、アメリカやヨーロッパで行われたいくつかの研究でも、既存の子供の性別と次に生まれてくる子供の性別との間に一定の関連性が見られました。
特に、兄弟姉妹が同じ性別である家庭では、次に生まれる子供もその傾向が続く可能性が高いと報告されています。ただし、これらの研究は文化的、社会的、さらには遺伝的な要素によって影響を受ける可能性があるとも指摘されています。
- 米国における研究: 『Proceedings of the Royal Society B』などで発表された研究では、兄弟姉妹が全て同じ性別である場合、次に生まれる子供もその傾向が続く可能性が高いとされています。
- ヨーロッパの研究: ヨーロッパでも同様の傾向が報告されており、これは『Human Reproduction』などの学術誌で報告されています。
- アジアにおける研究: 中国やインドでも、特に男児が望まれる文化的背景から、第一子、第二子が男児であれば、第三子も男児である可能性が高いとされています。
よくある質問
Q1: この研究結果は、一人目、二人目の性別と関係がありますか?
A1: はい、この研究は全国規模で行われた「エコチル調査」に基づいており、一人目と二人目の性別に関するデータも含まれています。信頼性は非常に高いとされています。
Q2: 一人目が男の子で、二人目も男の子になる確率は高いですか?
A2: この研究によると、一人目が男の子の場合、二人目も男の子になる確率が若干高い傾向があります。しかし、これはあくまで確率であり、必ずしも二人目も男の子になるわけではありません。
Q3: 既に二人男の子を持っている家庭は、三人目で女の子を産む確率はどうですか?
A3: この研究は特に性別を希望する夫婦や、既に二人男の子を持っている家庭にも関連性が高いとされています。三人目で女の子を産む確率についても触れられていますが、専門の医師と相談することが推奨されます。
Q4: この研究結果を基に、二人目や三人目の産み分けのタイミングは考慮すべきですか?
A4: 研究結果は一つの参考情報ですが、二人目や三人目の産み分けに関する具体的なタイミングは、専門の医師と相談することが重要です。
産み分けゼリーも選択肢に?
この研究結果は興味深いものであり、一人目が女の子で二人目も女の子を望む、または既に二人女の子を持っていて三人目で男の子を望むといった夫婦にとっても参考になるでしょう。
そこで注目されるのが「産み分けゼリー」という製品です。このゼリーは、性別選択において、男女の精子が好む環境を作成することで、望む性別に近づく可能性があるとされています。
しかし、この方法は100%確実ではなく、医学的な証拠もまだ不足しています。それでも、産み分けの選択肢として一考する価値はあるかもしれません。