自治体が行うHPVワクチン接種に関する啓発活動については、知らないと回答した人が8割以上となり、信頼できる情報にもっと簡単にアクセスできる環境づくりが必要だと感じました。本調査の結果が、社会全体であらためて子宮頸がんとHPVやワクチン接種について考え、理解を深めるきっかけにしてほしいと思います。
調査実施時期:2024年2月22日(木)~2024年2月26日(月)
調査方法および人数:『ルナルナ』、『ルナルナ 体温ノート』、『ルナルナ ベビー』にて調査
有効回答数:女性 2,230名
■ 子宮頸がん検診の受診経験は20代前半で約4割。20歳になったらまず受診を!
Q.あなたは「子宮頸がん検診」を受けたことがありますか?
はじめに、子宮頸がん検診を受けたことがあるかを聞いてみました。「受けたことがある」71.6%、「今後、受ける予定がある」6.1%、「受ける予定はない」22.3%となりました。
年齢別でみてみると、30代以降は8割以上の人が受けたことがあると回答していました。一方で、「25〜29歳」69.6%、「20~24歳」では41.6%となり、20代前半では半数を下回る結果となりました。
Q.どのくらいの頻度で、子宮頸がん検診を受けているか教えてください。
国の指針では、20歳から2年に1回の子宮頸がん検診の受診が推奨されていますが、実際にどのくらいの頻度で受診をしているのでしょうか。
「1年に1回受診している」39.1%で最も多く、次いで「2年に1回受診している」22.1%、「過去に1回だけ、受診している」20.5%、「不定期だが、受診している」18.3%となりました。
年齢別に見てみると、30歳以上は1年に1回、もしくは2年に1回受診している人が6割以上となり、「25〜29歳」54.6%、「20~24歳」31.0%となりました。
子宮頸がんは年間1万人以上が罹患し約2,900人が亡くなっており、また、治療によって30歳代までに年間約1,000人が妊孕性(妊娠するための力)を失ってしまうと言われています※1。一方で、早期に発見されれば治療により治癒しやすいがんとされていますので、定期的に子宮頸がん検診を受け早期発見・早期治療に努めることが重要です。自治体から検診を無料もしくは安価で受けられるクーポンも配布されていますので、20歳になったらまず検診を受けてほしいと思います。
■ HPVワクチンの認知度は8割以上。一方で、公費助成で受けられることを知っている人は約3割
Q.「子宮頸がん」の予防として、HPV感染を予防するワクチンがあることを知っていますか?
子宮頸がん検診を定期的に受けるだけでなく、予防策を講じることも大切です。子宮頸がんにつながるHPV感染を予防する効果のあるHPVワクチンについての認知度はどれくらいでしょうか。「知っている」66.6%と「なんとなく知っている」17.7%を合わせると、8割以上の人が知っているという結果となりました。
Q.女性が接種する場合のHPVワクチンが、「厚生労働省の定めている予防接種」としてどのように定められているか知っていますか?
では、女性が接種する場合のHPVワクチンが、厚生労働省にどのように定められた予防接種であるのか「知っているか」を聞いてみると、最も多い回答が「知らない」47.7%、次いで「定期接種(公費助成)として接種可能」34.3%、「任意接種(自費)として摂取可能」15.5%となりました。
公費助成について知っている人は3割ほどでしたが、HPVワクチンは16歳までに接種すると最も効果が高いと言われており※1、その対象となる小学校6年生から高校1年生相当の女性が無料(公費)で接種できることを知っているか尋ねると、7割以上の女性が「知っている・なんとなく知っている」と回答しています。
子宮頸がんにつながるHPVの感染は、HPVワクチン接種で防ぐことができ、それにより子宮頸がんの原因の50~70%を防げると言われています※1。公費助成で受けられる対象の人は、接種についてぜひ検討してほしいと思います。
■ 「積極的勧奨」再開を受け、接種したい人は約3割、接種を希望しない理由は副反応を心配する声が最も多く・・・
Q.対象者に個別に接種を呼びかける「積極勧奨」の再開を受けて、あなたはHPVワクチンを接種したいと思いますか?
