訪問保育事業を行う認定NPO法人ノーベル(本社:大阪市中央区、代表理事:高 亜希、以下:ノーベル)は、新事業「子育て家族のまるごとサポート」の開発にあたって、大阪大学発ベンチャーのCoBe-Tech株式会社(代表取締役:上木誠吾、以下コービーテック)と業務提携いたしました。主に、意思決定支援のシステム(アセスメントツール)を共同開発します。コービーテックは、認知行動科学と行動経済学の専門知識や技術をかけ合わせた課題解決技術に定評があり、先行する医療現場でのノウハウを、子育て支援現場に転用していきます。当事業では、各家庭の日常的な両立の実態や、よりリアルなニーズを明らかにし、各家庭に合ったサポート体制を選択しやすくすることを目指しています。2024年1月の新事業テスト実施に向けて、2023年11月14日よりノーベル会員向けにモニター募集を開始します。
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新事業「子育て家族のまるごとサポート」アセスメントツール開発の経緯
認定NPO法人ノーベルは、創業10周年の2019年に「両立をつくりなおす」というスローガンを掲げ、”病児保育のノーベル”から”両立を総合的にサポートするノーベル”へシフトチェンジすることを発表しました。コロナ禍を経て、子育て世帯のニーズの変化を掴むため、2022年秋に約1,300名に対するWEBアンケート調査(※1)とインタビュー調査を実施。各家庭の両立における困りごとや、両立満足度が高い群・低い群でのそれぞれの特性や差は何かを探りました。
※1 一般回答n=1,000/ノーベル会員n=278
■子育て世帯の困りごととは?
時間が足りない!回らない!でも頼れない!その要因は「意思決定のむずかしさ」だった
WEBアンケート調査の結果、両立満足度に影響する主な要因(※1)の上位3つは、①心身の余裕があること ②子どもと接する時間が十分に確保できていること ③家事の時間が十分確保できていること、 でした。
※1 両立満足者と不満足者のポイントの差分が大きい項目
自分が思うように時間を使えないことや、時間の余裕のなさが両立満足度に大きく影響しており、ひいては心身の余裕のなさにもつながります。両立満足度を高めるためには、タイムマネジメントが鍵となることがわかりました。
また、時間を捻出するひとつの手段となる「保育や家事代行等の第三者サービス」を利用している人は、利用していない人に比べて両立満足度が(8.1pt)高かったことに着目。第三者サービスを利用している人としていない人の違いを明らかにするために、さらにインタビュー調査を実施しました。
インタビュー調査前の仮説は、「経済的負担」や「他人が家にはいってくることへの心理的抵抗」が、第三者サービスの利用を妨げる原因ではないか?と考えていました。しかし、インタビューによって明らかになったのは、経済的余裕があり、第三者サービスの利用意向があって、具体的なリサーチをしていても、最終的にサービスの利用に至らないケースが多いことでした。
また、必ずしも、第三者サービスの利用家庭に「他人が家に入ってくることへの抵抗がない」とは限らないこともわかりました。利用に至っている家庭は、心理的抵抗を軽減する具体的な解決策を講じた上で利用しているケースもある、ということです。
経済的に余裕があり、心理的抵抗がない家庭が利用しているのではなく、利用に至る前段階の複雑な課題を細かく分解し、“我が家のニーズ”を認識した上で、ひとつひとつの“細かい課題”を具体的に解決している家庭が、第三者サービスの利用に至っていることがわかりました。
しかし、日々直面する大小様々な問題に対して、スムーズに課題解決できる家庭はごくわずかです。
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「いつ、誰に、何を、どの程度してもらうか、タスクを分解して考えることが面倒で難しい」
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「そもそも、我が家のニーズ、自分やパートナーのニーズを明確にすることだって難しい」
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「ニーズに合ったサービスはどこにあるのか?信頼できる業者なのか?予算に見合うのか?」
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「自分の希望はあっても、パートナーに理解してもらえない…」
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「とにかく時間がなくて、リサーチも検討も、家庭内の相談もやり切れない」
このように、子育て世帯の「意思決定」に関わる要素は複雑に絡み合っているために、意思決定が難しいのです。
今回の調査では当初仮説が覆され、下記の発見を得ました。
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複雑なニーズを整理し、解決策を探し、意思決定すること自体、とても難易度が高い
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両立生活において、時間の余裕がないことが、より意思決定を難しくしている
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結果として、子育て世帯の負担を軽減するモノやサービスがあっても、各家庭がサービス利用に至る前段階でつまずいてしまい、活用されない
そこで、子育て支援の領域にこそ「意思決定支援」が必要だと考えました。
■医療現場の「行動経済学的意思決定支援」を子育て支援へ展開
