FT(卵管鏡下卵管形成術)の費用はどれくらい?

卵管鏡下卵管形成術(FT)を検討する際に、多くの方が気になるのは「一体どのくらい費用がかかるのか?」という点です。近年では、不妊治療の保険適用範囲が拡大し、FTが保険適用に含まれるケースも増えています。しかし、保険点数が高いため、患者さんの自己負担額は十数万円を超える場合が少なくありません。
本記事では、保険診療と自費診療の両面からFTの費用を概観しつつ、高額療養費制度や医療費控除などの負担軽減策をわかりやすくまとめました。どの程度の予算を組めばよいのか、不妊治療を進めるうえで考えておきたいポイントをぜひご確認ください。

FT(卵管鏡下卵管形成術)費用の基本:保険適用でも自己負担が高め?

卵管鏡下卵管形成術(FT)は、不妊治療として行われる手術ですが、最近は保険適用となるケースが増えています。ただし、保険点数が高いことなどから、患者さんの自己負担は十万円単位に及ぶことも多く、「保険適用でも思ったより高額」と感じる方がいらっしゃいます。

保険適用でも注意が必要な理由

  • ・手術の内容が高度である
    卵管鏡やバルーンカテーテルなど特殊な器具を用い、手術室と麻酔を伴うため、保険点数は高く算定されやすい傾向があります。
  • ・片側or両側で負担が変わる
    片側だけの治療と両側の治療では、自己負担額が大きく異なります。両側を同時に治療する場合は、さらに負担が増える可能性があります。
  • ・高額療養費制度の対象
    保険診療であれば、高額療養費制度を利用し、一定の限度額を超えた分が後から払い戻されることも。事前の認定証申請などを行えば、月内の支払いを限度額内に抑えられます。

ポイント:FTが保険適用されていても、想定以上の自己負担が発生するケースがあります。高額療養費制度の利用を視野に入れながら、治療前に医療機関へ「だいたいどのくらいかかるのか」を確認しましょう。

医療費控除や自治体助成でさらに負担減?

  • ・医療費控除
    1年間にかかった医療費(保険診療・自費診療を問わず)が一定額(10万円、もしくは所得の5%)を超えれば、確定申告で医療費控除を受けられる可能性があります。保険適用分でも自己負担が高くなった場合は領収書を保管し、申告を検討しましょう。
  • ・自治体助成金
    体外受精顕微授精などの高度生殖医療が中心となることが多いため、FTを直接サポートする助成金はまれですが、中には独自の支援を行う自治体もあります。事前に調べておくと意外な補助が得られる場合も。

ポイント:保険適用だからといって医療費控除を受けられないわけではありません。自己負担額が年間10万円(または所得の5%)を超えるようなら、申告の準備をしておきましょう。

FT(卵管鏡下卵管形成術)の費用はどれくらい?

保険・自費別「費用シミュレーション表」+あなたの治療費予測チェックリスト

「保険適用なら安くなると思っていたのに、意外と高い」と感じる方や、「もし自費になったらどれだけかかる?」と不安な方のために、簡単なシミュレーション例と費用予測チェックリストを提示します。

おおまかな費用シミュレーション(保険・自費の両面)

区分費用イメージ注意点
保険診療数万円~十数万円以上(片側か両側かで大きく変動)高額療養費制度が適用される場合、一定の限度額を超えた金額が後から戻る可能性あり
自費診療数十万円に及ぶケースも少なくない不妊治療の保険適用外となった場合、全額負担が必要で医療費控除以外の公的補助がほぼ限定的

注意:どちらの場合も、手術の難易度や病院の設備、片側・両側手術の有無などで費用は大きく変動します。必ず複数のクリニックで説明を聞き、見積もり書を取得しておきましょう。

あなたの治療費予測チェックリスト

以下のチェックリストで治療費の予測をしてみましょう。

  1. 片側だけ?両側も?
    両側の治療を同時に行う場合、自己負担は大幅に上がる可能性があります。
  2. 日帰りor入院の必要性
    日帰り手術で済むなら費用が抑えられることもあるが、症状によっては入院コストが追加。
  3. 限度額適用認定証の申請
    保険適用の場合、高額療養費制度を使うなら事前申請しておくと窓口負担が限度額内で済む。
  4. 医療費控除・自治体助成をチェック
    年間医療費が10万円超えかどうか、自治体が独自の不妊治療補助を行っていないか確認。
  5. ほかの不妊治療も視野に入れる?
    FTの成功率や年齢を踏まえ、体外受精などへステップアップする費用も念頭に置く。

ポイント:複数項目が当てはまるなら、自己負担が想定以上になる恐れや、逆に高額療養費制度で大きく軽減される可能性があります。自分の状況を整理して、早めにクリニックへ相談しましょう。

FT(卵管鏡下卵管形成術)の費用はどれくらい?