2013年から2021年の間、接種後に生じうる多様な症状などについて十分に情報提供できない状況にあったことから、個別に接種を勧める取組を一時的に差し控えていました。しかし、2021年11月に行われた専門家の会議により、安全性について特段の懸念が認められないことがあらためて確認され、接種による有効性が副反応のリスクを明らかに上回ると認められたことから、対象者に個別に接種を呼びかける「積極的勧奨」が2022年4月より再開されています※2。この再開を受け、HPVワクチンを接種したいかを聞いてみたところ、接種対象者のうち接種を希望する人(「すでに接種した」「接種したい」「どちらかというと接種したい」の合算)は35.5%、接種を希望しない・迷っている人(「できれば接種はしたくない」「接種する予定はない」「接種を迷っている」の合算)が34.9%となりました。2021年の調査※3では、接種を希望する人(「接種したことがある」、「今後接種する予定がある」の合算)は15.8%と2割弱であったため、「積極的勧奨」の再開によりHPVワクチンを接種する人が増えていることがうかがえます。
Q.「できれば接種したくない」「接種する予定はない」と答えた方にお聞きします。その理由について教えてください。/「接種について迷っている」と答えた方にお聞きします。その理由について教えてください。
では、接種を希望しない、または、接種を迷っていると回答した人の理由には、どのようなものが上がっているのでしょうか。
接種を希望しないと答えた人のトップ3は「接種後の副反応が心配だから」54.7%、「信頼できる情報がないから」30.6%、「接種の必要性を感じないから」23.1%で、迷っている人は「接種後の副反応が心配だから」71.2%、「接種の効果効用がわからないから」32.3%、「信頼できる情報がないから」28.3%でした。接種を希望しない人、迷っている人ともに、「接種後の副反応が心配だから」が1位となりました。
HPVワクチンも、ほかのワクチンと同様に痛みを感じたり、接種部位が少し腫れたり赤くなったりということはほとんどの人に見られるようです※4。また、まれに重い健康被害が生じる場合があるようですが、そうした場合には、申請し認定されると、法律に基づく救済(医療費・障害年金等の給付)が受けられます※5。ワクチン接種の際は、医療機関に相談したり、厚生労働省ホームページにある「HPVワクチンに関するQ&A(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou/hpv_qa.html)」を参考にするなど信頼できる情報をもとに、効果と合わせて副反応などリスクもきちんと知ったうえで判断してほしいと思います。
■自治体が実施するHPVワクチンの啓発活動を、8割以上の人が知らないという結果に!
Q.HPVワクチンに関する政府広報より発信されている情報を、見たことがありますか?
Q.あなたがお住まいの自治体において、HPVワクチン接種に関する啓発について、どのような取り組みをしているか知っていますか?
HPVワクチンに関する情報は、政府広報や自治体から発信されていますが、そのような情報を見たことがあるかを聞いてみました。
まず、政府広報より発信されている情報を見たことがあるかという質問に対しては、「見たことがある」14.5%、「見たことがある気がする」28.6%、「見たことはない」32.2%、「わからない・覚えていない」24.7%となりました。
続いて、自身の居住している自治体が実施するHPVワクチン啓発の取り組について知っているか聞いてみました。「知っている」5.8%、「なんとなく知っている」6.6%、「あまり知らない」34.4%、「全く知らない」53.2%となり、知っている人は1割強で、8割以上の人が知らないという結果でした。「知っている」「なんとなく知っている」と回答した人に、具体的な取り組み内容(自由回答)を聞いてみると、HPVワクチンの無料接種や子宮がん検診についての案内が届くため知っているという声が多く、医療機関に掲示されているポスターを見たといった回答もありました。HPVワクチン無料接種の案内や子宮頸がん検診のお知らせは、該当の年齢の人にしか届かないため対象となっている本人やその家族以外は、あまり知る機会がないのかもしれません。
前問のHPVワクチンを受けない、迷っていると回答した人の理由では、信頼できる情報がない、接種の効果効用が分からないといった回答が上位に上がってきていました。対象となる年齢の人はもちろんですが、男女問わず幅広い年齢層にも正しい情報に簡単にアクセス出来たり、知る機会が得られる環境づくりが必要だと感じました。
★HPVワクチンの情報はこちら:
厚生労働省「ヒトパピローマウイルス感染症~子宮頸がん(子宮けいがん)とHPVワクチン~」
≪慶應義塾大学 名誉教授 一般社団法人 吉村やすのり生命の環境研究所 代表理事 吉村泰典先生からのコメント≫
