出産・産後に対する印象「大変」83%に対し「幸せ」は51% 10月10日産後リカバリーの日に「産前産後10の重要課題2023」を発表

一般社団法人日本リカバリー協会(事務局:神奈川県厚木市、代表理事:片野秀樹、以下 当協会)は、未病産業研究会休養分科会を母体として参画・協賛企業とともに立ち上げた「産後リカバリープロジェクト」で、『産前産後10の重要課題2023』を2023年10月10日(火)「産後リカバリーの日」に開催した『産後リカバリープロジェクト 第1回シンポジウム』 で発表しました。

「産後リカバリープロジェクト」は、「産後」を一つのターニングポイントとして正しいヘルスケア知識を広げ、日本人の生涯にわたる健康や QOL、子どもの健全な成長をもっと社会で応援していくために立ち上げました。当プロジェクトは、一般社団法人日本疲労学会、神奈川県未病産業研究会、神戸リサーチコンプレックス協議会が後援となり、専門的な視点からのアドバイスを得ながら、今まであまり進んでいなかった産後の女性、及び夫婦へのリカバリーの意識を高める活動を行っています。

  • 「産前産後10の重要課題2023」を発表

「産前産後10の重要課題2023」は、産後リカバリープロジェクトで実施した667人への産前産後の課題に関するアンケート調査と10万人の調査をもとに作成した「産後リカバリー白書」をもとに、参画・協賛企業、産前産後に関わる有識者の方、また参画企業の株式会社ベネクスのアスリートアンバサダー2名の方も参加し、内容を決定しました。

<産前産後10の重要課題2023> https://sungo1010.jp/ 

1. 妊娠中と比べて産後の情報が少ない

2. 「休めない」意識は産後1.5倍に

3. 回復が十分でないまま社会復帰せざるをえない

4. 産後の体のケアの満足度が低い

5. 核家族・一人親世帯などで頼れる人が少ない

6. 妊婦歯科健診の受診率は3割

7. 今や5人に1人の帝王切開出産。心のケアへの理解不足

8. パパ育休へのモヤモヤ

9. 男性の産後うつが見過ごされている

10. 産後リカバリーは産前から始まっているという事実

〈陸上競技・女子100mハードル:寺田明日香選手コメント〉

10代のころから出場した数々の国際大会では、子どもと手をつないで歩く海外の女性アスリートの姿を何人も見てきました。

約15年経つ今でも、国内の女性アスリートの環境に大きな変化はなく、結婚もしくは出産を機に引退する女子選手がまだまだ多い状況です。

競技や仕事のために大事なライフイベントをあきらめてしまうのはあまりにも悲しい。出産後も選択肢があり、周囲の理解や助けがある社会になればいいなと願っています。産後リカバリープロジェクトが、そんな社会づくりの一助になることに期待しています。

〈ライフセーバー:堀部結里花選手コメント〉

私自身、競技復帰をするためにどのように産前産後を過ごしたら良いのか情報収集にとても苦労し、最後行き着いたのはやはり自分の身体は自分が一番よくわかっているから自分を信じてあげるしかないというところでした。だからこそ、みんながもっとママたちに寄り添うための素敵な企画に参加できて大変嬉しく思います。

1.    妊娠中と比べて産後の情報が少ない

妊娠中はサポートも厚く安心感がありますが、自らで自分に合った情報を見つけざるをえないことが多い産後。しかし正しい情報や自分にあった情報を見つけるのは難しく、また、まだまだ情報量自体も不足しています。産後ケア(日帰り)の利用状況についてきいた質問では、ほとんどが「知っている」と回答しましたが、実際に「利用した」のはわずか1割。「知らなかった」と回答した人の内、「知っていれば利用したかった」と答えた産後女性が約7割にのぼりました。

2.    「休めない」意識は産後1.5倍に

心や体が悲鳴を上げていても、とにかく「休めない」のが産後。時間、人手、気持ち、お金などさまざまな事情が考えられ、それは一つではなく、複数が絡み合っていることで、「役割があり、休めない」と諦めざるをえない状況に陥っているのではないでしょうか。

3.    回復が十分でないまま社会復帰せざるをえない

30年前と比べて、ワーキングマザーは大きく増加。仕事への意欲から、経済的になど、産後数か月で仕事復帰する女性も少なくありません。育休は原則として子どもが1歳になるまで認められていますが、「回復していない」と感じたまま復帰せざるをえないケースもあります。

