産み分けをするには排卵日をきちんと把握することが大切です。排卵を確認するための方法のひとつに排卵検査薬があります。今回は排卵検査薬について、その仕組みや使うメリット、使い方などを解説します。
排卵検査薬とは
まず、排卵検査薬( 排卵日予測検査薬 )とは排卵のタイミングを予測できるスティック型の薬品です。自宅で使用できる尿検査キットです。排卵の直前に放出される「 黄体化ホルモン 」を測定します。薬局で購入することが可能ですが、薬剤師が駐在していないと販売ができないので取り扱いがない薬局もあるので注意が必要です。より正確に排卵日を特定したい場合は、排卵検査薬と併用して、産婦人科クリニックや病院にて経腟エコーで診てもらうと良いでしょう。
排卵検査薬で排卵日がわかるしくみ
排卵の直前に黄体形成ホルモンが(LH)が最も多く分泌される
黄体形成ホルモン( LH )は普段から分泌されている女性ホルモンの一種です。排卵の前に分泌量が急激に増加します。排卵前に、黄体化ホルモン(LH)が急速に分泌されることをLHサージと呼びます。卵胞が成長して成熟すると、それの伴い卵胞から分泌される卵胞ホルモン(エストロゲン)の量が増加し、排卵の引き金となる黄体形成ホルモンが急上昇してLHサージが起こります。排卵検査薬はこのLHサージを確認し排卵日を予測しています。LHサージが起きてから排卵までは約40時間と言われています。
排卵検査薬を産み分けに使うメリット・デメリットとは?
メリット:排卵前のタイミングが分かる
排卵検査薬を使うメリットは、薬局やインターネットで手軽に手に入り、尿検査のように採尿部に尿をかけるだけで使用も簡単なため、排卵前に妊娠しやすいタイミングがわかることです。
自分で排卵日を予測する方法としては一般的なものは基礎体温を毎朝測り、表につけていきます。起床したら、体を動かさずに体温計を口内の下の筋の所に入れるのですが、動いてしまったり、つけ忘れてしまい、なかなか正確に測れないという方も多いでしょう。夜勤など不規則な生活リズムの方や、二人目以降の妊活の場合、上のお子さんの育児で決まった時間に計測できない方には難しいかもしれません。
そして、妊娠しやすい時期を把握できるのは、基礎体温をつけ始めて、基礎体温が低温相(低温期)から高温相(高温期)に変化するグラフになり、排卵が起きたことが表にあらわれてからになります。
この表から排卵が行われているかを予測することが必要です。今はアプリで管理もできるようになりましたが、基礎体温はリアルタイムで排卵日を予想できるわけではありません。排卵が起きているかの指標や生理周期の把握に役立つものです。
排卵検査薬は黄体形成ホルモンの変化を測定するので、これから排卵が起こることをリアルタイムで把握することができます。妊娠の可能性が高いのは排卵日前の数日間なので、排卵が起こる前に妊娠しやすいタイミングが分かるのは排卵検査薬のメリットです。
産み分けでは、女の子は排卵日の2日前から、男の子は排卵日にタイミングをとることが良いとされているので、排卵検査薬で確認をすることは大切でしょう。
デメリット:予測できない人がいる
不妊治療中の方や月経不順の方には予測ができない場合があります。
排卵誘発剤のhCG注射を打った後などは排卵検査薬の結果は参考にならないことが多いです。何も治療をしていないのに排卵検査薬が陽性にならない場合、無排卵の可能性もあります。
何周期か使用してもうまく判定できない場合は、受診することをお勧めします。
排卵検査薬を使うタイミング
生理が順調で生理予定日がわかる方
排卵検査薬を使いはじめるタイミングは次の生理予定日の17日前が目安になります。
次の生理予定日の17日前から数日間に連続で排卵検査薬を使うと、検査の結果が陰性から陽性に変化するタイミングが起こります。
過去に検査をしてLHサージがうまく確認できなかった場合や、陽性か陰性かの判定に迷う場合などには、1日2回検査を行うことでよりLHサージをとらえやすくなります。
次の生理予定日の17日前に使い始める理由は、ホルモンバランスが乱れていたり、月経以上がない女性は通常、次の生理予定日の14日前」が排卵日となり、排卵日の約14日後に生理が始まります。
ここから逆算をすると、次の生理予定日の14日前頃がおおよその排卵日となり、そこから数日間さかのぼり17日前が排卵検査薬を使い始める時期になります。
生理不順で生理予定日がわかりにくい方
直近の2~3周期の中で最も短かった生理周期の日数をもとに次の生理予定日を予測して、その日から17日前を計算します。
以下の症状のある方は、排卵検査薬を使用する前に受診をし、医師に相談することをお勧めします。
- ・生理不順で毎回のように1週間以上のズレがある
- ・極端に経血量が多い
- ・産後で生理がまだ整っていない
排卵検査薬の使い方
排卵検査薬は、次の生理予定日の17日前にあたる日から毎日同じ時間帯に検査をします。
検査前の多量の水分摂取や、多量の発汗をともなう運動などは控えた方が良いでしょう。これは尿中のLH濃度が変化してしまい、判定に影響する場合があるためです。朝起きてトイレにいくタイミングなど、時間を決めると良いですね。
女の子を希望する場合は、判定ラインが陽性が出たらタイミングの機会を取ります。男の子の場合は判定ラインが一番濃い日にタイミングの機会をとると良いでしょう。
