結婚前に把握すべき子宮頸がん検査:ブライダルチェックでのステップと対策

結婚は人生の大きな節目ですが、その準備としてブライダルチェックは重要です。特に、子宮頸がん検査は、ご自身の健康と家族計画において重要な役割を果たします。この記事では、ブライダルチェックで行う子宮頸がん検査の必要性や、検査の流れや対処法について、わかりやすく説明をします。

ブライダルチェックの概要

ブライダルチェックは、結婚を控える女性が健康状態を総合的にチェックするための検査です。このチェックを通じて、未来の家族計画や妊娠に向けた準備が可能となります。パートナーとともに検査を受けることでお互いの健康状態を把握し、必要な対策を行うことができます。

ブライダルチェックの目的とは

ブライダルチェックの主な目的は、結婚前の女性が自身の健康状態を全体的に把握し、将来の家族計画に備えることです。この検査を通じて、健康や妊娠に関連するリスクを事前に把握し、適切な対策をとることができます。

また必要時には、早期に詳しい検査や治療に進むことができます。ブライダルチェックは、健康な結婚生活への一歩となるため、この機会を最大限に活用することが重要です。

ブライダルチェックで行われる検査項目

ブライダルチェックでは、オプションの内容にもよりますが、子宮頸がん検査のほか、血液検査、尿検査、マンモグラフィー検査、超音波検査、内診などがあります。これらの検査は、女性特有の健康リスクを評価し、必要時は速やかに医療介入を行うことができます。早期発見、早期治療ができれば、健康や妊娠のリスクを最小限にすることができます。

結婚前に把握すべき子宮頸がん検査:ブライダルチェックでのステップと対策

子宮頸がん検査の必要性

子宮頸がんは女性に特有の病気で、年々、発症する方が増えています。初期段階では症状がほとんど現れないため、定期的な検査が非常に重要です。このセクションでは、子宮頸がん検査の重要性と、それが女性の健康管理にどのように関連するのかを詳しく解説します。

子宮頸がんの基本情報

子宮頸がんは、子宮の入り口部分に発生するがんで、多くはヒトパピローマウイルス(HPV)の感染によって引き起こされます。性交経験があれば誰でも一度は感染すると言われており、男性も感染します。ほとんどの方は免疫によってウイルスを排除しますが、約10%の人はウイルスを持ち続け、やがてがんの前段階の子宮頸部異形成となります。そのまま治療をせずに経過すると子宮頸がんを発症します。

以前は40〜50代の女性が発症のピークでしたが、現在は20〜30代の女性の発症が増えており、30代後半がピークと言われています。毎年約1万人の女性ががんになり、2021年には約3000人の方が亡くなっています。初期段階では自覚症状が少ないため、定期的な検査が極めて重要です。

また、一定の時間をかけてゆっくり進行する病気のため、早期発見された場合には、治療の効果が出やすいため、早期発見がとても大切です。また、予防策としてHPVワクチン接種もあり、12〜18歳までの女性は公費のため無料で行うことができます。HPVワクチンは年齢などの制限はありませんが、性交経験の前に接種することで高い予防効果を発揮します。

子宮頸がん検査が妊娠計画に与える影響

子宮頸がん検査は、妊娠計画においてとても大切な検査です。特にがんが進行していると、子宮を摘出しなければならなかったり、円錐切除術やLEEP術などは子宮は温存できますが、妊娠中に切迫早産や早産になりやすいことがあり、ハイリスク妊娠となる可能性があります。

また、妊娠前に治療が必要な場合は妊娠が先延ばしになるため、ライフプランの変更が必要な場合もあります。子宮頸がん検査は、妊娠出産の希望を叶え、安心して妊娠生活を送るためにも重要です。

参考元)日本産科婦人科学会 子宮頸がん

結婚前に把握すべき子宮頸がん検査:ブライダルチェックでのステップと対策

子宮頸がん検査の流れ

子宮頸がん検査は細胞診とも呼ばれます。内診台で行うため、女性にとっては不安を感じる方もいるかもしれません。ここでは検査を受けるにあたっての注意点や、流れについて説明していきます。

検査前の準備と注意点

子宮頸がん検査の準備として、生理の時期は避け、生理終了後の数日を目安に検査を行うことが望ましいです。リラックスして臨むために、音楽を聞いたり深呼吸をすることも良いでしょう。露出を最小限にするために、ロングスカートなどのゆったりとした長い裾の服装がおすすめです。

検査に関する疑問を解消しておくことで恐怖心や不安を取り除くことができるので、わからないことがあれば事前に医師に確認しておきましょう。

検査プロセスの詳細

子宮頸がん検査のプロセスは、通常、内診台で医師が膣鏡を挿入し、検査用のブラシで子宮頸部を軽くこすり細胞を採取します。この過程は数分で完了し、痛みはほとんどありませんが、人によっては軽い不快感を感じる場合があります。検査後は少量の出血がみられることがありますが、数時間から数日で止まります。入浴は当日から可能です。結果は数日から1週間程度で出ます。

結婚前に把握すべき子宮頸がん検査:ブライダルチェックでのステップと対策

検査結果の解釈と対処法

子宮頸がん検査の結果は、がんの前段階の状態がいくつかにレベル分けされています。

この結果によって行う、精密検査の必要性や治療の有無は異なっていきますので、検査結果の解釈と対応については、医師から十分に説明を受ける必要があります。

正常な検査結果とその意味

正常な子宮頸がん検査結果は、子宮頸部にがんや前がん状態の細胞が見つからなかったことを意味します。通常は「NILM」と記載されていると陰性という意味です。

この結果は、現時点で子宮頸がんのリスクが低いことを示しており、一般的には定期的なスクリーニングを続けることが推奨されます。しかし、正常な結果であっても、将来的なリスクを完全に排除するものではないため、20歳以上の方は最低でも2年に1回は子宮頸がん検査を受けましょう。定期検査により、健康状態の維持と早期発見の可能性を高めることができます。