4.    産後の体のケアの満足度が低い

「お腹の赤ちゃんのため」と、妊娠中は自分自身の体のケアに熱心だったにもかかわらず、出産した途端、お世話に追われて自らをかえりみる余裕がなくなってしまう産後。調査では、リカバリーの状態に「不満足」であると回答した産後女性が約6割という結果でした。

5.    核家族・一人親世帯などで頼れる人が少ない

産後女性の状況の困難さが語られるとき、仕事との両立と共に、“弧育て”問題が多く挙げられます。2021年の調査では、三世帯同居率はわずか13%。産前産後調査でも、頼れる人の少なさや、独感に疲弊しているという切実な声が多く寄せられました。

6.    妊婦歯科健診の受診率は3割

市区町村にもよりますが、妊婦健診同様、母子手帳と共に渡される妊婦歯科健診の受診票。使用率はわずか3割程度だそうです。妊娠中の体の変化が引き金となって起こる妊婦歯周病は、アルコールや喫煙、高齢出産などと比較し、早産・低体重児出産に約7倍の影響があると言われます。こうした情報の不行き届きや受診率の低さは、産前の大きな課題ではないでしょうか。

7.    今や5人に1人の帝王切開出産。心のケアへの理解不足

帝王切開出産は30年前から倍以上に。この数字に、「人ごとではない」と気づかされる人も多いでしょう。帝王切開出産の内、およそ6割が分娩中に急きょ決まる緊急帝王切開だと言われます。体の痛みはもちろんのこと、「やっぱり自然に生みたかった」など、気持ちの整理のつかないまま出産後何年も過ごす女性も少なくないそう。心のケアへの理解や対応が必要とされています。

8.    パパ育休へのモヤモヤ

今回の調査で「職場や自宅で協力体制を得られているかどうか」を聞いた項目、「不満足」と答えた産後女性は7割という結果に。パパ育休制度に関しても、取得への理解や期間、時期などに対しさまざまな声が寄せられ、企業や団体それぞれの体制にあった内容作りが求められています。

9.    男性の産後うつが見過ごされている

ホルモンバランスの変化や疲労などにより、出産後の女性が陥りやすくなる産後うつ。近年の研究で、パートナーである男性も産後にうつ状態になることがわかってきましたが、男性の産後うつに対する情報や理解は十分とは言えない状況です。

10. 産後リカバリーは産前から始まっているという事実

「赤ちゃんのお世話で精一杯」「常に疲れている」「睡眠不足で頭が回らない」。自らのケアをする余裕のない産後の自分のために、そして赤ちゃんの健やかな成長のためにも。私たち産後リカバリープロジェクトは、疲労調査や専門家との意見交換、参画企業の活動から、「産前からの情報収集や準備が、産後リカバリーの大きな助けになる」と考えています。

アンケート調査では、妊娠中と子育て中を除いた女性の出産・産後に対する印象は「大変」83.8%に対し「幸せ」は51.4%という回答になりました。この結果から「大変そうだから」と、子どもを持つことを躊躇している人もいるかもしれないということがわかります。

また、働く女性の増加や、家族形態の多様化など、数十年前とは社会が大きく変わり、産前産後に関しても、帝王切開で出産する人が5人に1人というデータ(※1)や、男性の産後うつが増えていると言われるなど、大きく変化していることもあります。

(※1)*厚生労働省:令和2(2020)年医療施設(静態・動態)調査(確定数)・病院報告の概況

私たち産後リカバリープロジェクトは、この出産・産後に対する印象少しでも変化をもたらしたいと考え、同調査結果及び、専門家の意見などに基づき、産前産後の課題を「産前産後10の重要課題2023」としてまとめ、今回開催するシンポジウムで発表するとともに、今後課題解決を考えてまいります。

  • 【10月10日産後リカバリーの日】

「産後リカバリープロジェクト」では、出産直後から心身ともに多忙になる「産後のお母さん」が自分の心と体をいたわることができて、支える家族や周囲の人、社会がお母さん自身の疲労にも目を向けるきっかけの日となることを願い、10月10日を「産後リカバリーの日」としました。日付は妊娠期間をいう言葉「十月十日(とつきとおか)」に由来し、「妊娠から出産までと同じくらいの産後期間、心と体のリカバリーも大切にしてほしい」との思いを込めています。

