胚培養士さんをごぞんじですか?医師の指示により、患者様の精子と卵子をお預かりしてお世話をするスペシャリストです。直接、患者さんとお話しする機会が少ない胚培養士さんについてご紹介します。
胚培養士ってどんな仕事?
医師の指示により、患者様の精子と卵子をお預かりしてお世話をする仕事です。(医師が採取した卵子を精子と受精させて培養、凍結、融解を行い、医師が子宮に戻すまでを担当します)
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どのようにして胚培養士になるの?
大学や専門学校の農学部、理工系学部などで生命科学を履修した人や、獣医学部、薬学、臨床検査学などの医療系の出身の人など様々です。(家畜動物の体外受精などの経験を持つ方が多いです。胚培養士になるための資格があるわけではありません。)
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胚培養士の一日は?
採卵後、受精卵が子宮に戻るまでの流れの例として、採卵当日に体外受精や顕微授精を行った後、数日間培養し順調に成長した受精卵は凍結されます。その後、移植の周期に入り、移植前に受精卵を融解し、回復を確認して医師が行う胚移植へと進みます。私たち胚培養士は、卵子や精子の状態、受精卵の成長を医師に報告し、指示によって適切な処置を行います。
ある日のタイムスケジュール
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仕事の様子
【卵子側】検卵
採卵時に医師が回収した卵子を培養液が入ったシャーレの中に移動し、インキュベータと呼ばれる培養庫の中で受精までの間、培養します。
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【精子側】精子調整
ご主人様にご提出頂いた後、受精に用いる運動性の良い精子を回収します。
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【受精~胚培養】
採卵の数時間後、ふりかけ法と呼ばれる体外受精や精子を選んで卵子に直接注入する顕微授精を行います。受精卵は再びインキュベータの中で数日間培養されます。順調に成長が確認された受精卵は胚移植もしくは凍結され、凍結された場合は胚移植までの間、液体窒素が入った凍結保存用のタンク内に保管されます。
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【融解~胚移植】
順調に成長した受精卵や、凍結保存した受精卵は、医師が行う胚移植によって子宮の中に戻ります。凍結保存した受精卵の場合は胚移植前に融解し、順調に回復しているか確認します。胚移植の際は、細長いカテーテルの中に少量の培養液と受精卵が吸引され、子宮の中に注入されます。
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胚培養士の仕事は将来赤ちゃんになる「命」を取り扱う仕事です。
患者様は様々な思いを持って来院されますが、藁をもすがる思いで来られる方もいらっしゃいます。
一つ一つの仕事が患者様の人生に関わる重みのある仕事であることを忘れず、妊娠につながるよう高い技術力を目指しています。患者様の願いや想いに携わらせて頂く感謝の気持ちを忘れないようにしたいです。