排卵検査薬を始めたばかりは色の変化でいつが排卵日に当たるのか判断しづらいものです。変化の記録を取っておくのも良いでしょう。毎日継続して検査を行い、色の変化をみていくことがポイントです。
検査結果が 常に陽性反応・陰性反応の方
検査結果がいつも変わらずに陽性反応や陰性反応が出る方は、異常がある可能性があります。無排卵の可能性や、ホルモン分泌異常の可能性もあるのでの原因になることもあるので、受診をして医師に相談をしましょう。
排卵検査薬の購入方法
排卵検査薬はドラッグストアやECサイトで購入できる
排卵検査薬は「第1類医薬品」にあたり、ドラックストアやインターネットで購入できます。ただし海外製は専門の輸入品通販サイトで購入する必要があります。
第1類医薬品とは
第1類医薬品とは一般用医薬品(OTC医薬品)の1つで、一般用医薬品の中で最も副作用が生じる恐れが高い医薬品のこと。第1類医薬品は効果が高い分、副作用の危険も高いために特に注意が必要である。第1類医薬品を販売できるのは原則的に薬剤師に限られ、販売時には必ず購入者に対して薬の情報提供を行わなければならない。
ただし、例外的に登録販売者・一般従事者も「薬剤師の管理・指導のもと」という条件下に限って、第1類医薬品を販売できる。
店舗の場合は薬剤師が駐在していないと販売ができないので、曜日や時間帯によっては薬剤師がおらず購入できないこともあります。余裕を持って購入できるように、事前に確認しておくと良いでしょう。また、ネットでの購入の場合も、いくつか問診があるので時間に余裕があるときに購入しましょう。
排卵検査薬を選ぶ2つのポイント
排卵検査薬の種類は日本製のもの、海外製の物と種類が豊富です。ここでは選ぶポイントをお伝えします。
排卵検査薬を選ぶときのポイントとなる日本製と海外製の違い、
① 日本製と海外製の違い
使いやすさは日本製
- ・日本製は検査薬の形状がプラスチックのスティック型で使用するときに持ちやすい(海外製は紙製のスティックで使いにくい)
- ・説明書が日本語でわかりやすい
- ・採尿部が広く尿をかけやすい
価格の安さは海外製
- ・海外製は価格が日本製と比べて安い(日本製は1箱2000〜3000円、1本あたりの価格が¥300~500前後ですが、海外製は1本あたり50~100円前後で購入できます。海外製は、日本製と違ってセット売りの本数が多いことも特徴です。)
②感度が高いと早めに予測ができる
排卵検査薬を選ぶときのもう1つのポイントは、「陽性反応」がでる感度の違いです。LH(黄体化ホルモン)の分泌量は「mIU/ml(ミリ・アイユー・パー・ミリリットル)」という単位で呼びます。
排卵検査薬によっては検知する感度が違います。海外製は日本製と比べて感度が高いものが多いです。早めに知りたい方は感度の高い排卵検査薬を選ぶことをおすすめします。
排卵検査薬で妊娠判定ができる!?
排卵検査薬と妊娠検査薬は採尿部に尿をかけて判定するという点では似ていますが、排卵検査薬は尿中のLHサージを捉えるもの、妊娠検査薬は尿中のhCGを感知するもので捉えているホルモンが異なります。妊娠検査薬は1箱に1〜2本で1000円前後するなど何度も検査をするには高価に感じるかもしれません。
フライング検査をする場合は日を開けて何回か検査を行うこともあるでしょう。排卵検査薬が余っている時やすぐに妊娠検査薬を買えない時に、代用ができるのでしょうか。
妊娠していると排卵検査薬が陽性になることがある
黄体形成ホルモン(LH)と妊娠すると分泌されるhCG(ヒト絨毛性コナドトロピン)というホルモンとは性質が似ているので、妊娠時には陽性反応を示すことがあります。また、判定線が基準線よりも濃く陽性になる場合は化学流産の可能性が低いという体験談もみられます。
しかし、排卵検査薬はブランドによって検査の感度や精度も異なりますし、あくまで排卵検査薬は排卵日を知るためのものなので、妊娠の判定は妊娠検査薬で行うようにしましょう。市販の妊娠検査薬はとても高性能なので、正しく使用できていれば99%の精度で判定することができます。
助産師からのメッセージ
排卵検査薬は妊活の初めの一歩であり、タイミングをとる上で非常に大切なアイテムです。自分の体調や生理のリズムを知るためにもぜひ行っていただきたいと思います。使い方も簡単なので気軽に取り入れることができます。
毎日、判定線の色の変化を写真にとって管理をしている方もいらっしゃいます。日々、確認をしていると、排卵日付近のおりものの様子や体調など、より自分の体の変化に気づくことができます。
私自身、近所の薬局で排卵検査薬を購入しようとしましたが、薬剤師がいない時間帯や日にちばかりでタイミングが合わず、なかなか購入できずに焦った経験があるので、ぜひ余裕を持って購入していただきたいです。陽性かどうか判断が難しい時などは、クリニックで卵胞のモニタリングも兼ねて医師に相談してみても良いかもしれません。
また妊娠検査薬で陽性がでた際に、排卵検査薬でも確認をしてみたところ濃い陽性が出ていました。排卵後にはいったん薄い線になっていたので、hCGに反応したのかもしれませんが、あくまで「成分が似ているから反応してしまった」という結果なのかなと思うので、必ず妊娠検査薬でも妊娠判定を行ってくださいね。
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