子育て世帯の意思決定は、父母の家事育児に対する志向や価値観・特性、子どもの特性、周囲との関係性、経済状況、職場環境、地域特性など関わる要因はとても多く、複雑に絡み合っています。
そこで意思決定支援についての科学的ノウハウを持つCoBe-Tech株式会社とともに、子育て世帯の複雑なニーズを明らかにし、各家庭にあった解決策をよりスムーズにプランニングできる意思決定支援のシステム(アセスメントツール)を共同開発することを決定しました。環境整備/意思形成支援/意思表明支援/意思実現支援など、がん治療や不妊治療等の領域で既に取り組まれている行動経済学的意思決定支援のノウハウを、今回の新事業のサポートに織り込み、子育て支援に転用します。2024年1月の新事業テスト実施に向けて、現在、アセスメントシートを作成し、今後、さらに開発を進める予定です。
・CoBe-Tech株式会社について
2022年5月設立、大阪大学発の行動経済学&認知行動科学ベンチャー。人と組織、社会のwell-being向上を科学的な行動変容技術でサポート。行動経済学の第一人者である大竹文雄特任教授、医療健康心理学の平井啓准教授を中心に、創業以来多くの自治体、企業の課題解決をおこなっている。
・行動経済学的意思決定支援とは
行動経済学のプロスペクト理論やナッジ理論、認知バイアス理論などを用い、人々がどのように情報を解釈し、選択を行うかを理解し、well-being向上につながる選択を主体的にできるようにサポートする意思決定支援手法。
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新事業「子育て家族のまるごとサポート」概要
「子育て家族のまるごとサポート」では、家事育児の日常の仕組みづくりや外部サービス等の選定をコーディネートする担当ガイド1名と、生活まわりのサポートを行うケアスタッフ数名がチームを組んで、各家庭のニーズに応じたサポートを提供します。
子育て世帯の日々の生活の「まわらなさ」や「頼みづらさ」を解消し、家族と協力し、必要に応じて人の手を借りながら両立生活を乗り越えていくために、環境づくりや仕組みづくりをお手伝いします。
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「育休復帰に向けて漠然とした不安が… どう準備すればいいか相談に乗ってほしい」
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「ファミサポに登録したかったけど、条件に合う人が見つからなくて…そのまま動けていない」
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「色んなミールサービスがあるけど、うちに合うのはどのサービス??」
担当ガイドは、各家庭の複雑なニーズを見える化する独自開発のアセスメントツールを活用し、最適な解決策やサービスをご家族と一緒に考え、プランニング。プラン内容を実際に導入・定着するまでサポートします。
また、
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「健診で外出するときにサポートしてほしい」
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「夕食準備~入浴までの時間を助けてほしい」
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「平日の習い事の送迎を頼みたい」
そんな大人の手を借りたい場面では、ノーベルのケアスタッフが直接サポートを行ったり、家事代行や宅食サービスなど適切なサポートをご紹介します。
■サポートの流れ
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STEP1:情報登録
事前アンケートのご入力
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STEP2:現状やニーズの整理
担当ガイドが、ご家庭の困りごとやニーズを細かくヒアリングし、整理します。
基本的にはお宅へ訪問し、ご家族皆さんからお話を伺えるよう、ケアスタッフが同行し、お子さまのお世話をします。
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STEP3:プラン提案・決定のお手伝い
ヒアリング内容に基づいて、解決に向けてプランニングし、ご提案
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STEP4:プラン実行のお手伝い
意思決定・導入に向けての家庭内の仕組みづくりや諸手続きのサポート
※STEP2~4のプロセスはご家庭の状況によって1~2カ月程度の期間に、訪問形式の面談、お電話、オンライン打合せ等を数回実施します。
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STEP5:生活まわりののサポート
必要に応じて、ケアスタッフによる暮らしのお手伝い(別途料金は発生)
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第1期モニター家庭を10組募集開始します
新事業のテスト実施開始に向けて、サポートを受けるモニター家庭10組をノーベル会員より募集します。モニター期間は来年1月から6カ月間とし、面談等を通じて、ニーズを整理し、解決策のサポートなどを受けていただきます。ガイドの伴走サポートは無料、ケアスタッフによる暮らしのサポートは1時間あたり1,500円の利用料でサポートを受けることが可能です。
取材ご依頼に関するお問い合わせは下記URLよりご登録ください。