  • 【10月10日 産後リカバリーの日 協賛企業】

株式会社ベネクス/タカラベルモント株式会社/株式会社大広(大広フェムテック・フェムケアラボ)/一般社団法人日本リカバリー協会/プレミアアンチエイジング株式会社/株式会社ポーラ/ガーミンジャパン株式会社/株式会社ビ・メーク/日本トイザらス株式会社(順不同)

  • 【調査概要】

調査名: 「産前産後に関するアンケート 2023」

期間:2023年 8月21日~9月20日/調査対象:全国の20~69歳の667人/男性130人、女性537人(一般(妊活中含む)105人、妊娠中(マタニティ―期)26人、出産後(子ども年齢:0か月~2歳未満)164人、出産後(子ども年齢:2年以上)195人)/調査方法:インターネット調査/調査項目:27問

調査名:「ココロの体力測定 2023」(「産後リカバリー白書」)

期間:2023年 4月18日~5月23日/SCR調査対象:全国の20~79歳の10万人(男女各5万人)/調査方法:インターネット調査/調査項目: 10問

※疲労度合項目:厚生労働省「ストレスチェック」B項目を基に独自加工して、点数化

※集計データ:県・年齢を実際の人口でウエイト修正を行い活用

抽出対象:全国の20-49歳/女性:30,462人(マタニティー期:2,025人、生後0-3か月:409人、生後4-6か月:668人、生後7-12か月:831人、その他未就学児あり:7,110人)/男性:20,594人(マタニティー期:501人、生後0-3か月:166人、生後4-6か月:237人、生後7-12か月:252人、その他未就学児あり:2,935人)

  • 【産後リカバリープロジェクト 参画企業】※2023年10月10日現在

株式会社ベネクス/タカラベルモント株式会社/株式会社大広(大広フェムテック・フェムケアラボ)/一般社団法人 日本リカバリー協会/SOMPOひまわり生命保険株式会社/プレミアアンチエイジング株式会社/東洋紡株式会社/株式会社ポーラ/ガーミンジャパン株式会社/株式会社ビ・メーク/日本トイザらス株式会社(入会順)

(後援)一般社団法人日本疲労学会/神奈川県未病産業研究会/神戸リサーチコンプレックス協議会

  • 【一般社団法人日本リカバリー協会 概要】

リカバリー(休養)リテラシーの向上で、一億総主人公化社会に

「とても疲れてしまったので明日会社(学校)を休ませて頂けませんか?」

こんな相談を受けた場合、あなたはどのように応えますか。

あなたの応えそのままが、日本社会の休養に対する考え方だと私たちは思っています。

国民の2人に1人が疲労を抱えて生活を送っている現代において、休むことの大切さを伝え、その重要性についての啓発・教育などの実践に取り組むことで、社会の休養リテラシーの向上により人と休養の関係性を変え、さらに科学に裏付けられたソリューションの提案を行う休養市場を創造し、ヒトが元気に意欲的に生活できる社会(各個人が主人公のような社会)を一般社団法人日本リカバリー協会では目指しています。

所在地:神奈川県厚木市中町4-4-13 浅岡ビル4階

会長:渡辺恭良

(理化学研究所生命機能科学研究センター チームリーダー、大阪市立大学大学院医学研究科 名誉教授)

副会長:水野敬

(理化学研究所生命機能科学研究センター ユニットリーダー、大阪市立大学健康科学イノベーションセンター センター副所長)

顧問:大谷泰夫(神奈川県立保健福祉大学 理事長、元内閣官房参与)

杉田正明(日本体育大学体育学部 教授、日本陸連 科学委員会委員長)

松木秀明(東海大学 名誉教授、健康評価施設査定機構 理事)

代表理事:片野秀樹 博士(医学)(日本未病総合研究所講師、Genki Vital Academy 顧問)

提携:ゲンキ・バイタルアカデミー(スイス)

URL:https://www.recovery.or.jp/

公式情報サイト「Recobal(リカバル)」URL:https://recover-bar.jp/

<報道関係者お問い合わせ先>

一般社団法人日本リカバリー協会 広報事務局

担当:柴山 TEL:070‐1389‐0172

メール:pr@netamoto.co.jp