知っておきたい!子宮外妊娠とは?

子宮外妊娠という言葉を聞いたことはあっても、しっかり理解している方は少ないでしょう。今回は、子宮外妊娠の原因や症状、治療方法や予防法について解説。早期発見と治療の重要性、そして注意すべきポイントについても紹介します。

子宮外妊娠とは何か?

子宮外妊娠とは、 受精卵 が 子宮 の外で成長してしまうことを指します。通常、受精卵は卵管内で成長し、子宮腔に移動して着床しますが、子宮外妊娠の場合、受精卵が卵管の壁に付着したり、卵管の外に落ちたりすることで着床が行われます。子宮外妊娠は、卵管破裂 や出血、内臓の損傷などの重篤な合併症を引き起こす可能性があるため、早期発見と治療が必要です。

子宮外妊娠の症状と原因

子宮外妊娠は、受精卵が 子宮腔 ではなく、卵管 や卵巣 、腹膜内など子宮以外の場所に 着床 してしまう状態を指します。症状は、初期の段階では妊娠検査薬が陽性になりながら、生理が遅れたり出血や下腹部痛がある場合があります。進行すると、腹痛、吐き気、めまい、意識障害などの症状が現れることがあります。また、子宮外妊娠の原因として、卵管が詰まっている場合や、卵管が異常で受精卵が通りづらい場合、 子宮筋腫 や 内膜症 などの影響も考えられます。

子宮外妊娠の種類

子宮外妊娠には、 子宮角妊娠 、 卵管妊娠 、 卵巣妊娠 、 子宮頸管妊娠 、 腹腔妊娠 の5つの種類があります。

子宮角妊娠

子宮の上部(角部)に着床した場合で、最も一般的な子宮外妊娠の形態です。子宮角妊娠では、初期症状がほとんどないため、診断が遅れる場合があります。

卵管妊娠

卵管内に受精卵が 着床 する場合で、子宮外妊娠の中でも最も多いタイプです。卵管に受精卵が留まると、卵管が拡張して痛みや出血が生じることがあります。

卵巣妊娠

卵巣に受精卵が着床する場合で、比較的まれなタイプです。卵巣妊娠の場合、卵巣が破裂することがあります。

子宮頸管妊娠

子宮頸管内に受精卵が着床する場合で、比較的まれなタイプです。 子宮頸管妊娠 では、出血や痛みが生じることがあります。

腹腔妊娠

腹腔内に受精卵が着床する場合で、非常にまれなタイプです。腹腔妊娠では、激しい腹痛や内出血が生じることがあります。

引用元)子宮外妊娠の種類 – News Medical

知っておきたい!子宮外妊娠とは?

子宮外妊娠の診断方法

  1. 診察
    医師は、子宮外妊娠の可能性がある場合には、腹部や膣からの診察を行います。子宮外妊娠では、子宮内膜 が薄くなり、子宮が通常よりも小さくなっていることがあります。また、腹膜刺激症状が現れる場合もあります。
  2. 超音波検査
    超音波検査は、子宮外妊娠の確定診断に最も一般的に使用される方法です。超音波検査により、子宮外妊娠がどこにあるか、どのくらいの大きさか、周囲の臓器にどのような影響を与えているかを確認することができます。
  3. hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)値の測定
    hCG は、妊娠初期には急速に増加します。子宮外妊娠の場合、増加が通常よりも遅い場合があります。また、hCGの値が通常よりも低い場合もあります。ただし、hCG値だけでは子宮外妊娠の診断が確定するわけではありません。
  4. 内視鏡検査
    子宮外妊娠が疑われる場合には、内視鏡検査 が行われることがあります。内視鏡検査では、腹腔内にカメラを挿入し、子宮外妊娠の有無を確認します。内視鏡検査は、子宮外妊娠の確定診断に有用ですが、手術が必要であるため、リスクがあるというデメリットもあります。

