不妊治療後、妊娠までの平均期間が短縮される保険適用の効果

不妊治療の保険適用後、夫婦が子供を持つという決断をしてから妊娠に至る病院へ受診するまでの総平均期間が短縮

夫婦が子供を持つという決断をしてから妊娠に至る病院へ受診するまでの総平均期間は、保険適用前(2022年2月実施)の6.4年から保険適用後(2024年1月実施)では5.9年に短縮していた。

不妊治療の保険適用後、不妊カップルの挙児希望率は向上

保険適用により不妊カップルの挙児希望の思いはより強まり、初回受診後においても積極的に治療開始に進む傾向がみられた。

●不妊治療に対する職場・雇用者など周囲からの理解やサポートが望まれている

不妊治療において改善の余地があることについて「不妊治療がもたらす感情的な影響について理解すること」を上位2位までに答えた割合が保険適用前後ともに最も多いが、保険適用後は「不妊症や不妊治療が社会にもっと受け入れられること」「職場・雇用者のより良いサポート、理解が得られること」と答える割合が増加しており、より周囲からの理解やサポートが望まれている。

 今回の調査で、不妊症と診断された方が子どもを持つという決断から妊娠までの平均期間は約5.9年と、前回調査の約6.4年から約6か月短縮されていることが分かりました。一方で、不妊治療後、妊娠に至った患者さんの平均治療期間は保険適用前で約1.9年、保険適用後で約2.5年であり、保険適用後において期間が延長していました。また不妊治療の保険適用が及ぼす影響としては、費用負担が大幅に改善されたと回答した人が約50%で1位でしたが、残りの半数は変化なし、あるいは大幅に悪化したという回答でした。加えて、不妊治療において改善の余地のあることは何かという質問に対しては、周囲に対して理解やサポートを望むとの回答割合が増え、治療の経済的な負担はもちろん、職場などにおける周囲の理解不足など、依然として課題の残る結果となっています。2024年6月からは一般不妊治療の患者さんにもAMH*検査が保険適用されるようになるなど行政の対応も進んでいますが、社会全体として妊娠・出産や不妊治療について適切な知識を持つことで不妊症患者の早期受診や適切な治療が促され、不妊治療における妊娠率向上につながると考えられます。

*AMH:anti-Müllerian hormone、抗ミュラー管ホルモン

保険適用前後における不妊患者の受診行動に関する調査 - Web定量アンケート-

【概要】

内容:不妊治療に関する意識調査

実施方法: 自己記入式のオンラインアンケート調査

調査地域: 日本

調査対象: 臨床的に不妊と診断された20~50歳の女性(患者) 113名

パートナーが臨床的に不妊と診断された18歳以上の男性 87名

2022年4月時点で不妊治療が終了していない方を対象とする

内訳

 (1)「検討中」 不妊治療を検討している:44名

(2)「IVF*以外」 IVF(体外受精)以外の不妊治療を受けた/受けている:52名

(3)「IVF」 IVF(体外受精)を含む不妊治療を受けた/受けている:104名

 *IVF:in vitro fertilization(体外受精)

調査時期:2024年1月

  • 結果要旨

●夫婦が子供を持つという決断をしてから妊娠に至る病院へ受診するまでの総平均期間は、保険適用前(2022年2月実施)の6.4年から保険適用後(2024年1月実施)では5.9年に短縮していた。(図1)

●不妊と診断されるまで、不妊と診断されてから治療を開始するまでの期間は短縮した一方で、不妊治療後、妊娠に至った患者の平均治療期間は約1.9年から約2.5年という結果で、保険適用後において期間が延長していた。(図1)

●保険適用により不妊カップルの挙児希望の思いはより強まり、初回受診後においても積極的に治療開始に進む傾向がみられた。(図5)

●不妊治療において改善の余地があることについて「不妊治療がもたらす感情的な影響について理解すること」を上位2位までに答えた割合が保険適用前後ともに最も多いが、保険適用後は「不妊症や不妊治療が社会にもっと受け入れられること」「職場・雇用者のより良いサポート、理解が得られること」と答える割合が増加しており、より周囲からの理解やサポートが望まれている。(図8)

●保険適用前後において不妊治療患者の基礎知識に大きな違いは認められなかったが、AMH値についての問いに対する正答率は32%で、3分の1はAMHを知らなかったと回答。(図12)

ペイシャントジャーニーの時系列

図1図1

不妊症と診断された後のアクション

図2図2

不妊治療で初回の受診施設 2024年

図3図3

不妊治療受診検討中カップルの治療開始時期の予定

図4図4

挙児希望(=子どもを持ちたいという願い)の割合

図5図5

保険適用が不妊治療に及ぼす影響

図6図6

不妊治療中に経験する負担やストレス

図7図7

不妊治療においてより望まれること

図8図8

アジア各国との比較(VS2022)

図9図9

不妊症や不妊治療に関する基礎知識

図10図10

不妊症や不妊治療に関する基礎知識

図11図11

不妊症や不妊治療に関する基礎知識

図12図12

フェリング・ファーマでは、不妊治療領域のリーディングカンパニーとして、今後も妊娠・出産や不妊症の正しい情報を発信するとともに、妊娠を望むカップルや医療従事者だけではなく、広く社会に対して情報発信を行うことで、妊娠を望むカップルのアクセス向上や日本の生殖医療に貢献していきます。

【参考:2022年調査 実施概要】

内容:不妊治療に関する意識調査

実施方法:自己記入式のオンラインアンケート調査

調査地域:日本/韓国/インド/ベトナム/シンガポール/インドネシアの6カ国

調査対象(日本): 臨床的に不妊と診断された20~50歳の女性(患者) 117名

パートナーが臨床的に不妊と診断された18歳以上の男性100名

内訳

(1)「検討中」 不妊治療を検討している:20名

(2)「IVF以外」IVF(体外受精)以外の不妊治療を受けた/受けている:84名

(3)「IVF」 IVF(体外受精)を含む不妊治療を受けた/受けている:113名

調査時期:2022年2月

≪フェリング・ファーマ株式会社について≫

1950年に創業し、現在スイスに本社を有するフェリング・ファーマシューティカルズ社は、ペプチド・ホルモン製剤に強みを持つ、研究開発型で専門領域に特化したバイオ医薬品のグループで、グローバル市場でその製品を展開しています。同社は不妊症、婦人、泌尿器、消化器、内分泌、整形外科領域における革新的製品の探索発見・開発・販売に努めており、およそ50ヵ国に事業所を設け、製品は100ヵ国で販売しています。フェリング・ファーマ株式会社は同社の日本における100%子会社として2001年に設立されました。同社に関する情報につきましては、ホームページをご覧下さい。

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