異常が見つかった場合のステップ

子宮頸がん検査に異常があった場合、子宮頸がんの手前の病変にもいくつかレベルがあり、

CIN1,CIN2,CIN3と記載されることもあれば、ASC-US、LSIL、HSILのように表すこともあります。精密検査が必要となる場合、コルポスコピー検査(コルポ検査)やHPV検査を行います。コルポ検査は、子宮頸部に特殊な顕微鏡を使用して、疑わしい細胞を一部切り取ってより詳細に調べる方法です。また、HPV検査は、子宮頸がんの主要な原因である高リスク型HPVの有無を確認するための検査で、特に高リスクの​​16、18型の型別判定と、その他12種類の高リスク型HPV(31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、66、68型)を検出します。

これらの検査により、異常の程度や治療が必要かどうかを評価できます。異常が見つかった場合でも、早期の段階で適切な治療を行うことで、良い治療結果が期待できます。

参考元)日本婦人科腫瘍学会 子宮頸部異形成の診断と治療(動画)

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Q&A:子宮頸がん検査に関する疑問

子宮頸がん検査については、多くの女性がさまざまな疑問を持っています。このセクションでは、一般的によくある質問と回答を集めました。検査の必要性、検査方法、検査結果の解釈、さらなる治療の選択肢など、子宮頸がん検査に関連するさまざまな側面についての疑問に答えます。

よくある質問と専門家の回答

Q: 子宮頸がん検査はどのように行われますか?

 A: 子宮頸がん検査は、主に細胞診が行われていて、子宮頸部から細胞を採取し、異常がないかを検査します。検査は数分で終了し、痛みはほとんどありません。

Q: 検査結果が異常だった場合、必ずがんがあるということですか? 

A: 必ずしもそうではありません。異常な結果が出た場合は、コルポスコピー検査やHPV検査などの精密検査を行います。これらの検査により、正確な診断と適切な治療計画を立てることができます。

子宮頸がん検査に関する誤解と真実

誤解: 子宮頸がん検査はとても痛い。 

真実: 通常は痛みはほとんどありません。ブラシで子宮頸部をこするときの感覚も、気にならない方もいます。検査自体はすぐに終わります。検査が痛いというよりも、膣鏡を挿入する時に痛みを感じる方はいらっしゃいます。

誤解: 子宮頸がん検査は若い女性には必要ない。

 真実: 子宮頸がんは若い女性に増えていて、早期発見のためには定期的な検査が推奨されます。特にHPVに感染している場合、定期的な検査が重要です。

結婚前に把握すべき子宮頸がん検査:ブライダルチェックでのステップと対策

妊娠に向けた健康管理

妊娠は女性の体にとって大きな変化をもたらします。そのため、妊娠を計画している段階から、体を最適な状態に保つことが重要です。健康な体は、妊孕力を高め、妊娠後も健やかに過ごせる可能性を高めてくれます。また、妊娠に向けてはパートナーとともに、健康管理を行うことが重要です。

妊娠前の健康チェックリスト

  1. 婦人科健診と子宮頸がん検査: 定期的な婦人科健診や子宮頸がん検査を受け、生殖器系の健康状態を確認する。
  2. 血液検査: ホルモンレベル、貧血の有無、感染症のスクリーニングを行う。
  3. メンタルヘルスのチェック: 自身のストレスや不安に感じることを見つめ直し、必要に応じて専門家に相談する。
  4. ビタミンとミネラルの摂取: 妊娠に必要なビタミンやミネラル、特に葉酸の摂取を意識する。
  5. 適切な体重と運動: 健康的な体重を維持し、定期的な運動を行う。
  6. 生活習慣の見直し: タバコやアルコールの摂取を控える、バランスの取れた食生活を心がける。

妊娠を望む全ての女性へのアドバイス

妊娠を望む全ての女性は、健康な生活習慣を維持し、定期的な運動とバランスの良い食事を心がけてください。ストレス管理を行い、十分な休息や睡眠を取ることも大切です。

妊娠に必要な栄養素、特に葉酸は、二分脊椎という赤ちゃんの病気を予防できるため、毎日、規定量を摂取しましょう。妊娠に関する知識を深め、不安や疑問があれば専門家に相談することも重要です。自分の体と心を大切にし、妊娠に向けて積極的に準備を進めてください。

結婚前に把握すべき子宮頸がん検査:ブライダルチェックでのステップと対策

まとめ:ブライダルチェックで得られる安心

ブライダルチェックは、結婚を控えた女性が健康なスタートを切るための重要なステップです。特に子宮頸がん検査は、将来の健康リスクを減らし、安心して妊娠に臨むために不可欠です。この検査を通じて、早期発見や早期治療が可能となり、妊娠中や出産における合併症のリスクを軽減できます。

また、妊娠に向けた健康管理を行うことで、母体と胎児の健康を守ることができます。ブライダルチェックは、将来の家族計画に向けた安心と自信になり、新しい生活の門出において、健康で幸せなスタートを切るための土台作りになります。

結婚前に把握すべき子宮頸がん検査:ブライダルチェックでのステップと対策

この記事を書いた人

中 友里恵