FT(卵管鏡下卵管形成術)の費用に含まれる可能性のある項目

FT(卵管鏡下卵管形成術)の費用を考える際、手術代だけでなく、術前検査や入院にかかる費用、さらには術後のフォローアップ費用など、複数の要素が合わさって最終的な負担額が決まります。とくに保険適用であっても、両側治療や検査数の多さによって想定以上の自己負担が発生する場合が少なくありません。ここでは、FTの総費用を構成する主な項目と、その内訳について整理します。

手術費用・検査費用・入院費などの内訳

  1. 手術費用
    ・卵管鏡とバルーンカテーテルを用いた卵管拡張手術、麻酔代などを含む。
    ・保険適用でも高額になる場合があり、両側治療だとさらに増える。
  2. 術前検査費
    ・卵管造影、血液検査、感染症検査など不妊治療に必要な各種検査を含む。
    ・保険適用の範囲内でも検査数が多いと自己負担が増える可能性がある。
  3. 入院 or 外来手術
    ・病院によって日帰り手術が可能なところもあれば、1~2日入院が必要なケースも。
    ・入院日数に応じて自己負担が上乗せされる。
  4. 術後フォロー費
    ・定期検診や通水検査、薬剤費など術後ケアにも費用がかかる。
    ・再閉塞リスクがある場合、追加処置でさらに出費となることも。

注意:保険適用時でも、差額ベッド代や食事代などは自己負担になる場合があるので、合計金額に大きな差が出ることも考慮しましょう。

想定外の出費に備えるコツ

  • ・再手術の可能性
    再癒着や再閉塞が起きた場合、追加手術や検査費用がかかるかもしれません。
  • ・薬代・サプリ費用など
    術後の回復をサポートする鎮痛薬やサプリは保険対象外のことも多く、出費がかさむ要因に。
  • ・生命保険・医療保険の特約確認
    入院給付金や手術給付金が下りる保険に加入しているなら、FTが対象か事前に問い合わせを。
  • ・複数のクリニックで見積もりを比較
    病院ごとに手術費や必要な入院日数が異なるため、2~3院の情報を集めると平均相場が掴めます。

ポイント:想定外の出費を抑えるには、保険の特約や医療費控除、高額療養費制度を総合的に活用し、医療機関にも費用の詳細をしっかり確認しましょう。

FT(卵管鏡下卵管形成術)の費用はどれくらい?

よくある質問(Q&A形式)で費用の不安を解消

FT(卵管鏡下卵管形成術)の費用にまつわる疑問は、「保険が適用されているのになぜこんなに高いの?」「術後の通院や入院費はどうなるの?」など、多岐にわたります。そこで本セクションでは、実際に多く寄せられる質問をQ&A形式でご紹介します。自分の状況に当てはまるものがあれば、ぜひ参考にしていただき、必要に応じて医師やスタッフへさらに詳しく相談してみてください。

Q1.「保険適用なのに、どうしてこんなに高いんですか?」

実は卵管鏡下卵管形成術(FT)は、保険診療の点数が高くなるケースが多く、3割負担でも十万円を超える自己負担となりやすいと報告されています。片側より両側のほうがさらに費用が増え、高額療養費制度の対象になる場合も珍しくありません。

ポイント:あらかじめ「限度額適用認定証」を取得しておけば、窓口負担が一定の限度額内に抑えられるので、早めに加入している健康保険組合や市区町村役場に問い合わせましょう。

Q2.「自費扱いになった場合、助成金や医療費控除で安くできますか?」

自治体によっては不妊治療助成制度を設けているものの、FT自体を補助対象外としている所が多いのが実情です。一方、医療費控除は1年間で10万円(または所得の5%)を超える医療費がかかった場合に申告できるため、自費でも合算すれば還付金を受け取れる可能性があります。

ポイント:自費診療になった場合も、医療費控除や「配偶者が受診した不妊治療費の合算」などを考慮すると、実質的な負担をある程度減らせるかもしれません。

まとめ

卵管鏡下卵管形成術(FT)は、保険適用として行われることが増えた一方で、保険点数が高いため自己負担額はかなり高めになることが多い治療です。片側・両側の手術範囲や入院の有無などにより負担は変動し、高額療養費制度を利用できれば最終的に支出が軽減される可能性があります。また、医療費控除を受けることで年度末の確定申告時に税金が還付される場合もあるため、領収書やレシートは必ず保管しておきましょう。

仮に保険対象外となる場合には、自費診療として数十万円単位の出費が見込まれます。自治体による助成金制度は体外受精などの高度不妊治療が対象のことが多く、FTが補助対象になることは稀ですが、可能性がゼロではないため、住んでいる地域の情報をチェックしてみると安心です。

最終的には、担当医やスタッフからしっかり費用と支払い方法の説明を受け、自分のライフスタイルや仕事、家計状況と合わせて治療計画を立ててください。保険診療か自費診療かで費用は大きく変動するため、複数のクリニックに問い合わせて費用を比較するのも賢明な方法です。

参考)
厚生労働省 不妊治療に関する支援について

この記事を書いた人

東岡 えりこ

理学療法士
医療ライター