子宮外妊娠の治療方法

子宮外妊娠の治療方法は、妊娠の進行度合いや患者の症状、年齢、希望などによって異なります。治療の目的は、妊娠組織を除去し、患者の健康を守ることです。

以下に子宮外妊娠の治療方法をいくつか紹介します。

1.手術治療

手術治療は、内視鏡手術または開腹手術があります。内視鏡手術は、腹腔鏡を用いて、子宮外妊娠部位にカニューレを挿入し、手術用器具を使って子宮外妊娠組織を摘出します。開腹手術は、腹部を切開して、子宮外妊娠部位を直接取り除く手術です。

2.薬物療法

薬物療法は、メトトレキサート という抗がん剤を使用する方法です。メトトレキサートは、子宮外妊娠部位の細胞分裂を阻止し、組織を吸収する効果があります。

3.経過観察

まれに、妊娠が早期で、子宮外妊娠部位が小さい場合は、自然に吸収されることがあります。ただし、この方法は注意深い経過観察が必要で、医師の指導の下で行う必要があります。

どの治療方法を選択するかは、患者の症状や状態によって異なります。子宮外妊娠が疑われる場合は、早期に医師の診察を受け、適切な治療を受けることが重要です。

知っておきたい!子宮外妊娠とは?

子宮外妊娠後の注意点

子宮外妊娠は緊急を要する病態であり、適切な治療を受けなければ命にかかわることがあります。治療後も注意が必要な点があります。以下に子宮外妊娠後の注意点をいくつか紹介します。

1.経過観察を継続すること

治療後は、定期的に医師の診察を受け、経過を確認することが必要です。定期的な超音波検査や血液検査を受け、体調や症状の変化がないかを確認しましょう。

2.体調管理

子宮外妊娠の治療後は、軽い運動やストレッチ、食事の改善など、体調管理に注意を払うことが大切です。術後に体調が悪化した場合は、すぐに医師に相談しましょう。

3.再発予防のための予防策

子宮外妊娠の再発を防ぐために、卵管の状態を確認するために 卵管造影検査 や 内視鏡検査 を受けることがあります。治療後は、適切な避妊方法を選択し、妊娠を控えることが重要です。

4.心理的なケア

子宮外妊娠は、体だけでなく心にも大きな負担をかけることがあります。治療後は、心理的なケアを受けることも重要です。自分に合った方法で、心のケアに努めましょう。

以上が、子宮外妊娠後の注意点の一例です。治療後は、定期的な検査や、体調管理、予防策の実施、心理的なケアに努め、再発を予防することが大切です。また、治療後に症状が現れた場合は、すぐに医師に相談するようにしましょう。

子宮外妊娠の予防方法

子宮外妊娠を完全に予防することはできませんが、以下のような予防方法があります。

  1. 避妊方法の適切な使用
    適切な避妊方法を使用することで、妊娠を防ぐことができます。コンドーム、避妊ピル、避妊リングなど、適切な方法を使用しましょう。
  2. 早期妊娠検査の受診
    妊娠が疑われる場合は、早期に妊娠検査を受けましょう。妊娠が確認されたら、定期的な妊婦健診を受けて妊娠の進行状況を確認しましょう。
  3. 経過観察の徹底
    妊娠初期から定期的に産婦人科での診察を受け、子宮外妊娠が疑われる場合は、適切な検査を受けましょう。
  4. 早期治療
    子宮外妊娠が疑われた場合は、早期に医師の診断を受け、適切な治療を受けましょう。
  5. 禁煙
    喫煙は、妊娠に悪影響を与えるだけでなく、子宮外妊娠のリスクも高めることが知られています。妊娠を希望する人は、禁煙することが望ましいです。

助産師からのメッセージ

中友里恵

妊娠初期は不安なことも多い中、子宮外妊娠だったらどうしよう、、とさらに不安になるかもしれません。確実に予防することは難しいかもしれませんが、適切なタイミングで受診を続けることで、正常な妊娠経過かどうかは見ていくことができます。心配な症状があれば、我慢せずに医師に相談をしてみましょう。

この記事を書いた人

田村 由美

子授かりネットワーク 編集長

この記事を監修した人

中 友里恵