2016年より実施いただいている本調査で、ここ数年の子宮頸がんとHPVワクチンに関連する社会の理解や行動の変遷が可視化されてきました。関係各所のご努力のおかげで子宮頸がん検診に対する正しい理解は得られ、受診しやすい環境整備に対策の課題が変化しています。一方でHPVワクチンに対しては副反応等接種の選択を支える最新の情報が浸透していない現状を否めません。最近では、協力医療機関の中から地域ブロック別に拠点病院を設け、HPVワクチン接種に関する相談支援・医療体制の強化を図るなどの支援が拡充しており、全国どこにお住まいでも安心して接種いただく環境が整っています。今後は政府、地域、教育、医療がより連携を強化し情報発信に努めることが重要です。
≪一般社団法人シンクパール 難波美智代 代表理事からのコメント≫
今回も調査にご協力をいただきましてありがとうございます。9年目に入り、当初からは環境が変化しています。HPVワクチン接種の積極的勧奨再開や、東京都など自治体によっては定期接種世代の男子も無料で接種できるように議論が進んだり、定期接種を知らなくて接種の機会を逃してしまった「誕生日が1997年4月2日~2007年4月1日の女性」が令和6年度中であれば、無料で接種できる(通常は10万円程度)キャッチアップ制度の実施、さらに子宮頸がん検診の方法の推奨レベルが変わったりしています。ここで大切なのは最新の確かな情報を入手することだと改めて考えます。現在、シンクパールがWHO(世界保健機関)や政府と連動して実施している啓発プロジェクト「TealBlueJapanキャンペーン」でも今年の11月17、18日のライトアップに向けて地域の連携を進めています。必要な人に情報が届き、子宮頸がんから未来を守ることができる日本を一緒に実現していただきたいです。
今後も『ルナルナ』は、サービス提供を通じ婦人科医療へのアクセシビリティ向上を図ると共に、「FEMCATION®(フェムケーション)※6」を通じて、年齢や性別を問わず誰もが、女性のカラダやココロについて正しく学べる機会を創出し、あらゆる女性たちが、より生きやすく、暮らしやすく、働きやすい社会の実現の一助となることを目指します。
※1:厚生労働省「HPVワクチンについて知ってください 子宮頸がん予防の最前線」
※2:厚生労働省「ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンの接種を逃した方へ~キャッチアップ接種のご案内~」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou/hpv_catch-up-vaccination.html
※3:ルナルナ×シンクパール 共同調査~女性特有のがんとHPVワクチンについて~
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000877.000002943.html
※4:厚生労働省「女性の未来の健康のため、今からできること ワクチンと検診で防ぐ子宮頸がん」https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou_kouhou/kouhou_shuppan/magazine/202305_00002.html
※5:厚生労働省「HPVワクチンに関するQ&A」
※6:「FEMCATION®」は(株)エムティーアイの登録商標で、FEMALE(女性)とEDUCATION(教育)を掛け合わせた造語です。
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サイト名:ルナルナ®
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概要:ライフステージや悩みにあわせて女性の一生をサポートする健康情報サービス
<無料コース>生理日予測を始めとする、女性のカラダとココロの健康管理サービス。過去の生理日から生理日・排卵日を予測し、日々の体調変化をお知らせします。
<ベーシックコース>デリケートな女性のカラダとココロの健康情報サービス。生理日管理に加えて、あなたにあったカラダやお肌、ココロの状態を365日サポートします。
<ファミリーコース/プレミアムコース>妊活から妊娠・出産までを独自の予測ロジックやアドバイスでサポートするサービス。妊娠しやすいタイミングを「仲良し日」としてお知らせし、妊活を手厚くサポートします。
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課金額(税込):ベーシックコース:月額198円(税込)、ファミリーコース:月額330円(税込)、プレミアムコース:月額 400円(税込)
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アクセス方法:『ルナルナ』で検索
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