受精卵から才能を予測できるポリジェニックリスクスコアとは?

日本テレビで2022,1/10に放送された、お笑いコンビメイプル超合金のカズレーザーさんがMCを務める「カズレーザーと学ぶ」の2時間SP。
今回のテーマは『才能を生み出す遺伝と環境の不思議』

大阪大学のデータビルティフロンティア機構特任講師 山本奈津子氏により解説された「受精卵から才能を予測できるポリジェニックリスクスコア」について紹介します。

ポリジェニックリスクスコアとは?

​​ある個人が持つ、特定疾患の発症リスクを高めるすべての遺伝子バリアントをスコア化して、病気の発症や進展を予測する手法のことを指します。膨大な数の他人の遺伝子的特徴とのデーターと自分の遺伝子を比較することで自分の才能がわかる技術です。

そのためにはとても多くの遺伝子データーが必要となるため、医療の進歩発展のために国民の遺伝子データを収集・管理する組織として、世界にはいくつものバイオバンクがあり、イギリスではUKバイオバンク、中国の上海張江バイオバンクなどが挙げられ、日本にもいくつかあります。

現在では世界を合わせると500万人以上のデーターが収集されており、身体的特徴・健康状態・学歴なども保管されています。

ポリジェニックリスクスコアでわかることは?

莫大で詳細な情報と遺伝子データを分析すると、「こんな才能がある人はこんな遺伝子的特徴がある」と割り出すことができるのです。

例えば、足の速い人の体の遺伝的特徴とAさんの遺伝子と似ているかを比べ、80%一致していたら足が速い才能があると言えます。

ポリジェニックリスクスコアは理論的にはデータがあればどんな能力も計測可能と言われています。

例えば、2020年にアメリカの研修者たちが行った110万人の学歴データから割り出した学歴ポリジェニックリスクスコアから学歴をグループ分けをして追跡調査をしたところ、スコアの高い集団と低い集団で明確な学歴の差が明らかになりました。

ポリジェニックリスクスコアが注目される分野は

ポリジェニックリスクスコアが注目される分野として「医療、健康」で期待されています。

例えば、ガンになった人とそうでない人のポリジェニックリスクスコアを比較することで
ガンのポリジェニックリスクスコアを算出することができます。これにより、予防や早期発見に繋げることができると期待されているのです。

受精卵の段階で人生を予測できてしまうポリジェニックリスクスコア

ポリジェニックリスクスコアは受精卵でも調べることができます。
受精卵の段階でポリジェニックリスクスコアが行われた例として、アメリカのLife View 社の「受精卵サービス」が報告されています。

内容は体外受精の受精卵を複数作り、それぞれのポリジェニックリスクスコアを調べ、最もガンのリスクが少ないものを母体に戻しました。

受精卵の段階でポリジェニックリスクスコアを行うことの課題

受精卵の段階でのポリジェニックリスクスコアを行うことは、命の選別にならないのか医師や科学者物議を醸しており、今のポリジェニックリスクスコア技術の精度では誤差程度ではないかいうような議論もされています。

優秀な受精卵を選ぶ技術に揺れる倫理感の課題は大きいと言えるでしょう。

ポリジェニックリスクスコアを利用した研究の報告例

卵巣の加齢性変化を制御する遺伝因子 -妊孕性温存のための治療応用に期待-